「マネックスの保険買取」が初の生命保険契約の買取を完了


【日本初の事例】マネックスが開拓する「生命保険買取」~がん患者に新たな資金調達の選択肢
生命保険の“第三の活用法”が日本に上陸
マネックスグループの子会社であるマネックスライフセトルメント株式会社(以下、MLS社)は、2024年7月よりスタートした生命保険買取サービス「マネックスの保険買取」において、ついに日本初となる上場企業グループによる生命保険買取の実例を公表しました。
このサービスは、がん患者を対象に、既に契約中の生命保険をMLS社が買い取るというもので、患者が生前に保険契約を資金化できる「ライフセトルメント」という仕組みを活用しています。これまでは欧米で普及していたこの仕組みが、日本でもついに信頼性ある企業を通じて本格的に動き出したという点で、大きな注目を集めています。
保険を“売る”という新しい選択──がん患者を支援する目的で誕生
MLS社が買い取ったのは、「無解約返戻金型定期保険」という法人契約の保険で、保険金額は4,000万円。実際に買取額として支払われたのは2,650万円です。
この事例では、がんを患った法人代表者が、会社の資金繰りのために保険を資金化したいというニーズをMLS社が受け止め、買取を実施しました。一般的にこのタイプの保険は中途解約しても返戻金がないため、金銭的価値を得る手段がなかったのですが、ライフセトルメントを活用することで新たな活路を見出すことができたのです。
ライフセトルメントとは何か?──欧米では一般的な制度
日本ではまだあまり知られていませんが、「ライフセトルメント」は欧米で数十年の歴史がある制度で、高齢者や重病患者が生前に保険契約を売却し、資金を得ることを可能にするものです。
生命保険の通常の活用方法には以下の2つがあります:
- 死亡時に保険金を受け取る
- 生前に途中解約し、解約返戻金を受け取る
それに対し、ライフセトルメントは「第三の選択肢」として、保険契約を第三者に売却することで、契約者が必要な時に現金を得ることができます。
「マネックスの保険買取」が示すライフセトルメントの可能性
今回のMLS社の取り組みは、特に以下のような課題を抱える保険契約者にとって、大きな意味を持ちます:
- 解約返戻金のない保険契約を持っている
- リビング・ニーズ特約(余命半年以内などの条件で生前に保険金が支払われる特約)がない
- すぐに治療費や生活費が必要だが、他に資金調達手段がない
「マネックスの保険買取」は、こうした人々に対して、新たな選択肢を提供しています。
また、以下のようなメリットがあるとされています:
- 解約返戻金がない契約でも現金化できる可能性がある
- 解約返戻金より高額で売却できる場合がある
- リビング・ニーズ特約よりも早期に資金を得られる
- 将来的に保険契約を買い戻すことも可能なケースがある
注意点も理解しておきたい
一方で、注意すべきポイントも存在します。
- 保険金の受取人が変更になるため、家族に対する保障が失われる可能性がある
- 保険契約を続けた場合に比べて、受け取れる金額が少なくなる場合がある
この制度を利用する際には、契約内容や将来のライフプラン、家族との相談など、総合的な判断が重要です。
日本市場における今後の展望──制度の発展と認知度向上へ
米国などではライフセトルメントは既に金融商品としての地位を確立しており、多様な企業や投資家が参入しています。一方で、日本ではまだ制度的整備や認知が進んでおらず、黎明期にあると言えます。
そんな中、マネックスグループは「生涯バランスシートの最良化」を掲げ、生命保険契約という資産を生前に有効活用できる仕組みとしてライフセトルメントを提案。がん患者の経済的・心理的負担を軽減する取り組みは、今後の高齢化社会においても非常に意義のあるものとなるでしょう。
今後、MLS社の事例を皮切りに、ライフセトルメントという新たな選択肢が日本にも広がる可能性があります。制度の整備、企業の参入、そして消費者の理解と信頼の獲得が、これからの大きなテーマとなるでしょう。
