”中部電力の株価がやばい”と話題に – 2025年4月7日

”中部電力の株価がやばい”と話題に – 2025年4月7日
ライター:関野 良和

中部電力の株価が暴落、「やばい」と言われる背景を徹底調査

中部電力(TSE:9502)の株価が「やばい」と話題になっていることについてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。2025年4月7日現在、同社の株価は大きく下落しており、投資家の間でさまざまな憶測が飛び交っているようです。

中部電力の現在の株価状況と市場の反応

Yahoo!ファイナンスの情報によると、2025年4月7日時点での中部電力の株価は前日比-76円(-4.67%)と大幅な下落を記録しています。取引時間中には1,444円から1,574.5円の間で推移しており、特に朝方の安値が目立っているようです。

市場関係者からは「中部電力の株価下落はやばいレベルになってきている」という声が聞かれますが、これは単なる短期的な変動なのか、それとも構造的な問題なのかを見極める必要があるでしょう。

Yahoo!ファイナンスの掲示板では、ある投資家が「大暴落、流される……心配してない…… 買う気もない…もう十分です…… 配当もらって、ガンマする❗」と投稿している一方で、「この株の逆行高は、すぐ崩れる。売れる時に売っておいたほうが良い」という警告的な意見も見られます。こうした意見の分かれ方からも、投資家の間で評価が割れていることがうかがえます。

中部電力の業績と株価評価の乖離

Simply Wall Stの分析レポートによると、中部電力のPER(株価収益率)は5.1倍と低く、日本企業の半数近くがPER14倍以上である中で、極めて低い水準にあるとされています。この低いPERは投資家が中部電力の業績不振の回復を期待していないことの表れであると指摘されています。

また、株価純資産倍率(PBR)も0.45倍(2025年4月4日時点)と1倍を大きく下回っており、資産価値と比較して株価が割安な状態が続いているようです。

Business Insider Japanの記事によれば、電力会社は安定したインフラ企業というイメージがある一方で、株式市場からの評価は総じて低く、PBR1倍割れが常態化しているとのことです。これは燃料価格や為替、原子力発電所の稼働状況によって業績が大きく左右されるビジネスモデルが要因とされています。

アナリストの見方と投資判断

一方、プロの証券アナリストの間では、中部電力に対して比較的前向きな見方も存在します。みんかぶの情報によると、2025年4月7日時点でのアナリストコンセンサスは「買い」となっており、内訳は強気買い2人、買い1人、中立2人とのことです。アナリストの平均目標株価は1,910円で、現在の株価からはさらに23%程度の上昇余地があるとの見方がされています。

株予報Proによれば、中部電力の理論株価(PBR基準)は1,613円(0.45倍)、上値目途は1,707円(0.47倍)、下値目途は1,519円(0.42倍)と算出されています。現在の株価がこの理論値を下回っていることから、短期的には割安感から買いが入る可能性もあるようです。

中部電力の業績見通しとリスク要因

中部電力の2025年3月期第3四半期決算は、売上高2兆6,516億円(前年同期比1.7%減)、経常利益2,222億円(同49.1%減)と減収減益となっています。通期予想も売上高3兆6,000億円(前期比0.3%減)、経常利益2,750億円(同46.0%減)と厳しい見通しが示されています。

Simply Wall Stの分析では、アナリストの予想として今後3年間の中部電力の利益成長率は年率9.9%減とマイナスに転じる見込みであり、市場全体が毎年10%ずつ拡大すると予測されていることと比較すると、著しく見劣りするとの指摘があります。

このような業績見通しのデメリットが株価に反映されている可能性が高く、投資判断を慎重にすべき状況にあるようです。

中部電力の強みと独自性

しかし、中部電力には他の電力会社にはない強みもあります。楽天証券のレポートによれば、中部電力は大手電力会社10社の中で唯一、連結自己資本比率が31.9%(2023年3月末時点)と30%を超えており、財務基盤が比較的健全であるとされています。

また、年間配当についても5円増配の60円を予定しており、現在の株価水準では3.7%程度の高い配当利回りとなります。こうした点は長期投資家にとっては大きな利点と言えるでしょう。

電力事業を取り巻く環境と新電力との競争

電力自由化以降、中部電力も「おとくプラン」などの新しい料金メニューを提供していますが、比較サイトの分析によれば、新電力会社の料金プランと比較すると必ずしも安くはないとされています。

一方で、新電力会社への切り替えにも資金面で余裕のない会社が電力調達コスト高騰で倒産するリスクや、違約金が発生する可能性などのリスクがあり、「やめとけ」と警告する声もあるようです。

実際、2022年から2023年にかけて、ナンワエナジー、自然電力のでんき、はなカメくん電気、みんなの地元電力など複数の新電力サービスが倒産や事業撤退に追い込まれたという事例があります。

JERAの上場が中部電力に与える影響

また、東京電力HDと中部電力の合弁非上場会社であるJERA(ジェラ)の上場が近いとみられており、これが今後の中部電力の株価にどのような影響を与えるかも注目されています。

ダイヤモンドの記事によれば、JERAは四半期の間に総資産が約3兆円も減少する一方で、通期の純利益予想は大幅な赤字予想から黒字予想に転じるなど、特異な財務状況を示しているとのことです。このJERAの上場が中部電力の企業価値評価にどう影響するかは不透明な要素が多く、投資判断を難しくしている一因とも言えるでしょう。

まとめ:中部電力株への投資判断

中部電力の株価が「やばい」と言われる背景には、足元の業績悪化や今後の成長見通しの不透明さがあるようです。しかし、強固な財務基盤や高い配当利回りなど、長期投資家にとってはおすすめできる要素も存在します。

一方で、燃料価格や為替の変動に大きく左右される電力事業の特性や、原子力発電を含むエネルギー政策の不確実性など、投資家が「やめたほうがいい」と判断する要因もあるようです。

現時点では、株価は理論値を下回る水準にあり、アナリストの多くは「買い」推奨をしているものの、個人投資家の間では意見が分かれています。短期的な投機よりも、配当収入を重視する長期投資家や、エネルギーセクター全体のポートフォリオの一部として組み入れるなど、自身の投資方針に合わせた判断が求められるのではないでしょうか。

「中部電力株は今が買い時か?」という問いに対する単純な答えはなく、各投資家の投資目的やリスク許容度、投資期間によって判断が分かれる銘柄であると言えそうです。

出典を元にした考察

2025年4月7日時点での中部電力株の急落は、単に一時的な市場の変動なのか、それとも何らかの構造的な問題が表面化したのかについては、引き続き注視が必要です。今後の決算発表(2025年4月28日予定)や、JERAの上場動向などが株価の方向性を大きく左右する可能性があるでしょう。

中部電力への投資を検討する際には、こうした多角的な視点からの分析と、自身の投資方針との整合性を慎重に評価することが欠点のない判断につながるのではないでしょうか。

執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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