JA共済自動車保険が”ひどい”といわれているのはなぜ?

JA共済自動車保険が”ひどい”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”JA共済自動車保険がやばい”と口コミや評判で言われている原因と真相について解説

JA共済の自動車保険(クルマスター)についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。「ひどい」、「やばい」という厳しい評価がある一方で、多くの加入者から支持される理由もあるようです。本記事では両面からの評価を公平に検証し、実際のところどうなのかを探っていきます。

JA共済自動車保険とは~保険と共済の違い

JA共済は農業協同組合(JA)が運営する相互扶助の仕組みであり、厳密には「保険」ではなく「共済」に分類されます。自動車共済「クルマスター」は、JA共済が提供する自動車事故に関する保障制度です。

共済と保険の主な違いは、共済が非営利目的である点です。保険会社が株主への配当を目的とした営利組織であるのに対し、共済は組合員同士の相互扶助を目的としています。このため、理論的には掛金(保険料)が安くなる傾向があるとされています。

JA共済自動車保険が「やばい」と言われる理由

インターネット上では、JA共済の自動車保険に対して厳しい評価が散見されます。特に目立つのが事故対応に関する不満です。具体的にどのような点が批判されているのか見ていきましょう。

1. 事故対応の遅さと質の問題

多くの批判的な意見が集中しているのが、事故発生後の対応についてです。みん評などの口コミサイトでは、以下のような声が寄せられています。

「バイクで直進中に右折車両が後輪に接触、転倒して骨折。病状が安定したので休業補償の話と入院中の経費を請求したのですが、来月ぐらいに連絡しますから約半年連絡なし」

「追突事故被害者です。警察からも100:0の人身事故と認められて私には全く非がありません。ぶつけてきた相手の保険がJAのため、現在進行形で対応してもらってますが、全く誠意が感じられません」

このように、特に被害者側からの評価が厳しい傾向が見られるようです。連絡の遅さや対応の不誠実さを指摘する声が複数確認できます。

2. 担当者による対応の差

JA共済の場合、専門性や対応の質に担当者間で差があるという指摘も見られます。

「担当者にもよるのか、事故対応は良くなかった。知識のレベルもまちまちのようだ」

「基本的にはまじめで親切だが、担当者によって保険の知識に差があるような気がする」

これは、JA共済が自動車保険や事故処理の専門業者ではなく、農業協同組合の一事業として運営されていることが関係しているかもしれません。「自動車保険、事故、専門の人間がいないため、他の保険会社と揉めたときに弱く」という指摘もあります。

3. 特殊な制度設計の問題

JA共済の自動車保険には、一般的な自動車保険とは異なる制度設計があり、これが不利に働く場合があるようです。

例えば、等級制度については「等級の低い方々に厳しい(=高額になる)価格体系」と指摘されています。具体的には1等級の場合、一般的な自動車保険が108%の割増なのに対し、JA共済では164%と大幅に高くなるとの指摘があります。

また、弁護士費用特約については「JA共済の弁護士費用特約では、ほかの損保・共済とは異なり契約者ご本人・配偶者・同居の親族・未婚の子であっても、その方々が所有する弁護士費用特約が付いていない他の自動車に搭乗中の場合の事故では、弁護士費用特約が使えません」という特殊な制約があるようです。

4. 保障内容のカスタマイズ性の低さ

「JAの場合細かい設定ができないために余分なものばかりついてきて高くなり、その保証も使える範囲が自分にしか使えなかったりかなりシビアです。最近の他の自動車保険は安いのに家族も使えるところが多いです」という意見もあります。

保障内容を細かくカスタマイズできない点が、ユーザーのニーズと合わないケースがあるようです。

JA共済自動車保険の良い評判とメリット

一方で、JA共済の自動車保険には良い評価も多く存在します。特に価格面での優位性を評価する声が目立ちます。

1. 保険料の安さ

「JA共済「クルマスター」は、ダイレクト型自動車保険の相場と同じくらいか、もっと安くなるのですね!」と評価されています。実際にJA共済「クルマスター」の保険料を7パターンの年齢と等級の組み合わせでシミュレーションした結果、ダイレクト型自動車保険の相場と同等か安くなるという検証結果もあります。

このため「安さを最重要視する人には、要チェックな商品です!」との評価も見られます。

また、実際の利用者からも「ちょうど保険更新時期なので他の自動車保険で同条件で見積もりしたら、JAでは72860円と言われたものが46120円になりました」といった肯定的な意見もありますが、この事例では結局他社の方が安かったようです。

2. 地域密着型サービスの安心感

JA共済の地域密着型のサービスを評価する声も見られます。

「地域密着がJAのいいところ。何かあれば顔なじみの職員さんに相談できる」

「普段からJAとの付き合いがあるため、色々一本化できるのが便利でいい」

特に農村部や地方では、JAが地域のコミュニティの中心的存在となっている場合も多く、そうした地域では「顔が見える関係性」が安心感につながっているようです。

3. 事故対応の良さを評価する声も

事故対応に関しては厳しい評価が多い一方で、良い評価も見られます。

「スリップ事故を起こした際、JAの休業日だったが、夜間休日相談センター電話すると迅速に対応してもらえた」

「夜中の事故でもすぐ連絡がとれ、的確な指示をしてくれた」

「保険料が安くて最初は不安だったが、対応もよく、事故時も誠実に対処してもらえた」

このように、事故時の対応について満足している利用者も少なくないようです。

4. 財務の健全性

JA共済は「国内有数の巨大金融機関」としての安定感があり、ソルベンジーマージン比率(保険会社の支払余力を示す指標)も898.5%と高い水準にあるようです。財務基盤の安定性という点では安心できる部分があるといえるでしょう。

