ソフトバンクの株価が”危ない”といわれているのはなぜ?


”ソフトバンク株はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します
本当に”ソフトバンクへ株への投資はやばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る
ソフトバンクグループ(9984)の株価が”やばい”と話題になっています。2025年4月7日には東京株式市場で大幅な下落を記録し、ネット上でも「危険」「おすすめしない」という声が広がっているようです。この状況についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。視点を変えれば投資機会ともとれるこの状況、実際のところはどうなのでしょうか。
最近の株価動向と市場環境
2025年4月7日の東京株式市場では、日経平均株価が前営業日比2644円00銭安の3万1136円58銭と大幅に3日続落しました。この全体的な下落相場の中で、ソフトバンクグループの株価下落も大きな注目を集めています。
4月4日時点では、ソフトバンクグループの株価は6700円台まで下落しており、これは東京市場が暴落した昨年8月5日以来の低水準だったと報告されています。さらに遡ると、3月11日には一時、前日比408円(5.05%)安の7659円まで下落し、2024年9月9日以来半年ぶりの安値を付けていたこともわかっています。
このような状況から、SNSや投資掲示板などでは「ソフトバンクグループの株価がやばい」「ソフトバンク株はやめとけ」という声が広がっているようです。
株価下落の主な要因
この株価下落には、いくつかの要因が絡んでいると考えられます。
1. 米国ハイテク株との連動性
ソフトバンクグループは米国ハイテク株との連動性が高いため、米国市場の悪化が直接的に影響していると言われています。特に、米国のナスダック指数が前日比で約6%急落した影響を大きく受けたとの分析もあります。
「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数も約40%上昇し、市場全体でリスク回避の動きが強まったようです。このような環境では、ソフトバンクグループのような米国テクノロジー企業へ投資する企業の株価に売り圧力がかかりやすいと考えられます。
2. 投資ファンド事業への懸念
ソフトバンクグループが運営する投資ファンド事業、特にソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の業績に対する逆風が強まっているとの懸念から売り圧力が高まっているようです。
過去の業績を見ると、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業は2021年3月期には619億ドルの利益を上げた一方で、2022年3月期には約296億ドルの損失、2023年3月期には約396億ドルの損失を計上しており、非常に変動が大きいことがわかります。世界的なテクノロジー株の調整局面では、このような投資ポートフォリオへの不安が広がりやすい傾向にあるようです。
3. 個人投資家の動向
信用買いを入れていた個人投資家の持ち高解消の動きも下げに拍車をかけているとの見方があります。相場の急変時には、このような投資家心理の変化が株価に大きく影響することがあるようです。
ネット上の口コミには「配当金目当てで買った人たちには厳しい状況ですね。もう少し下がるかも。」といった声も見られます。
4. トランプ関税リスク
市場全体としては、トランプ大統領による追加関税リスクへの警戒感も影響しているようで、7日の東京市場では99%の銘柄が下落するという極めて厳しい状況となりました。トランプ大統領による追加関税に関する大統領令署名は、株式相場全体の地合い悪化を引き起こしたと考えられています。
ネットで「ソフトバンク株は危ない」と言われる理由
ソーシャルメディアや投資関連の掲示板では、ソフトバンクグループの株式投資に対して否定的な見解が見られます。主な理由は以下の通りです。
1. 自己資本比率の低さによる財務懸念
ソフトバンクグループの自己資本比率は約15.3%と、同業他社と比較して著しく低いことが指摘されています。NTT(9432)の33.3%やKDDI(9433)の37.1%と比べると、その差は歴然です。自己資本比率は、総資本のうち純資産(新株予約権を除く)の占める割合を表し、企業の健全性や安定性を示す指標と言われています。
自己資本比率の一般的な水準は約40%と言われており、少なくとも30%程度は確保しておくことが望ましいとされる中、ソフトバンクグループの15.3%という数値は「やめたほうがいい」と考える投資家が多い理由の一つのようです。
過去5年の実績を見ても、ソフトバンクグループの自己資本比率は例年20%を下回っており、慢性的に低い状態が続いていると言えます。
自己資本比率 | 数値 |
---|---|
2019年3月期 | 18.6% |
2020年3月期 | 10.2% |
2021年3月期 | 12.6% |
2022年3月期 | 15.0% |
2023年3月期 | 15.2% |
2024年3月期 | 15.3% |
2. 多額の借入金による財務リスク
ソフトバンクグループの自己資本比率が低い理由は、資金の大部分を銀行からの借入金などに依存し、調達した資金を海外企業の買収や投資事業の拡大に使用しているためだと考えられています。
こうした借入金依存の事業モデルは、金利上昇時のリスク増大や財務体質の脆弱性につながるという指摘があります。実際、ソフトバンク社債に関しても「危険」「やめとけ」といったネガティブな評判が一部で見られます。
3. 投資ファンド事業の収益変動リスク
前述したように、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業は過去数年間で大きな損益の変動を示しています。これは投資事業が経済や市場動向に左右されやすい性質を持っているためです。この不安定性は「デメリット」として認識され、投資家の懸念材料となっているようです。
4. 株価と理論株価の乖離
