損保ジャパンが自動車保険の不正請求防止に向けた専門部署を新設

損保ジャパンが自動車保険の不正請求防止に向けた専門部署を新設
ライター:関野 良和

自動車保険の不正請求防止に向けた新たな取り組みとは?

AI活用で不正検知を高度化、迅速な保険金支払いも実現へ

損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)は、自動車保険における保険金の不正請求を防止するため、2025年4月に専門部署を新設し、米EIS Group, Inc(以下、EIS)の不正請求検知システムを導入することを発表しました。近年、不正請求はますます巧妙化・組織化しており、公正な保険金支払いの妨げとなるだけでなく、契約者全体の保険料負担にも影響を与える重大な問題です。損保ジャパンは、専門部署の設置とデジタル技術の活用によって、不正請求の早期発見と迅速な支払いの両立を図るとしています。

  • 損保ジャパンが2025年4月に不正請求対応専門部署を新設
  • 米EIS社のAIシステムを導入し、不正請求の早期発見を強化
  • 専門部署とデジタル技術の融合で、公正かつ迅速な保険金支払いを目指す

損保ジャパンが自動車保険の不正請求防止に向けた専門部署を新設

新たな取り組みの概要

① 不正請求対応専門部署の新設

  • 2025年4月に専門部署を設置し、不正請求を一元管理
  • 不正請求の手口分析や調査ノウハウを蓄積し、全国の保険金サービス拠点へ展開
  • 専門的な知見を持つ担当者が不正事案の対応を強化

② AIを活用した不正請求検知システムの導入

  • EIS社のシステムが過去のデータをAIで分析し、不正請求の可能性をスコアリング
  • 事故申告内容や契約情報と照合し、不正請求の兆候を迅速に検出
  • 担当者の経験とAI技術の併用で、慎重な調査と迅速な保険金支払いを両立

③ 不正請求事案の対応強化

  • 従来の経験則に基づく対応に加え、デジタル技術を活用した不正検知を強化
  • 専門部署とAIの連携により、不正請求の疑いがある案件をより精密に分析

新たな取り組みのメリット

1. 不正請求の早期発見が可能に

AIを活用することで、不正請求の兆候をより精度高く検知できるため、不正案件への迅速な対応が可能になります。

2. 保険金の支払いが迅速化

疑いのない事案については、これまで以上にスムーズな保険金支払いが実現し、契約者の利便性が向上します。

3. 保険料の適正化につながる

不正請求を防ぐことで、不要な保険金支払いを抑制し、契約者全体の保険料負担の増加を防ぐ効果が期待されます。

こんな方にメリットがある取り組み

  • 公正な保険金支払いを求める保険契約者
  • 不正請求による保険料の上昇を懸念する方
  • 迅速でスムーズな保険金支払いを期待するドライバー

考えられるデメリット

1. 誤検知のリスク

AIの分析によって、不正請求ではない案件が疑われる可能性があり、慎重な運用が求められます。

2. 導入初期の運用負担

新システムの導入には、社員の研修や業務フローの見直しが必要となり、一時的な負担が増える可能性があります。

3. 保険契約者への影響

不正請求対策の強化により、正当な請求でも詳細な確認が必要となるケースが増える可能性があります。

この取り組みが合わない可能性がある方

  • できるだけ簡単に保険金を請求したい方
  • AIによるスコアリングを不安に感じる方
  • 従来の対応方法のほうが安心だと考える方

新システムの利用方法

  • 保険金請求時に、従来通り必要書類を提出
  • AIが過去データと照合し、不正の可能性を分析
  • 専門部署が必要に応じて追加調査を実施
  • 問題がなければ、迅速に保険金を支払い

まとめ:公正な保険金支払いの実現に向けて

損保ジャパンの今回の取り組みは、不正請求の防止だけでなく、適正な保険金支払いの迅速化にもつながる重要な施策です。AI技術を活用することで、不正請求をより精度高く検知し、契約者に公平な保険サービスを提供することが期待されます。今後、火災保険や傷害保険などにもこの取り組みが拡大される予定であり、保険業界全体の透明性向上に貢献する可能性が高いといえるでしょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としている。 港区を中心にグルメ情報にも精通しており、独自の切り口でレポートを行う。
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