トラクタブル社とあいおいニッセイ同和損保が提携

トラクタブル社とあいおいニッセイ同和損保が提携
ライター:関野 良和

トラクタブル社との提携によりAI画像分析による建物診断サービスを開始

三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、Tractable Ltd.は、住宅の適切な維持・管理を支援するため、AI画像分析を用いた建物診断サービスを開始しました。本サービスは、住宅の外観写真を顧客が撮影し、AIが分析することで損傷の有無を診断し、レポートとして提供します。このサービスにより、顧客は住宅の状態を簡単に確認でき、火災保険のアンダーライティング力の向上にも寄与します。背景には、自然災害の多発や建築価格の高騰など、日本の住宅を取り巻く課題があり、定期的な診断とメンテナンスの重要性が増しています。

トラクタブル社の概要

  • 企業名: Tractable Ltd.(トラクタブル)
  • 本社所在地: イギリス・ロンドン
  • 事 業 内 容:ロンドン・ニューヨーク・東京に拠点を設け、自動車事故や災害発生時の迅速な保険金支払いや損害復旧を可能にするAIソリューションを開発。自動車損害調査におけるソリューションでは1億枚以上の画像データ等をAIモデルに学習させ、北米・ヨーロッパ・アジアの10か国以上でソリューションを提供。

このニュースのなポイント

  • 三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、Tractable社の共同提供
  • AIが顧客の撮影した住宅外観写真を分析し損傷を診断
  • 診断結果レポートを無償提供
  • 自然災害や建築価格高騰などの住宅環境の課題解決に寄与

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損保、Tractable社が共同で提供

トラクタブル社と提携を開始した背景

日本の住宅市場は、自然災害の多発や建築価格の高騰、人口減少による空き家の増加など、さまざまな課題に直面しています。これらの問題を解決するためには、住宅の定期的な診断とメンテナンスが必要ですが、その意識が十分に浸透していないのが現状です。また、火災保険の支払保険金が建築からの経過年数に応じて増加する傾向も見られ、大規模な自然災害が発生するとその影響がさらに大きくなります。これらの背景から、住宅の状態を簡単に確認できる診断サービスの提供が求められていました。

新たに提供される建物診断サービスは、顧客がスマートフォンなどで撮影した住宅の外壁や雨どいの画像をAIが分析し、損傷の有無を診断します。この診断結果をレポートとして顧客に無償で提供することで、住宅の維持・管理を支援します。このサービスは、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損保が火災保険の契約時に活用し、顧客の防災・減災意識を高めることを目指しています。

AI画像分析による建物診断サービスがもたらす3つのメリット

  1. 住宅管理の効率化: 顧客は簡単に住宅の損傷状態を確認でき、適切な維持・管理が行える。
  2. 保険業務の高度化: 損傷状況のデータを蓄積することで、火災保険のアンダーライティング力が向上する。
  3. 防災意識の向上: 診断結果により顧客の防災・減災意識が高まり、安全な住宅づくりが促進される。

AI画像分析による建物診断サービスがもたらす3つのデメリット

  1. 技術依存のリスク: AIの診断精度に依存するため、誤診のリスクがある。
  2. プライバシーの懸念: 住宅の画像を共有することによるプライバシー問題が生じる可能性がある。
  3. サービス導入コスト: 初期導入やシステム運用にかかるコストが発生する。

長期的な住宅の価値保持に貢献

このサービスは、日本の住宅市場が抱える多くの課題に対する有効な解決策となる可能性があります。特に、自然災害の多発や建築価格の高騰といった問題に対して、定期的な診断とメンテナンスの重要性を再認識させることで、長期的な住宅の価値保持に貢献するでしょう。また、AI技術を活用することで、従来の方法よりも迅速かつ正確な診断が期待でき、保険業界のデジタル化をさらに進展させるものと考えられます。

台風などによる被害で自宅の外壁に損傷が発生した場合、専門業者による診断を受けることが一般的ですが、時間とコストがかかりるためこのようなサービスがあれば、もっと早く、そして簡単に損傷を確認し、修理に取りかかることができるようになるでしょう。 そして顧客が自身で状態を確認できることで、迅速な対応が可能となり、被害の拡大を防ぐことができるのは大きなメリットです。

タグ:
執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としている。 港区を中心にグルメ情報にも精通しており、独自の切り口でレポートを行う。
関野 良和の執筆記事一覧・プロフィールへ