日本経済新聞の記事によると、ソフトバンクグループの理論株価と実際の市場評価には乖離があるとされています。割引キャッシュフロー(DCF)法で算出した理論株価は、実際の株価より300円近く高いとの試算もあり、市場が同社の価値を適切に評価していない可能性が指摘されています。
投資判断に影響する「ソフトバンク光」の評判
興味深いことに、ソフトバンクグループの子会社であるソフトバンク株式会社が提供する「ソフトバンク光」のサービスに対する評判も、間接的に投資家の心理に影響を与えている可能性があります。
ソフトバンク光については、以下のような「欠点」が指摘されています。
- 通信品質の低さ: 速度が遅延したり接続が不安定になったりする頻度が高いと言われています。特に、リモートワークやオンラインゲームを行う上で不満が出ているようです。
- 料金・費用の高さ: セット割引なしの月額料金は他社光回線との平均よりも少し高いとの指摘があります。
- カスタマーサポートの対応: サポートへの電話が繋がりにくく、タイミングによっては10分以上待たされる場合もあるとの声があります。
これらのサービス面での評判が、企業グループ全体の株価評価にも間接的に影響を与えている可能性も考えられます。
誤解の可能性と肯定的な評価
一方で、ソフトバンクグループに対する懸念の一部は誤解に基づいている可能性もあります。また、「やばくない」と考える根拠となる肯定的な評価も存在します。
1. 長期投資としての可能性
ソフトバンクグループの株価は短期的に変動が大きいものの、長期的な視点では成長性や配当政策を評価する声も多いようです。アナリストも長期的には前向きな見方をしていると報告されています。
2. AI関連投資の将来性
2025年2月3日付の日本経済新聞によると、ソフトバンクグループは米オープンAIと日本でAIインフラの整備に乗り出す計画を持っているとされています。全国でAI開発向けのデータセンターを建設し、電力需要をまかなう発電施設も併設するという構想です。
市場では「AIインフラ領域での取り組みは中長期的な成長が見込める」(岩井コスモ証券の川崎朝映シニアアナリスト)との声も引き続き多いようです。このAI分野への投資は「利点」として評価されています。
3. 株価水準の割安感
一部の分析によると、ソフトバンクグループのP/S(株価収益率)は1.2倍と、日本の無線通信業界の中央値約1.6倍と比較して割安な水準にあるとの見方もあります。過去30日間の株価下落は株主にとって厳しい1年を締めくくるもので、その間に株価は32%下落したとされていますが、この水準は「おすすめ」できる投資機会と考える投資家もいるようです。
4. 自社株買いによる株主還元
ソフトバンクグループは2024年8月7日に5000億円を上限とする自社株買いを発表しました。これにより発行済み株式数(自社株除く)の最大6.8%相当の自社株を取得する予定です。後藤芳光・最高財務責任者は「1万円超だった自社の株価が一気に6000円台まで下がった。会社としてできる構え、守りを示す」と述べており、会社側も株価を重視していることがうかがえます。
ソフトバンク社債に関しても、高い利回り、購入しやすさ、少額から投資可能といった利点があり、必ずしも「危険」とは言い切れない側面もあるようです。
今後の見通しと投資判断のポイント
ソフトバンクグループへの投資を検討する際、以下のポイントが重要と考えられます。
1. リスク許容度と投資目的の明確化
短期的な投資リターンを求める投資家にとっては、ソフトバンクグループの株価変動リスクは「おすすめしない」と判断する要因になりかねません。一方、長期的な成長を見込む投資家にとっては、現在の株価水準が魅力的に映る可能性もあります。
2. 財務状況の改善動向の注視
ソフトバンクグループの自己資本比率は低いものの、過去数年間は少しずつ改善傾向にあります。今後この改善が継続するかどうかが、投資判断の重要なポイントとなるでしょう。
3. 投資戦略の変化
ロイター通信によると、ソフトバンクグループのCFOである後藤芳光氏は、短期的には自社株買いよりもAI関連投資を優先する方針を示しています。ただし、中期的には株主還元の重要性などを理由に、自社株買いを実施する可能性も排除していないとのことです。この投資戦略の変化が今後どのような成果をもたらすかも注目点です。
4. 市場環境の変化
最近のソフトバンクグループの株価下落は、同社固有の問題というよりも、市場全体の調整や米国市場の影響が大きいと考えられています。トランプ大統領の関税政策や世界経済の動向など、外部要因の変化にも注意が必要でしょう。
株価回復の兆し
4月9日の東京証券取引所では、前日の大幅下落からの反発があり、日経平均株価は1876円高と史上4番目の上げ幅を記録しました。このような急速な市場回復は、ソフトバンクグループの株価にも好影響を与える可能性があります。
専門家の間では、「日本株は割高ではない」との見方も出ており、急落後に割安感から買い戻しの動きが進んでいると考えられています。
結論:バランスの取れた評価が重要
2025年4月7日現在のソフトバンクグループの株価下落は、主に米国市場の影響や全体的な市場環境の悪化によるものと考えられます。確かに自己資本比率の低さなど構造的な課題はありますが、AI関連投資や事業多角化の戦略、市場の回復傾向を考慮すると、必ずしも「やばい」状況とは言えないのかもしれません。
投資判断を行う際には、自身のリスク許容度や投資目的を明確にし、市場動向を注視することが重要と言われています。短期的にはリスクが高まっている状況ですので、新規投資や買い増しを検討する場合には、慎重な姿勢が求められるでしょう。
ただし、長期的な視点では成長性や配当政策を評価する声も多く、一概に「やめとけ」とは言えない状況です。特にAIインフラ投資などの成長戦略は将来的な「利点」になる可能性があります。投資家それぞれの投資戦略や目的に合わせた判断が必要なようです。
結論として、ソフトバンクグループ株は適切な理解と判断のもとでは、「やばくない」投資先の一つとして検討する価値があると言えるでしょう。ただし、投資はあくまで自己責任ですので、自分自身の判断で行うことをおすすめします。高い技術力を持った企業への投資や成長戦略の魅力に惹かれるだけでなく、財務状況や将来性、市場環境などを総合的に判断することが大切です。
