ネット保険が”やばい”といわれているのはなぜ?

ネット保険が”やばい”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”ネット保険はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

本当にネット保険はやばいのか、デメリットとメリットの両面から真相に迫る

ネット保険が「やばい」「やめたほうがいい」と言われる理由についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。インターネットで手軽に加入できるネット保険は、低価格で便利な一方で、様々な懸念や批判の声も見られます。本記事では、ネット保険に関する良い評判と悪い評判の両面を検証し、その実態に迫ります。

ネット保険とは何か

ネット保険とは、実店舗や営業担当者を介さず、インターネット上で申し込みから契約までの手続きができる保険のことです。自動車保険や生命保険、医療保険などがあり、「ダイレクト型保険」「通販型保険」とも呼ばれています。店舗運営費や人件費などのコスト削減により、保険料が割安になることが大きな特徴です。

ネット保険が”やばい”と言われる主な理由

インターネット上では、ネット保険について「やばい」という評価が見られることがあります。その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

1. 事故対応に関する不満

ネット保険が「やばい」と噂される最も多い理由のひとつに、事故発生時の対応に関する不満があるようです。特に自動車保険においては、「窓口の事故対応が最悪」といった厳しい評価や、「保険金不払い」といった口コミも見られます。

事故対応は保険会社によって大きな差があり、対応の質が悪いと感じた顧客からの否定的な評価が広がりやすい傾向があるとされています。ある匿名の投稿では、「過失割合が10:0だと、一方的に保険金を払わない方向で処理しようとする史上最悪の保険会社です」という厳しい批判も見られました。

YouTubeなどの動画コンテンツでも、「ネット型自動車保険の罠」として、事故対応の問題が指摘されています。基本的に事故をして保険を使うと大手であれば事故の担当者がつきますが、ネット型自動車保険の場合は特定の担当者がつかず、事故番号のようなものを付与され、その番号を伝えることでオペレーターが対応するというシステムになっているケースもあるようです。

2. 保険金の支払い査定の厳しさ

加害者側の保険会社が被害者に低い慰謝料を提示してくることがあるという指摘もあります。その理由としては以下のような要因が挙げられています。

  • 治療期間が短い
  • 通院日数が少ない
  • 正しい後遺障害等級が認定されていない
  • 被害者の過失割合が大きく設定されている
  • 被害者が自力・単独で示談交渉している

こうした保険金の支払い査定の厳しさが、「保険会社は支払い渋りをする」という不信感につながっているようです。

3. 苦情件数の多さと顧客満足度の低さ

日本損害保険協会や外国損害保険協会が公表している苦情件数のデータによると、一部の保険会社は他社と比較して苦情発生率が高いとされています。特にSBI損保やチューリッヒ保険などの名前が挙げられていることがあり、2023年度の苦情件数が多かったとされる会社について、「苦情発生率の高さ」が指摘されています。

また、一部の評価サイトでは、特定の保険会社について「人気はあるが、加入者の満足度は最低レベル」と評価されているケースもあるようです。

4. ネット保険の構造的なデメリット

ネット保険には、その性質上いくつかの構造的なデメリットがあります。

保険商品や特約の種類が限られる

ネット保険は対面型に比べて、取り扱っている保険商品や特約の種類が限られている場合があります。このため、利用者が特定の保険商品や特約などを希望する際に、ネット保険では満足のいく選択肢を見つけられない可能性があります。

特に終身保険や個人年金保険などの貯蓄型保険、外貨建て保険のような投資性の高い商品は、対面で丁寧な説明や契約者の適合性確認を行う必要があるため、基本的にネットからの申し込みはできないケースが多いようです。

プロからのアドバイスを受けられない

ネット保険は、プロからの直接的なアドバイスを受ける機会がありません。保険代理店や生命保険会社の担当者から対面でのアドバイスが得られないため、すべて自身で決める必要があります。

個人のライフスタイルや経済状況に応じて、何が本当に必要な保険なのか、また不要な保険は何かを見極めるのは、専門知識がなければ難しいことが多いです。その結果、保障内容が不十分であったり、必要以上に保険に加入してしまうリスクがあります。

