ソフトバンクの株価が”危ない”、”危険”といわれているのはなぜ?

ソフトバンクの株価が”危ない”、”危険”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”ソフトバンクの株価はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

本当にソフトバンクの株価は危ないのか、デメリットとメリットから真相に迫る

ソフトバンクの株価が「危ない」「危険」と言われている理由についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。Z世代の投資家にも注目されているソフトバンクグループ(9984)とソフトバンク株式会社(9434)の株価に関する評判は、本当に根拠のあるものなのでしょうか。それとも誤解から生まれた噂なのでしょうか。最新の市場動向や財務状況、そして良い評判も含めて多角的に分析していきます。

ソフトバンクの株価が「危ない」と言われる主な理由

ネット上で「ソフトバンク株はヤバイのでやめたほうがいい」という評判が広がっている背景には、いくつかの要因があるようです。詳しく見ていきましょう。

自己資本比率の低さが懸念材料

ソフトバンクの株価が危ないと言われる最大の理由として、自己資本比率の低さが挙げられています。自己資本比率とは、総資本のうち純資産(新株予約権を除く)の占める割合を示す指標で、企業の財務健全性を測る重要な指標の一つです。

ソフトバンク株式会社(9434)の自己資本比率は15.3%と報告されており、同じ通信キャリア大手と比較すると著しく低い数値となっています。

通信大手3社比較 自己資本比率
ソフトバンク(9434) 15.3%
NTT(9432) 33.3%
KDDI(9433) 37.1%

自己資本比率の一般的な水準は約40%と言われており、少なくとも30%程度は確保しておくことが望ましいとされる中、ソフトバンクの15.3%という数値は「やめたほうがいい」と考える投資家が多い理由の一つのようです。

過去5年の実績を見ても、ソフトバンクの自己資本比率は例年20%を下回る状態が続いています。

自己資本比率 数値
2019年3月期 18.6%
2020年3月期 10.2%
2021年3月期 12.6%
2022年3月期 15.0%
2023年3月期 15.2%
2024年3月期 15.3%

自己資本比率が低いということは、借金が多いことを意味します。そのため、金利変動や利息の返済などのリスクを抱えている自己資本比率が低い会社は、経営の健全性や安定性などの観点から市場では避けられがちだと言われています。

ソフトバンクの自己資本比率が低い理由は、資金の大部分を銀行からの借入金などに頼り、調達した資金を海外企業の買収や投資・事業拡大に使っているためだと分析されています。挑戦的な社風や信用力はソフトバンクの魅力ですが、投資家にとっては自己資本比率の低さが懸念材料となり、株価が上がらない要因になっていると言われています。

市場環境の悪化による株価下落

2025年4月初旬には、ソフトバンクグループの株価が大幅に下落していることが報告されています。4月4日時点では、株価は6700円台まで下落し、これは東京市場が暴落した2024年8月5日以来の低水準だったとされています。

この下落の背景には、米国のナスダック指数が約6%急落した影響があると分析されています。ナスダック指数の下落に伴い、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数も約40%上昇し、市場全体でリスク回避の動きが強まったと報告されています。

ソフトバンクグループは米国ハイテク株との連動性が高いため、このような市場環境では売り圧力が強まる傾向があると言われています。2025年4月7日の東京株式市場では、日経平均株価も前営業日比2644円00銭安の3万1136円58銭と大幅に3日続落しており、市場全体の下落の中でソフトバンクグループの株価も注目されているようです。

ソフトバンク光の評判も間接的に影響?

興味深いことに、ソフトバンクグループの子会社であるソフトバンク株式会社が提供する「ソフトバンク光」のサービスに対する評判も、間接的に投資家の心理に影響を与えている可能性があります。

ソフトバンク光については、以下のような「デメリット」が指摘されています。

  • 一部ユーザーで回線が切れる問題がある
  • 解約手続きが面倒
  • 設定作業が複雑な場合がある
  • 追加機器が必要で費用がかかる場合がある
  • キャッシュバックの受け取りまでに時間がかかる
  • 一部のオンライン手続きが電話対応必須
  • カスタマーサポートに繋がりにくい
  • 他社からの乗り換えで思ったほど料金が安くならない場合がある

通信品質や料金面、カスタマーサポートに関する不満の声が一部であり、これがサービス提供企業のイメージに影響し、間接的に株価評価にも影響を与えている可能性も考えられます。

