”三菱重工の株価がやばい”と話題に – 2025年4月7日

”三菱重工の株価がやばい”と話題に – 2025年4月7日
ライター:関野 良和

三菱重工の株価が暴落、「やばい」と言われる背景を徹底調査

三菱重工業株式会社の株価についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。2025年4月7日現在、「株価がやばい」と話題になっている背景を整理し、実際の状況を分析します。

株価の現状と下落傾向

三菱重工業(7011)の株価は、2025年4月3日時点で終値2,517.5円と、前日比で-47円(-1.83%)の下落となっています。3月21日に年初来高値の2,932円を記録した後、下落傾向が続いており、一部では「やばい」との声が上がっているようです。

4月4日の東京株式市場では、日経平均株価も大幅安となり、三菱重工業を含む大手重工株が軒並み下落しています。この背景には、米国株式市場の急落や円高進行など、外部要因によるリスクオフ姿勢が影響していると考えられます。

「やばい」と言われる複数の理由

ネット上で三菱重工業が「やばい」と指摘される理由はいくつかあります。まずはそれらを詳しく見ていきましょう。

過去の経営危機

2019年度には20年ぶりの最終赤字を計上し、大規模なリストラや早期退職を実施したことが「やばい」との印象を与えているようです。この時期は、コロナ禍の影響もあり、自動車部品や航空機部品の出荷量が減少したと言われています。

具体的には、2019年度の事業利益は295億円の赤字に転落しました。大きな要因として、スペースジェット事業において2,633億円の減損損失を計上したことが挙げられます。

事業構造の変化

国産ジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」の製造事業からの撤退や、三菱造船の分離など、大規模な事業再編が行われており、一部では将来性への懸念が示されているようです。

2023年2月、三菱重工業はスペースジェットの製造事業から撤退することを発表しました。この撤退理由としては、技術的課題や市場環境の変化、巨額の追加資金の必要性などが挙げられています。

労働環境への批判

過去には「激務」や「ブラック企業」といったイメージがあったようですが、近年では働き方改革により改善傾向にあると言われています。三菱重工業の社員口コミによれば、全社員の総労働時間は年々減少しており、2019年の2.07億時間から2022年には1.75億時間まで削減されているようです。

Indeed上の社員レビューでは、「工場が閉鎖的でコミュニケーションも閉鎖的になりがち」「人間関係にギクシャク」といった声がある一方で、「福利厚生の部分はしっかりとしており」という利点も指摘されています。

市場環境と外部要因

世界情勢の不安定さや為替変動、防衛関連需要への依存度が高いこともリスク要因として挙げられています。三菱重工業の主力領域である造船や防衛・航空機など「重厚長大型」の事業は、中国や韓国・その他アジアの新興国などにシェアを奪われているという懸念もあるようです。

業績と今後の見通し

一方で、三菱重工業の最近の業績は必ずしも悪くないようです。2025年2月4日に発表された第3四半期決算では、過去最高益を予想していてさらに上方修正もされ好調であることが報告されています。

事業利益が38%の増加と当期利益が25%増えたことが発表され、今期の純利益も4%上方修正されています。現在のPER(株価収益率)は30.6倍と少々高い水準ですが、利益が次の決算でも30%近く増加するとしたらPERは23倍程度になると計算されるため、現在の株価はそこまで割高ではない水準だと言えるでしょう。

成長分野と今後のおすすめポイント

三菱重工業には、今後の成長が期待できる分野もいくつか存在します。

エナジー分野の好調

エナジー分野、特にガスタービンの受注高が増加しています。ガスタービン・コンバイドサイクル発電プラント(GTCC)は、環境に配慮した高効率の発電設備であり、CO2排出量は従来の石炭火力発電の約50%とされています。

GTCCは主にアメリカで受注が大幅に増加しており、世界シェアも2020年時点の約25%から2023年には36%に拡大し、2年連続で1位となっているようです。

航空・宇宙分野の回復

コロナショックが明けたことによる航空・宇宙分野の増収増益も株価にとっての追い風となっています。三菱重工業は世界の航空機の開発・生産チームに参加しており、コロナ禍では需要が落ち込んでいましたが、現在ではコロナショック以前の事業規模に戻りつつあるようです。

防衛事業の強化

国の防衛産業強化による影響も見逃せません。ロシア・ウクライナ問題や中国、北朝鮮の動向など複雑な安全保障環境を背景に、日本も防衛力の強化を進めています。三菱重工業は日本国内の防衛産業を大きく担っているため、国が防衛産業を強化しようとする動きは同社にとってプラスとなると考えられます。

社員からの評価

三菱重工業に勤務する社員や元社員からの口コミも、会社の状況を知る重要な手がかりとなります。

Indeed上の評価では、「伝統や安定を重んじ、技術力や品質にこだわる」社風がある一方で、「変化や意思決定が遅く、革新への対応がやや鈍い」と感じる社員も多いようです。

「難しく複雑なことに挑戦することが美徳になっていて、仕事を単純化して誰にでもできるようにするといった地味な取り組みが軽視される」という声や、「工場が閉鎖的でコミュニケーションも閉鎖的になりがち」との指摘もあります。

一方で、「福利厚生の部分はしっかりとしており、目的意識がしっかりしているので有れば、是非三菱重工へ飛び込まれることをオススメする」という前向きな意見もあります。ただし、「ずっと同じ仕事を続けていきたい人にはいいかもしれないが、裁量権がほしい人には向かないかもしれない」というデメリットも指摘されています。

株価下落は一時的か構造的か

三菱重工業の株価下落が一時的なものか、構造的な問題によるものかについては意見が分かれています。

短期的には、米国株式市場の急落や円高進行などの外部要因による影響が大きいと考えられます。また、過去にも株価の大きな変動があり、例えば2020年10月には218円の安値を付けたこともあったようです。

しかし、「三菱グループの中核企業で、その収益基盤はエネルギー、防衛、そして宇宙、インフラ等と多岐にわたる」ため、「構造的な業績悪化に陥るリスクは小さく、足元の不振も一時的」との見方もあります。

まとめ

三菱重工業の株価は確かに短期的には下落傾向にありますが、それをもって「やばい」と断定するには早計かもしれません。外部要因による一時的な影響も大きく、中長期的には成長余地があるとの見方も多いようです。

業績自体は好調で、エネルギー関連と防衛関連が強く、第3四半期決算では事業利益が38%増加し当期利益も25%増えたと報告されています。カーボンニュートラルに向けて注目を集める再生可能エネルギー、自動運転や電気自動車などモビリティ領域、航空宇宙・防衛分野などの事業は今後も重要性が高まると予想されています。

投資判断を行う際には、こうした市場環境や企業業績を慎重に見極める必要があるでしょう。短期的なリスク回避を優先する場合は慎重な対応がおすすめです。

Z世代の投資家としては、三菱重工業の長期的な成長性と現在の株価水準のバランスを考慮し、自身の投資スタイルや目標に合わせた判断をすることが大切です。やめたほうがいいと一概に言えるものではなく、各自のリスク許容度や投資期間に応じた検討が必要でしょう。

執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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