加入後の手続きもすべて自分で行う必要がある

ネット保険では、加入後の手続きも自分で管理する必要があります。対面型の保険では、担当者が定期的に連絡を取り、保障の見直しや給付金の案内をしてくれることがありますが、ネット保険ではすべて自分で調べ、対応しなくてはなりません。

例えば、給付金の請求手続きや住所変更、保障内容の見直しも自分で行う必要があります。これらの手続きを自己管理する負担を考慮する必要があるでしょう。

保険の知識がないと危険な場合がある

ネット型保険は基本的にプランを選ぶ際に、対人対物人身障害車両保険などと区分けがあり、一つずつ特約や保証に入るか入らないかを自分自身で選択していきます。保証金額の設定などを判断に困りそうなものには「最も加入している方が多い金額におすすめ」といった表示がされることがありますが、これが必ずしも自分に合った選択とは限りません。

保険の専門知識がない状態で自分だけで判断すると、必要な保障が不足したり、逆に不要な特約に加入して保険料が高くなったりするリスクがあります。

ネット保険の良い評判・メリット

一方で、ネット保険には多くのメリットも存在します。実際の口コミや評判からは、以下のような良い面が挙げられています。

1. 保険料の安さ

ネット保険の最大のメリットは、対面販売よりも保険料が安い点です。店舗運営費や人件費が発生しないため、その分保険料を抑えることができます。ネット保険の中には、月額1,000円以下で収まる商品もあるようです。

「他の保険会社と比較したがかなり安かったし、ゴールド免許やネットで申し込む際の割引などが適用されるので、結果的に思っていた以上に安く済む」という口コミもあります。保険は数年単位の長期的な契約が前提となるため、費用が安い保険を契約できれば無理なく保険料を払い続けられ、途中解約のリスクも下げられるでしょう。

2. シンプルでわかりやすい商品設計

ネット保険は「シンプルな構成で大きいフォントサイズを使用し、どの年代の方でも検索がしやすいサイト」という評価もあります。また、「コンテンツが見やすくシミュレーションもできるので、毎月の掛け金や保障内容も確認できる」と利便性を評価する声もあります。

「必要最低限の補償を選ぶことができて助かる。対面だと断りづらいことも、パソコン上で選択するだけなので気にしなくて良い」というように、自分のペースで検討できる点も評価されています。

3. 加入手続きの手軽さ

「加入手続きがネットでできたため比較的気軽だった」「手続きが簡単だったことと、保険料が安かった」といった口コミがあるように、時間や場所を選ばずに手続きができる点は大きなメリットとなっています。

「ネットで簡単に申し込みができた」「パソコン上で手続きができ、人を介することなく全てオンライン上で手続きができた」といった声からも、対面での説明や勧誘を受けることなく自分のペースで加入できる利便性が評価されていることがわかります。

4. 優れた顧客対応とサポート

ネット保険でも、電話サポートが充実している会社もあります。「ネット保険ながら、電話での相談には応じてもらえ、補償の違いなどを丁寧に何度でも答えてくれた。コールセンターが大変しっかりサポートしてくれ、あやふやだったりたらい回しなどもなかった」という口コミもあります。

特にソニー損保などは、外部機関による顧客満足度ランキングで首位を複数回取得するなど高い評価を受けており、「まさかの時に電話してもオペレーターの対応は適切」「しっかり最後まで書面や電話で報告をしてくれた」など、良好な対応を評価する声も見られます。

ネット保険が選ばれる背景

これまでの評判や口コミから、ネット保険にはメリットとデメリットの両面があることがわかります。それでも多くの人がネット保険を選択しているのは、どのような理由からでしょうか。

1. 保険料の透明性

ライフネット生命などは「保険料の内訳を公開しており、この透明性の高さも顧客満足度の高さにつながっている」と評価されています。また、保険料の内訳以外にも「保有契約件数」「支払い実績」「ソルベンシー・マージン比率」といった情報も公開されており、その透明性が信頼につながっているようです。

