変額保険が”やばい”といわれているのはなぜ?


”変額保険はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します
本当に変額保険は”やばい”のか、デメリットとメリットの両面から真相に迫る
変額保険が”やばい”、”やめたほうがいい”と言われることについてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。近年、資産形成への関心が高まる中で変額保険に注目が集まっていますが、同時に警戒する声も少なくありません。本記事では、変額保険に対する否定的な評価の背景と、それが誤解に基づくものかどうかを多角的に検証していきます。
変額保険とは何か?基本的な仕組みを理解する
変額保険は、保障機能と資産運用機能を併せ持った生命保険商品です。通常の生命保険と異なり、契約者が支払った保険料の一部が特別勘定と呼ばれる投資信託などで運用され、その運用実績によって保険金額や解約返戻金が変動するという特徴を持っています。
変額保険には主に以下の3つのタイプがあるようです。
- 終身型:保障が一生涯続くタイプで、更新や再手続きの手間がない反面、保険料が高額になりやすい
- 有期型:「契約から35年」「60歳まで」など契約年数や年齢を区切りとするタイプ
- 年金型:受給開始年齢を迎えると給付金を年金形式で受け取り続けるタイプ
また、運用スタイルによって円建てと外貨建てに分けられます。円建ては日本円で支払った保険料を日本円で運用するもので、外貨建てよりも運用成績が低い可能性がある一方、為替リスクを避けられるというメリットがあるようです。
変額保険は”やばい”、”やめたほうがいい”と言われる主な理由
1. 元本割れのリスクがある
変額保険がやめたほうがいいと言われる最も大きな理由として、元本割れのリスクが挙げられています。変額保険は特別勘定で運用されるため、運用成績が振るわない場合、解約返戻金や満期保険金が支払った保険料の総額を下回る可能性があります。
特に、契約時に決められた金額が受け取れる「定額保険」とは異なり、受け取る保険金や解約返戻金が大きく変動する可能性があるため、計画的に資金を準備したい場合には不向きだと言われています。
また、早期に解約した場合、「解約控除」という手数料が発生し、元本割れする可能性が高くなると指摘されています。解約控除とは、一般的に10年以内に解約した場合に発生する手数料で、解約するタイミングが早いほど、解約返戻金から高い金額が差し引かれるものです。
2. 手数料が高い
変額保険は保険関係費(手数料)が掛捨て保険以上に高いと言われています。保険契約を維持・継続させるための保険関係費用、運用を行うための信託報酬などの費用が差し引かれるため、通常の投資と比べてコストが高くなり、利回りが低くなることがあるようです。
特に、保険としての保障機能に対するコストがかかるため、純粋な投資目的であれば、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、税制優遇のある投資商品の方が効率的だという意見が多いようです。
3. 商品が複雑でわかりにくい
変額保険は一般的な生命保険と比べて、商品の仕組みが複雑でわかりにくいと指摘されています。変額保険は生命保険と投資信託を組み合わせたような商品であり、一般的な生命保険では保険会社が運用リスクを負うのに対し、変額保険は契約者が運用リスクを負うという違いがあります。
この複雑さゆえに、2019年度に国民生活センターに寄せられた特定生命保険(変額保険や外貨建て保険など)に関する相談件数は321件にのぼったと報告されています。「資産形成が目的で加入したものの、思ったよりお金が増えなかった」「元本保証だと思っていたのに、大きく損をした」といったトラブルが発生しているようです。
4. 景気に影響されやすい
変額保険は景気に影響されやすい側面があると言われています。リーマンショックのような不景気が訪れると、市場全体の株価が下がり、特別勘定の運用に悪影響を及ぼす可能性があります。反対に景気が良くなれば運用成績が良くなり、保険金や解約返戻金の増加に期待できますが、満期や解約のタイミングで景気が悪化した場合、必要な時に十分な資金が得られないリスクがあることが指摘されています。
5. 保障がいらないなら入る意味がない
変額保険はあくまでも保険商品であるため、保障がいらないのであれば加入する意味がないという指摘もあります。保険なので保障がついてしまい、投資するのに保険会社を挟むので手数料が高くなり、NISA・iDeCoなど保険以外の投資より期待リターンが低くなる可能性があるようです。投資目的で考えるなら、保険関係費がない他の投資方法を選ぶべきだという意見もあります。
6. 保険料は固定費のため、経済状況の変化に弱い
変額保険の保険料は「固定費」なので、転職、結婚、離婚、病気など、どんな経済状況の変化があっても必ず払わなければならず、長期間にわたって保険料を支払い続けるのは難しい場合があると指摘されています。積立額の増減・中断・再開を自由にコントロールできる他の投資方法と比べると、柔軟性に欠けるという欠点があるようです。