ソフトバンク株の「やばくない」ポジティブな側面

しかし、ネット上の評判が必ずしも企業の実態を正確に反映しているわけではありません。ソフトバンクの株価には、多くの投資家から評価されている面もあります。

安定的な配当金と高い配当利回り

ソフトバンク株式会社(9434)は高配当株として知られており、安定的な配当金が魅力となっています。2024年度の予想を含め、直近5年間は1株あたり年間8.6円と安定した配当実績があり、株価200円前後の水準では配当利回りは4%を超えると報告されています。

2018年の上場以来、高い水準の安定的な配当を継続していることが特長で、株式購入理由として「配当金」と「成長性」が年代問わず1位、2位を占めているという調査結果も出ています。これは、株主アンケートに回答した31,337人の結果に基づくものです。

成長戦略「Beyond Carrier」

ソフトバンク株式会社は通信キャリアのイメージが強いかもしれませんが、その枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で挑戦し続けることを成長戦略の柱としています。「Beyond Carrier」と名付けられたこの戦略の下、Yahoo! JAPAN、LINE、PayPayなどの生活に身近なサービスとのシナジーを創出しています。

また、AIが生み出す膨大なデータの処理やそれに伴う電力消費を支える次世代社会インフラの構築など、未来への投資も積極的に行っていると報告されています。このような将来を見据えた投資戦略は、長期的な企業価値向上の可能性を示唆していると言えるでしょう。

株主優待の新設とアクセシビリティの向上

2024年10月1日には、普通株式1株につき10株の割合で株式分割を実施し、株主優待制度を新設したことも報告されています。株主優待として、PayPayマネーライト(1,000円分)を対象となる株主に進呈するという内容で、登録ユーザーが6,700万人を超えるPayPayで利用可能な電子マネーは、日々の生活で使える実用的な株主優待だと評価されています。

また、株式分割により投資しやすくなったことも大きなメリットです。1単元(100株)が分割前は20万円程度だった場合、分割後は10分の1の2万円程度で購入できるようになりました。これにより、若年層や投資初心者にとってもアクセスしやすくなったと言われています。

30代以下の株主の約49%が株式優待の新設および株式分割の発表後に株式を購入しているというデータもあり、新しい投資家層の開拓に成功していることがうかがえます。

ソフトバンク光の良い評判も

ソフトバンク光についても、デメリットだけでなく多くのメリットも報告されています。

  • 回線速度が安定している
  • キャッシュバックなどのキャンペーンが充実
  • スマホとのセット割引がある
  • 工事が不要な場合がある
  • 混雑時間帯でも比較的安定して使える
  • エリアカバー率が高い
  • 複数接続でも問題なく使える
  • カスタマーサポートの対応が丁寧な場合がある

特に、高速で安定したインターネット接続を提供することがソフトバンク光の大きな特徴であり、大容量のデータ通信や高画質の動画ストリーミング、オンラインゲームなどを快適に楽しむことができる点が魅力とされています。

また、ソフトバンクの携帯電話やスマートフォンとのセット割引があるため、すでにソフトバンクのモバイルサービスを利用しているユーザーにとっては、コストパフォーマンスの面でも魅力的な選択肢となっていると報告されています。

投資判断のポイント:誤解と真実の狭間で

ソフトバンクの株価が「危ない」という評判には一定の根拠がある一方で、誤解や短期的な市場変動に基づく過度な懸念も含まれている可能性があります。投資判断を行う上で重要なポイントをいくつか整理してみましょう。

自己資本比率の低さは戦略的選択でもある

確かにソフトバンクの自己資本比率は競合他社と比較して低い水準にありますが、これは単なる財務状況の悪さではなく、積極的な投資戦略の結果とも解釈できます。借入金を活用して成長性の高い分野に投資することで、将来的な企業価値向上を目指しているという見方もできるでしょう。

ただし、このような戦略は市場環境やマクロ経済の変化に敏感であり、金利上昇局面などではリスクが高まる点には注意が必要です。投資家個人のリスク許容度に合わせた判断が重要となります。

市場全体の下落とソフトバンク固有の要因を区別する

2025年4月初旬の株価下落は、ソフトバンク固有の問題というよりも、グローバル市場全体の調整の影響が大きいと考えられます。特にナスダックの急落に連動した動きであり、一時的な市場変動と長期的な企業価値を分けて考える必要があるでしょう。

ソフトバンクグループは米国ハイテク株との連動性が高いため、テクノロジーセクター全体の動向に影響を受けやすい特性を持っています。そのため、テクノロジー企業への投資に関心がある投資家にとっては、日本市場で間接的にグローバルテクノロジートレンドに投資できる選択肢としても捉えられています。

長期的視点での成長ポテンシャル

ソフトバンクグループは、創業者の孫正義氏のビジョンのもと、AIやデータセンター、次世代社会インフラなど将来性の高い分野への投資を積極的に行っていると報告されています。このような長期的視点での投資は、短期的には株価変動の要因となることもありますが、中長期的には企業価値向上につながる可能性があります。