2. オンライン社会への適応

近年のデジタル化の流れに合わせて、保険商品もオンラインで完結することへのニーズが高まっています。特にZ世代や若年層を中心に、「スマホで申し込みが出来るのでとても便利」「ネットだけで完結出来て良かった」という評価が見られます。

3. 特定の層に合ったシンプルな保障

ライフネット生命のような会社は「若い独身の方」「必要最低限の保障で低価格の保険に加入したい方」「保険への加入をネットでカンタンに済ませたい方」「妊娠中だけど保険に加入したい方」などに向いているとされています。必要な保障だけを選びたい層にとっては、シンプルな商品設計は大きなメリットになります。

ネット保険を選ぶ際の注意点

ネット保険に加入を検討する際は、以下のような点に注意すると良いでしょう。

1. 自分に合った保険会社の選択

ネット保険の中でも会社によって特徴や強みは異なります。例えば、価格.comの保険ランキングでは、ライフネット生命、はなさく生命、SBI生命、オリックス生命などがネット生命保険のランキング上位に挙げられていますが、それぞれ特徴が異なります。

口コミや評判、公式サイトの情報などを比較検討し、自分のニーズに合った保険会社を選ぶことが大切です。

2. 保障内容の十分な確認

ネット保険はシンプルな保障内容が特徴ですが、「シンプルでわかりやすい保険ですが、あとあと足りないなと感じてしまいました」という声もあります。「必要最低限必要な方におすすめ」という評価があるように、保障の厚さを求める場合は注意が必要です。

契約前に保障内容を十分に確認し、必要な保障が得られるかどうかを検討しましょう。

3. サポート体制の確認

「ネットで申し込みから契約まで完結することに惹かれて加入したものの、入院について細かく話を聞くことができず、電話やメールで聞いても即座に返事が返ってこなかった」という不満の声もあります。契約後のサポート体制も確認しておくことが重要です。

電話サポートの対応時間やメールでの問い合わせへの対応の速さなど、万が一の時にどの程度サポートを受けられるかを事前に調べておくと安心です。

4. 保険相談サービスの活用

ネット保険について迷った場合は、保険相談サービスを利用するという選択肢もあります。「ほけんのぜんぶ」「保険見直しラボ」「保険見直し本舗」「保険とみらい」などの無料相談窓口では、ファイナンシャルプランナーに相談しながら自分に合った保険を選ぶことができます。

複数の保険会社を比較検討でき、プロの意見も聞けるため、より適切な判断ができるでしょう。

ネット保険は本当に”やめたほうがいい”のか

ネット保険が「やばい」「やめたほうがいい」と噂される背景には、事故対応への不満や保険金の支払い査定の厳しさ、サポート体制の不十分さなど、様々な要因があるようです。しかし、すべてのネット保険が問題を抱えているわけではなく、顧客満足度の高い会社も多く存在します。

メリットとしては、保険料の安さ、手続きの手軽さ、シンプルでわかりやすい商品設計などが挙げられます。自分のニーズや状況に合わせて、メリットとデメリットを比較検討することが大切です。

特に「保険の知識がないと危険な場合がある」というデメリットについては、自分自身で十分に学ぶか、プロのアドバイスを受けるなどの対策を取ることで回避できる可能性があります。

まとめ

ネット保険が「やばい」と言われる理由には、一部の保険会社における事故対応や保険金支払いへの不満、サポート体制の不十分さなどがあります。しかし、すべてのネット保険が同じではなく、会社によって特徴や強みは異なります。

保険料の安さや手続きの手軽さといったメリットを活かしつつ、自分のニーズに合った保険会社を選び、十分な情報収集と比較検討を行うことが重要です。また、不安がある場合は、保険相談サービスを利用してプロのアドバイスを受けることも一つの選択肢と言えるでしょう。

ネット保険が自分に合っているかどうかは、個人の状況やニーズによって異なります。「やめたほうがいい」という一般論ではなく、自分自身の状況に照らし合わせて判断することが大切です。

保険選びは長期にわたって影響する重要な決断です。十分な情報収集と比較検討を行い、自分に最適な選択をしましょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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