JA共済自動車保険の評判に見られる傾向と特徴

口コミを全体的に見ると、いくつかの傾向が見えてきます。

1. 被害者と加害者で評価が分かれる傾向

JA共済の契約者(加害者側)と、事故の相手方(被害者側)では評価が大きく分かれる傾向があるようです。

「加害者には良いかもしれませんが、被害者にとっては、対応が遅く平気で嘘をつく最悪な共済保険です」

「被害者の為にも普通の保険会社に入って欲しいです」

JA共済が契約者の利益を優先するあまり、被害者への対応が不十分になっているケースがあるのかもしれません。

2. 地域や担当者による差

JA共済の評価は地域や担当者によって大きく異なる可能性があります。JAは全国組織ですが、実際の運営は各地域のJAに委ねられている部分が大きいため、対応の質にばらつきがあるのかもしれません。

「JA担当者を途中で変更せざるを得ないくらいひどい保険会社」という意見がある一方で、「JA農協窓口の、保険担当者はとても感じ良かった」という声もあります。

3. 評判サイトのバイアス

評判サイトには否定的な意見が集まりやすいという特性があります。実際、みん評のサイト自体にも「当サイトの性質上、否定的な意見は多くなります。低評価が多いからといって必ずしも品質に問題があるわけではありません」と記載されています。

JA共済自動車保険のメリットとデメリット

ここまでの情報を整理すると、JA共済自動車保険には以下のようなメリットとデメリットがあるようです。

メリット

  1. 保険料が比較的安い傾向にある
  2. 地域密着型で窓口相談がしやすい
  3. 財務基盤が安定している
  4. シンプルな保障内容でわかりやすい

デメリット

  1. 事故対応に不満を持つ声が多い
  2. 担当者の知識や対応にばらつきがある
  3. 等級の低い人には不利な料金体系
  4. 保障内容のカスタマイズ性が低い
  5. 弁護士費用特約など一部特約に制約がある

JA共済自動車保険の保障内容

JA共済自動車保険「クルマスター」の保障内容は以下のようになっています。

  • 車両条項:契約車両の事故による損害を保障
  • ロードアシスタンス:走行不能時のサービス提供
  • 対人賠償:他人を死傷させた場合の賠償責任を保障
  • 対物賠償:他人の財物を破損した場合の賠償責任を保障
  • 人身傷害:自動車事故によるケガ等の損害を実損で保障
  • 傷害定額給付:自動車事故によるケガ等を定額で保障

また、特約として以下のようなものがあるようです。

  • 車両諸費用保障特約:代車費用や積載動産の損害を保障
  • 地震等車両全損時給付特約:地震・津波による全損時に保障
  • 車両超過修理費用保障特約:修理費が共済価額を超える場合に保障

JA共済自動車保険を選ぶ際の注意点

JA共済自動車保険を検討する際には、以下の点に注意するとよいでしょう。

1. 事故対応の重要性を考慮する

保険料の安さだけでなく、万が一の事故時の対応の質も重要な選択基準です。特に初めての契約や事故経験が少ない場合は、手厚いサポートが得られるかどうかを確認するとよいでしょう。

2. 地域のJAの評判を調べる

JAの対応は地域によって差があるようです。地元の知人や親族など、実際にJA共済を利用している人から評判を聞いてみるのも良い方法かもしれません。

3. 自分の条件に合っているか確認する

等級の低い方には割増率が高くなる傾向があるようです。また、保障内容のカスタマイズ性にも制約があるため、自分のニーズと合っているかをよく確認するとよいでしょう。

4. 特約の内容を詳しく確認する

特に弁護士費用特約などは一般的な自動車保険とは異なる制約があるようです。契約前に特約の詳しい内容を確認しておくことが重要です。

総合評価:JA共済自動車保険の真相

JA共済自動車保険が「やばい」と言われる主な原因は、事故対応の質にあるようです。特に被害者側からの評価が厳しく、対応の遅さや不誠実さを指摘する声が目立ちます。

一方で、保険料の安さや地域密着型のサービスを評価する声も多く、一概に「良い」「悪い」と断言できるものではないようです。

重要なのは、自分のニーズや状況に合った選択をすることでしょう。保険料の安さを最優先するのか、事故時の対応の質を重視するのか、地域密着型のサービスに価値を見出すのか、それぞれの優先順位に応じた選択が必要です。

また、JAは全国組織ですが実際の運営は各地域のJAに委ねられている部分が大きいため、地域によって対応の質に差がある可能性も考慮する必要があるでしょう。

いずれにせよ、自動車保険は万が一の事故に備えるものです。保険料だけでなく、保障内容や事故対応の質なども含めて総合的に判断することが重要だといえるでしょう。

まとめ

JA共済自動車保険「クルマスター」は、保険料の安さがメリットである一方、事故対応に関しては評価が分かれているようです。「やばい」と言われる理由の多くは事故対応の質に関するものですが、地域や担当者によって対応に差がある可能性もあります。

自動車保険を選ぶ際には、保険料だけでなく事故時のサポート体制も重要な検討材料です。JA共済自動車保険を検討される場合は、地域のJAの評判も参考にしつつ、自分のニーズに合った選択をすることをおすすめします。

最後に、本記事で紹介した評判や口コミはあくまで一部の意見であり、すべてのJA共済の対応を代表するものではありません。保険選びの参考情報として捉え、ご自身の判断で最適な選択をされることを願っています。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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