はじめに
東京ミッドタウン日比谷は、2018年に竣工した東京都心を代表する大規模複合ビルであり、ビジネス・エンターテインメント・文化が融合する新たなランドマークとして注目されています。本記事では、東京ミッドタウン日比谷に本社を置く代表的企業「旭化成株式会社」を中心に、同ビルの特徴や都市開発の意義、入居企業の多様性、そしてビルがもたらす新しい都市の価値について、詳細かつ長文で解説します。
旭化成株式会社――日本を代表する総合化学メーカーの本社
企業概要
旭化成株式会社は、1922年創業、1931年設立という長い歴史を持つ日本を代表する総合化学メーカーです。2024年3月末現在、連結従業員数は約49,000人、総資産は3兆6,627億円を誇ります。本社所在地は「東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 日比谷三井タワー(東京ミッドタウン日比谷)」であり、ここからグローバルに事業を展開しています。
旭化成は、化学、繊維、住宅、建材、エレクトロニクス、医薬品、医療など多岐にわたる事業領域を持ち、国内外で高い評価と信頼を得ています。特に近年は、サステナビリティやヘルスケア分野への注力、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進など、時代の変化に即した経営戦略を展開しています。
本社移転の経緯と意義
旭化成はかつて、日比谷の三信ビルディングに本社を構えていましたが、再開発に伴い一時的に神田神保町へ移転。その後、東京ミッドタウン日比谷の竣工を機に、約10年ぶりに日比谷の地へ本社を戻しました。この移転は、伝統と革新の融合、グローバルなビジネス拠点としての機能強化、そして社員の働きやすさ・都市型ワークスタイルの実現を象徴しています。
旭化成グループの本社には約1,600人が勤務し、ここから世界中の拠点を統括しています。また、旭化成エレクトロニクス、旭化成ファーマ、旭化成ライフサイエンスなどのグループ企業も同ビル内に本社・主要拠点を構えています。
東京ミッドタウン日比谷の建築的特徴と都市機能
基本スペックと構造
- 所在地:東京都千代田区有楽町1-1-2
- 階数:地上35階、地下4階、ペントハウス1階
- 高さ:191.46m
- 延床面積:189,244.95㎡
- 用途:オフィス、店舗、文化交流施設、産業支援施設、映画館、駐車場等
- 竣工:2018年2月、開業:2018年3月29日
- 設計・監理:ホプキンスアーキテクツ(日建設計監修)、鹿島建設施工
このビルは、地下1階~地上7階が商業フロア、9階~34階がオフィスフロア、6階にはベンチャー企業や大企業が交流するイノベーション拠点「BASE Q」を設置。9階のスカイロビーには空中庭園「スカイガーデン」があり、オフィスワーカーのリフレッシュや多目的利用が可能です。
耐震・環境性能
東京ミッドタウン日比谷は、CFT(コンクリート充填鋼管)構造や逆V字型の巨大トランスファー架構、最先端の制震装置(HiDAX-R)を採用し、超高層ビルとして世界最高水準の耐震性能を実現しています。また、Low-Eガラスや外装のプリーツ形状による熱負荷低減など、環境性能にも優れています。
都市と自然・歴史の融合
「In the Park」というコンセプトのもと、日比谷公園の緑と建物を一体化。低層部は三信ビルディングの意匠を継承し、歴史的景観と現代建築が調和しています。パークビューガーデンや歩行者専用道路、日比谷ステップ広場など、都市の中で自然や憩いを感じられる空間が随所に設けられています。
オフィスフロアの特徴と入居企業
オフィスフロアの概要
オフィスフロアは9階・10階のロビー階から11~34階に位置し、“Business Hospitality”をコンセプトに設計されています。最新のセキュリティ、フレキシブルなレイアウト、共用部の充実、BCP(事業継続計画)対応など、先進的なビジネス環境が整っています。
主な入居企業
- 旭化成株式会社(本社)
- EY Japan(アーンスト・アンド・ヤング日本法人):世界4大会計事務所の一つであり、グローバルな監査・コンサルティングサービスを提供。
- Heitman International(ハイトマン):米国系の不動産投資・運用会社。
- 三機工業株式会社(東京支社・千代田出張所):設備工事大手、三井グループの中核企業。
このほか、IT、ファッション、金融、ベンチャーなど多彩な企業がオフィスを構えています。大手企業だけでなく、イノベーション拠点「BASE Q」にはスタートアップや新規事業部門も集結し、異業種・多世代が交流することで新たなビジネスや価値創造が生まれています。
商業・文化・エンターテインメントの融合
商業フロアとエンターテインメント
地下1階から地上7階には、約60店舗のショップ&レストランが集積。4・5階には都心最大級のシネマコンプレックス「TOHOシネマズ日比谷」(11スクリーン・約2,200席)があり、エリア全体では16スクリーン・約3,400席の映画館ネットワークを形成しています。
歴史と文化の継承
日比谷は明治以来、日本の近代化やエンターテインメントの中心地として発展してきました。鹿鳴館や帝国ホテル、東京宝塚劇場などが並ぶこの地に、東京ミッドタウン日比谷は「劇場空間都市」というコンセプトで新たな文化発信拠点を築いています。
都市開発・エリアマネジメントの新たなモデル
官民協働によるまちづくり
東京ミッドタウン日比谷は、三井不動産が地元企業や町会と設立した「一般社団法人日比谷エリアマネジメント」を通じ、官民一体で街の賑わいづくりやイベント開催、エリア全体の価値向上を推進しています。また、土地区画整理や道路の付け替え・広場整備など、都市インフラと一体となった先進的なまちづくりが実現しています。
サステナブルな都市の象徴
緑化や歩行者空間の拡充、エネルギー効率の高い設備、災害時のBCP対応など、サステナビリティと安心・安全を両立した都市モデルとして高く評価されています。
まとめ
東京ミッドタウン日比谷は、旭化成株式会社をはじめとする日本・世界のトップ企業が本社を置く、都心屈指の大規模複合ビルです。最先端のオフィス環境、豊かな商業・文化・エンターテインメント、歴史と自然が調和したランドスケープ、そして官民協働による持続可能な都市運営――。このビルは、東京の未来志向の都市開発とグローバルビジネスの新たな拠点として、今後も高い注目を集め続けるでしょう。
コメント