特に、AIなどの先端技術への投資は、今後の社会変革において重要な役割を果たすと期待されており、この分野でのソフトバンクの積極的な取り組みは「おすすめ」できる投資ポイントの一つと言えるかもしれません。

サステナビリティへの取り組み

ソフトバンクは、環境や社会への配慮を重視する企業として国内外から高い評価を受けているとの報告もあります。世界的に有名な「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)」の「World Index」の構成銘柄に2年連続で選ばれたほか、日本経済新聞社による「日経SDGs経営大賞」で大賞に選ばれるなど、持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ活動が評価されています。

このような経営姿勢は、長期的な企業価値の向上にもつながっていくものとして、投資先としての信頼性の目安になるとされています。

個人株主の声から見えてくるもの

ソフトバンクは2024年9月末時点で個人株主数が100万人を超えたと報告されています。分割前の2024年9月末時点の株主数は、2024年3月末から14万人増えて100万人を突破し、個人株主の年齢構成では、40歳代以下が約34%と若年層の割合が増加しているとのことです。

このような株主増加を受けて実施されたアンケート調査(31,337人が回答)からは、ソフトバンク株への投資理由や今後の保有意向などが明らかになっています。9割以上の株主が継続保有を希望し、さらなる買い増し意欲も示されているという結果は、多くの個人投資家がソフトバンクの将来性に期待していることを示唆しています。

総合的な分析:ソフトバンク株は本当に「危ない」のか

ネット上では「ソフトバンク株は危ない」という評判が散見されますが、実際には様々な要素を総合的に判断する必要があるようです。

確かに自己資本比率の低さや市場変動への感応度の高さはリスク要因として認識されていますが、一方で安定した配当政策や成長戦略、株主還元策など「利点」も多く存在していることがわかりました。

特に注目すべきは、2024年10月の株式分割と株主優待の新設により、個人投資家にとってアクセスしやすくなったことです。これにより若年層を中心に新たな株主層の開拓に成功しており、株主基盤の拡大と安定化が進んでいるとも考えられます。

ソフトバンク光のサービス評判については、メリット・デメリット双方が報告されていますが、総じて高速で安定したインターネット環境を提供するサービスとして一定の評価を受けているようです。ただし、通信品質や料金面での期待値と実際のサービスにギャップを感じているユーザーも一定数存在していることは念頭に置く必要があるでしょう。

投資判断のためのチェックポイント

投資を検討する際には、以下のポイントをチェックすることをおすすめします。

  1. 自分のリスク許容度との相性:ソフトバンクは成長性と引き換えに財務リスクをある程度取っている企業のため、投資家自身のリスク許容度に合っているかを検討することが重要です。
  2. 投資期間の設定:短期的な値動きを狙うのか、長期的な成長と配当を期待するのかによって、判断が変わってくるでしょう。
  3. 配当政策への注目:高配当株として魅力がある一方で、将来的な減配リスクについても理解しておく必要があります。
  4. テクノロジートレンドへの見方:ソフトバンクグループはAIなど先端技術への投資を積極的に行っているため、これらの分野の将来性をどう評価するかも重要な判断材料となります。
  5. 株主優待の活用可能性:PayPayユーザーであれば、株主優待を実質的な投資リターンとして活用できる可能性があります。

まとめ:バランスの取れた投資判断を

ソフトバンクの株価が「危ない」「危険」と言われる背景には、確かに財務上の特性や市場環境の影響があります。しかし同時に、安定した配当や成長戦略、株主還元策など多くの魅力も備えていることが明らかになりました。

「やばくない」と言えるポイントも多く、一概に「危険だから避けるべき」とは言い切れないのが実情のようです。投資判断においては、自分自身の投資目的やリスク許容度、投資期間などを踏まえた上で、バランスの取れた判断をすることが何よりも重要です。

特に長期投資の視点では、テクノロジー分野への積極投資や安定した配当政策は「おすすめ」できる要素と言えるかもしれません。市場全体の下落局面では一時的に株価が下がることはありますが、それは必ずしも企業自体の価値が下がったことを意味するわけではありません。

最終的には、ネット上の噂や評判だけに左右されず、企業の財務状況や戦略、市場環境などを総合的に判断した上で、自分自身にとって最適な投資判断をすることが大切です。ソフトバンクの株式は、リスクと可能性を併せ持つ投資対象として、慎重かつ前向きな検討に値するものと言えるでしょう。

タグ:
執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
関野 良和の執筆記事一覧・プロフィールへ