変額保険のメリットと良い評判
一方で、変額保険には以下のようなメリットもあるようです。
1. 保障と資産形成の両立
変額保険のメリットとして最も挙げられるのが、死亡保障の機能を備えながら資産形成ができる点です。死亡時には基本保険金額(最低保証額)が保証されるため、運用成績が悪くても最低限の保障は確保されています。また、運用がうまくいけば保険金や解約返戻金の増加が期待できるため、保障と資産形成を両立したい方にとっては魅力的な選択肢となる可能性があるようです。
2. インフレ対策になる
変額保険は、インフレ対策になるというメリットがあります。インフレにより物価が上昇すると、相対的にお金の価値は下がりますが、変額保険は契約者が運用リスクを負う代わりに、インフレが起きて景気が良くなり、金利や株式相場が上昇すると、保険金や解約返戻金の受取額が増加する可能性があります。インフレで物価が上昇したとしても、運用成果が好調であれば、貨幣価値が低下しても影響を受けにくいと言われています。
3. 運用中の課税がない
変額保険は、途中で運用商品を変更した場合でも、満期まで非課税です。NISA以外で投資した株や投資信託のように、売却益に20.315%の税金が発生することはありません。運用中の保険料について投資対象の変更(スイッチング)もできるため、経済や景気の動向に合わせて投資対象や投資割合を変更できるメリットがあるようです。
4. 生命保険料控除が受けられる
変額保険は生命保険料控除(一般生命保険料控除)が受けられるため、毎年の税負担を軽減できるメリットがあります。例えば、変額保険をはじめとした一般生命保険の保険料を年間8万円を超えて支払っている場合、所得税が課税所得から4万円、住民税が課税所得から2万8,000円差し引かれるとのことです。
変額保険に関する誤解と真実
変額保険については、いくつかの誤解も存在するようです。
誤解1:「死亡保険に入っている」「3%以上で運用されている」
変額保険に加入している人の中には、「自分は死亡保険に入っている」「自分の保険は3%またはそれ以上で運用されている」といった認識を持っている場合があるようです。しかし、変額保険の解約返戻金には最低保証がないため、長期契約期間中にリーマンショック級の経済危機が訪れて世界的に株価が低迷した場合、積み立てた保険料が大きく目減りする可能性があることを正しく理解していない場合があるようです。
誤解2:変額保険は常に元本割れする
変額保険に否定的な意見の中には、「変額保険は必ず元本割れする」というものもありますが、これは必ずしも正確ではないようです。変額保険は運用実績によって元本割れするリスクがある一方、運用がうまくいけば元本を上回るリターンを得られる可能性もあります。特に長期的な視点で運用することで、短期的な市場の変動による影響を平準化できる可能性があるようです。
誤解3:変額保険は全ての人に不向き
変額保険が「やめたほうがいい」という意見がある一方で、それは全ての人に当てはまるわけではないようです。変額保険は以下のような人に向いている可能性があると言われています。
- 資産運用の知識がある人
- 長期的な資産形成を考えている人
- 万が一に備えながら資産形成をしたい人
- 運用を専門家に任せたい人
- 経済的な余裕がある人
逆に、以下のような人には向いていない可能性があるようです。
- 資産運用の知識がない人
- 投資リスクを負いたくない人
- 短期間での資産運用を前提としている人
- 元本割れしたくない人
- 自分で資産運用したい人
変額保険に関するトラブル事例
変額保険は複雑な商品であるがゆえに、以下のようなトラブルが発生しているようです。
1. リスクについて詳しい説明がなかった
変額保険に加入する際、元本割れのリスクについて十分な説明がされていないケースが報告されています。「元本割れのリスクはない」「これまで損をした人はいない」といった誤解を招く説明を受け、契約してしまうことがあるようです。また、変額保険を生命保険ではなく、元本保証のある定期預金と誤解して契約するケースも少なくないと言われています。
2. 契約者の意向と異なる契約をした
生命保険の募集人は、保険業法に基づき顧客の意向を正しく把握し、最適な商品を提案する義務がありますが、契約者の意向を十分に確認せずに契約を進めることで、トラブルが発生するケースが報告されています。例えば、定期預金を希望していた顧客に対して、外貨建て変額年金を勧めるなど、契約者の意向とは異なる商品を勧めるケースがあるようです。
3. 理解できないまま高齢者が契約した
認知能力が低下している高齢者が保障内容を十分に理解しないまま変額保険の契約をしてしまう事例も報告されています。例として、認知能力が低下していることを逆手に取り、営業担当者の口車に乗せられて複数の書類にサインをしてしまう高齢者がいるようです。
保険のプロの間でも意見が分かれる変額保険
