三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が「再発防止費用補償特約」を販売

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が「再発防止費用補償特約」を販売
ライター:関野 良和

企業向け火災保険で「再発防止費用補償特約」を販売

三井住友海上火災保険株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、新たな企業向け火災保険特約「再発防止費用補償特約」を発表しました。この特約は、企業の敷地内で火災や爆発事故が発生した際に、その再発防止のために企業が負担する追加費用を補償するものです。事故発生時に支払われる損害保険金に加え、再発防止のための費用(最大5,000万円)が補償されるため、企業の防災・減災取組を支援します。リスクコンサルティングノウハウを活用し、より効果的な防災対策を実現します。

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が「再発防止費用補償特約」を販売

再発防止費用補償特約販売の背景)

近年、老朽化した建物や設備が原因の火災や爆発事故が増加しており、特に大規模な工場での被害が顕著です。このような状況において、企業は事故の再発防止や被害軽減に向けた取り組みの重要性を認識しています。しかし、従来の火災保険は事故発生時の復旧費用のみを補償しており、再発防止に必要な追加費用は補償されていませんでした。この問題を解決するために、三井住友海上火災保険株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、企業が自発的に再発防止に取り組むことを支援する特約を開発しました。

再発防止費用補償特約の特徴、特色

「再発防止費用補償特約」の最大の特徴は、企業が事故の再発防止に向けて支出する追加費用を補償する点にあります。具体的には、火災や爆発事故が発生し、損害保険金の支払額が1,000万円以上となった場合、従来の火災保険でカバーされる損害保険金や費用保険金に加え、再発防止のために企業が支出する費用を最大5,000万円まで補償します。これは、企業が安全対策に投資しやすくすることで、防災・減災取組の中長期的な強化を支援するものです。

また、特約の適用には、MS&ADインターリスク総研株式会社による専門的なリスクコンサルティングが行われます。このコンサルティングにより、企業の再発防止対策が確認・認定され、適切な再発防止費用が補償されることで、企業の取り組みがより効果的に進められるようになります。

対象となる保険商品は、三井住友海上の「プロパティ・マスター」とあいおいニッセイ同和損保の「企業財産包括保険」であり、これらの商品を通じて多くの企業が本特約の恩恵を受けることができます。

具体的な再発防止取組の例としては、火災事故が発生した工場建物にスプリンクラー設備を新たに設置することや、爆発事故が発生したプラント設備にセンサー等のIoT機器を新設することが挙げられます。これらの対策は、企業の安全性を向上させるだけでなく、事故の再発を防ぐための有効な手段となります。

再発防止費用補償特約のメリット

「再発防止費用補償特約」には、以下のようなメリットがあります。まず、企業が事故の再発防止に積極的に取り組むことを促進するため、企業の安全性が向上します。また、火災や爆発事故の再発を防ぐことで、企業の財務リスクが低減され、経営の安定性が向上します。さらに、専門的なリスクコンサルティングを受けられるため、企業は効果的な防災対策を実施しやすくなります。これにより、企業の中長期的な防災・減災取組が支援され、結果として社会全体の安全性も向上することが期待されます。

再発防止費用補償特約のデメリット

「再発防止費用補償特約」には、以下のようなデメリットも存在します。まず、特約を追加することで保険料が増加する可能性があります。企業にとっては追加のコストとなるため、経済的な負担が増えることが懸念されます。また、再発防止費用の確認・認定を受ける手続きが必要となるため、手続きが煩雑になる可能性があります。さらに、この特約は大口事故に限定されているため、小規模な事故には適用されない点も注意が必要です。企業はこれらのデメリットを考慮しつつ、特約の導入を検討する必要があります。

再発防止費用補償特約は経営の安定性向上に寄与

再発防止費用補償特約は経営の安定性向上に寄与

「再発防止費用補償特約」は、企業にとって非常に有益な特約であると考えられます。特に、大規模な工場やプラントを運営する企業にとっては、火災や爆発事故のリスクは常に存在しており、その影響は甚大です。この特約により、企業は再発防止に向けた積極的な取り組みを行いやすくなり、結果として企業の安全性が向上します。また、再発防止対策に投資することで、長期的には事故の発生を未然に防ぐことができ、経営の安定性が高まるでしょう。

一方で、特約を導入する際には、企業がその効果を十分に理解し、経済的な負担を考慮する必要があります。特約の適用には専門的なリスクコンサルティングが行われるため、そのプロセスを理解し、適切に対応することが求められます。また、大口事故に限定されるため、企業は自社のリスクプロファイルを十分に評価し、特約の導入が適切かどうかを判断することが重要です。

総じて、この特約は企業の防災・減災取組を支援するための強力なツールであり、企業の安全性と経営の安定性を向上させるために有効であると考えられます。企業はこの特約を活用することで、事故の再発を防ぎ、持続可能な経営を実現することができるでしょう。

復旧作業には多額の費用と時間がかかり、企業全体に大きな影響を与えました。しかし、再発防止のための対策には十分な資金を割くことができず、不安を抱えたまま業務を再開することになりました。この経験から、事故の再発防止に向けた費用を補償する特約の重要性を強く感じます。企業が安心して再発防止に取り組める環境を整えることは、企業の安全性向上と持続可能な経営の実現に不可欠です。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としている。 港区を中心にグルメ情報にも精通しており、独自の切り口でレポートを行う。
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