”東電の株価がやばい”と話題に – 2025年4月7日

”東電の株価がやばい”と話題に – 2025年4月7日
ライター:関野 良和

東京電力の株価が暴落、「やばい」と言われる背景を徹底調査

東京電力ホールディングス(9501)の株価について、ネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。2025年4月7日現在、株式掲示板やSNSでは「東電の株価がやばい」という声が広がっているようです。果たして、本当にそうなのでしょうか?

東京電力の現在の株価状況

2025年4月7日時点の東京電力ホールディングスの株価は406.5円程度と低迷しています。2024年3月11日には789.8円だったことを考えると、約1年間で▲46.77%ものマイナスリターンとなっており、多くの投資家が「やばい」状況だと感じているのも無理はありません。

現在のアナリストコンセンサスは「売り」となっており、内訳は強気買い1人に対して強気売り2人という状況です。しかし、興味深いことに、平均目標株価は582円と設定されており、現在の株価からは42.92%の上昇余地があるとされています。

東京電力株価下落の背景

1. 業績見通しの下方修正

2025年3月18日に東京電力ホールディングスは、2025年3月期の連結純利益が前期比36%減の1720億円になるという見通しを発表しました。これは市場予想の2186億円程度を大きく下回るもので、「収支改善策が不透明」との見方から売りが膨らんだと言われています。

2. 福島第一原発事故の影響

かぶリッジ編集部の分析によると、東京電力の株価が低迷している最大の理由は、2011年の福島第一原発事故による莫大な処理・賠償費用の負担が続いていることです。この負担は今後も長期間続くことが予想され、株価の重しになっていると言われています。

3. 原子力発電再稼働の不透明性

柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は東京電力の株価を左右する大きな要因です。再稼働すれば電源調達コストが下がり、収支改善効果が見込めるとされていますが、地元同意などのハードルがあり、時期が不透明なままです。

投資家の評判と専門家の見解

ネット上の口コミ

個人投資家の間では意見が分かれているようです。みんかぶの投資家意見では「買い」と判断する声が多く、予想株価は583円とされています。一方で、「やめとけ」というアドバイスも少なくありません。

ある投資家は「柏崎刈羽原発再稼働」を理由に買い推奨していますが、別の投資家は「テクニカル的に」という理由で買いを推奨しています。

専門家の見解

かぶリッジ監修者のたけぞう氏(合同会社 Next Meeting 代表取締役)は、「原発再稼働への期待から上昇する場面もあるでしょうが、マネーゲーム的な動きと感じます」と述べています。同氏はさらに「よってマネーゲーム的な株価の動きはあるにせよ、長期保有に適していないと感じます」と指摘しており、東京電力株のデメリットを強調しています。

バークレイズ・キャピタル証券の円尾雅則アナリストも過去の東電の増資について「まったく不必要なこと」と厳しく評価しており、専門家の間では懐疑的な見方が多いようです。

教訓となる事例

プレジデントオンラインでは、ある退職者が「退職金を全額、東京電力株の購入に充てた」ものの、東日本大震災後に株価が18分の1にまで暴落し、大きな損失を被った事例が紹介されています。この事例は、一つの銘柄に集中投資することのリスクを示しており、東電株に限らず投資において「やめたほうがいい」行動として警鐘を鳴らしています。

将来予測

理論株価からの分析

理論株価Webによると、東京電力HDの理論株価は488円と算出されており、2025年2月時点の株価395.2円からは23.4%の上昇余地があるとされています。市場リスクを除いた理論株価では、資産価値が285円、事業価値が203円とされています。

短期予測

経済予測会社の分析によれば、2025年5月の東京電力株価予想は平均951円、終値959円とされています。さらに6月には1007円、7月には1014円と徐々に上昇していくという予測もあります。しかし、これらの予測は現在の株価水準から大きく乖離しており、楽観的すぎるという意見もあるようです。

長期見通し

かぶリッジの結論では、「東京電力の株は長期的に現状維持から下落基調で推移する」と予想されています。その理由として、原子力発電の再稼働時期の不透明性、エネルギー価格に業績が大きく左右されること、財務体質が良くないことなどが挙げられています。

東京電力株の投資判断

東京電力株には、以下のような利点とおすすめできない点があるようです。

利点

  • 原子力発電所再稼働が実現すれば大きな収益改善が期待できる
  • 理論株価からは上昇余地があるとされている
  • 政府の脱炭素政策への対応が進んでいる

おすすめしない理由

  • 福島第一原発事故の処理・賠償費用の負担が続く
  • 原子力発電再稼働の時期が不透明
  • 円安や燃料価格高騰による収益圧迫
  • 無配当が継続している
  • 組織形態の将来が不透明

まとめ

東京電力ホールディングスの株価が「やばい」と言われる背景には、業績の下方修正や福島第一原発事故の影響、原発再稼働の不透明性など複合的な要因があると言われています。アナリストの見解では「売り」が優勢である一方、個人投資家の間では「買い」の意見も多く、見方が分かれています。

投資判断は個人の責任で行うべきものですが、東京電力株については専門家からは「長期保有には適していない」との意見も出ています。過去には退職金を全額投資して大きな損失を被った事例もあり、集中投資の欠点を示す教訓となっています。

今後の株価動向は原発再稼働の進展や燃料価格、政府の政策などに左右される可能性が高く、これらの要素を注視することが重要だと言えるでしょう。

執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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