興味深いことに、変額保険は保険のプロの間でも意見が二分される商品のようです。ある保険ジャーナリストを含む保険のプロ4人による議論では、変額保険推奨派と否定派に分かれたことが報告されています。
変額保険推奨派の意見としては「この2~3年、毎月1件以上売れています。コンスタントに売れています」と述べているのに対し、否定派は「私は変額保険は”買ってはいけない商品”、保険会社も”作るべきではない商品”だと思っています」と真っ向から対立しています。
このように、専門家の間でも評価が分かれる商品であることから、変額保険への加入を検討する際には、自分自身の状況やニーズ、リスク許容度などを十分に考慮することが重要だと言えるでしょう。
変額保険を選ぶ際のポイント
変額保険への加入を検討する場合、以下のポイントを考慮することが重要だと言われています。
1. 終身型か有期型か年金型か
目的や必要な保障期間に応じて、終身型、有期型、年金型の中から選ぶことが大切です。終身型は一生涯保障が続きますが保険料が高額になりやすく、有期型は保険料が比較的安いですが満期保険金の最低保証はなく、年金型は老後の生活に備えることができるというそれぞれの特徴があります。
2. 円建てか外貨建てか
円建ては為替リスクを避けられる一方、運用成績が外貨建てよりも低い可能性があります。外貨建ては高い運用成績が期待できる反面、為替リスクがあるため、自分のリスク許容度に合わせて選ぶことが重要だと言われています。
3. 必要な保障が備わっているか
変額保険はあくまでも保険商品であるため、必要な保障が備わっているかを確認することが大切です。死亡保障だけでなく、特約によって医療保障や介護保障などを付加できる商品もあるようです。
4. 最低保障金額をいくらにするか
死亡保険金には最低保証があるため、その金額を適切に設定することが重要です。必要保障額を考慮しながら、保険料とのバランスを取ることが大切だと言われています。
5. 運用リスクを考える
変額保険は運用リスクを伴うため、自分のリスク許容度に合わせて運用方法や特別勘定を選ぶことが重要です。安定志向の人は債券中心の運用、積極的なリターンを求める人は株式中心の運用というように、自分に合った運用スタイルを選ぶことが大切だと言われています。
変額保険の選び方
変額保険を検討する場合、以下のようなポイントが重要だと言われています。
1. 専門家のアドバイスを受ける
変額保険は複雑な商品であるため、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談することが推奨されています。専門家は個人の状況やニーズに合わせた適切なアドバイスを提供してくれる可能性があります。
2. 複数の商品を比較する
変額保険は保険会社によって特徴や手数料、運用方法などが異なるため、複数の商品を比較検討することが大切です。2025年2月には、はなさく生命の新商品が変額保険ランキングで上位に入ったという報告もあり、市場は常に変化しているようです。
3. 契約内容をしっかり理解する
変額保険は契約内容が複雑であるため、契約前にしっかりと内容を理解することが重要です。特に、元本割れのリスクや手数料、解約控除などについては十分に理解しておくことが大切だと言われています。
4. 長期的な視点で考える
変額保険は長期的な資産形成に適した商品とされています。短期間で解約すると解約控除が発生するため、長期的な保有を前提に検討することが重要だと言われています。
まとめ:変額保険は”やばい”のか、”やめたほうがいい”のか
変額保険が”やばい”、”やめたほうがいい”と言われる主な理由は、元本割れのリスク、高い手数料、商品の複雑さ、景気への影響されやすさなどが挙げられます。これらの欠点は確かに存在しますが、必ずしも全ての人に変額保険が不向きというわけではなく、以下のような人には適している可能性があるようです。
- 保障と資産形成を両立させたい人
- インフレ対策を考えている人
- 長期的な視点で資産形成を考えている人
- 運用リスクを理解し、許容できる人
- 経済的に余裕がある人
変額保険に関する誤解も存在するため、加入を検討する際には、しっかりと商品内容を理解し、自分の状況やニーズに合っているかを慎重に判断することが重要だと言えるでしょう。
また、保険のプロの間でも意見が分かれる商品であることからも分かるように、変額保険の評価は一概には言えず、個人の状況や価値観によって異なるものだと考えられます。
変額保険が「やばい」「やめたほうがいい」と言われる背景には、商品の複雑さゆえの誤解や、一部の不適切な販売方法によるトラブルもあるようです。しかし、商品の特性を正しく理解し、自分に合った選択をすれば、変額保険も資産形成の選択肢の一つとなり得ると言えるでしょう。
最終的には、自分のニーズやリスク許容度、資産状況などを踏まえた上で、専門家のアドバイスを受けながら判断することが大切だと言えます。変額保険を含め、様々な金融商品の特徴を理解し、自分に合った資産形成の方法を選択していくことが重要ではないでしょうか。
