確定拠出年金の”デメリット”がやばいといわれているのはなぜ?

確定拠出年金の”デメリット”がやばいといわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”確定拠出年金はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

確定拠出年金は本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

確定拠出年金のデメリットが「やばい」「入らないほうがいい」という噂についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。ネット上では確定拠出年金に対して否定的な意見も少なくありませんが、それらは本当に正しいのでしょうか。この記事では、確定拠出年金の実態と、そのデメリットとされる点が本当に「やばい」のか、また誤解に基づいていないかを検証していきます。

確定拠出年金とは?基本的な仕組みを理解する

確定拠出年金は、老後の資産形成を目的とした私的年金制度のひとつです。大きく「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2種類に分けられます。

企業型確定拠出年金は、企業が掛金を拠出し、従業員が自ら資産運用を行う制度です。一方、iDeCoは個人が掛金を拠出し運用する制度となっています。両者とも積立・運用・受取の各段階で税制優遇があり、老後資金の形成を後押しする仕組みとなっています。

この制度は、以前は一部の勤労者のみが対象でしたが、2017年に専業主婦や公務員なども加入対象となり、より広く国民が利用できる制度へと変化してきました。

確定拠出年金の「やばい」デメリットとされる6つの理由

では、確定拠出年金がなぜ「デメリットしかない」「やめたほうがいい」と言われることがあるのでしょうか。ネット上で挙げられている主なデメリットを見ていきましょう。

1. 原則60歳まで引き出せない

確定拠出年金の最大のデメリットとして、よく「原則60歳まで資金を引き出すことができない」という点が挙げられています。例えば、急な出費が必要になったときや、住宅購入などのライフイベントで資金が必要になった場合でも、原則として引き出すことができません。このことから、「資金が長期間凍結されるのでやめたほうがいい」という意見が見られます。

2. 元本割れリスクがある

確定拠出年金では、資産を投資信託などで運用するため、元本割れリスクがあると言われています。特に投資の知識が少ない方にとっては、「資産が減ってしまうかもしれない」という不安から、「おすすめしない」という声も聞かれます。

3. 将来受け取れる給付金額が確定していない

企業型確定拠出年金では、将来受け取れる給付金額が事前に確定していないという特徴があります。これは運用次第で金額が変動するためで、「老後の生活設計が立てにくい」という欠点になり得ます。

4. 各種手数料がかかる

確定拠出年金では、運営管理機関に支払う手数料や信託銀行への手数料など、様々な費用がかかります。iDeCoの場合は、これらの手数料をすべて加入者が負担することになります。そのため、「手数料負けしてしまう可能性があるので、デメリットが大きい」という意見も見られます。

5. 手続きが複雑で面倒

特にiDeCoに関しては、「手続きが複雑で面倒」というデメリットが指摘されています。加入手続きだけでなく、転職時や退職時にも手続きが必要となり、その煩雑さから「やめとけ」と言われることもあるようです。

6. 運用商品の選択肢に制限がある

企業型確定拠出年金では、会社が選定した運用商品の中からしか選べないため、選択肢が限られる場合があります。また、iDeCoでも申し込んだ金融機関が選定した商品からしか選べず、「自分の希望する商品で運用できないからやばい」という声もあります。

ネット上の口コミから見る確定拠出年金の評判

確定拠出年金サービスに関するネット上の口コミを見ると、様々な評価があることがわかります。

あるユーザーは「研修等はかなり丁寧に対応してもらった」と評価している一方で、別のユーザーは「所長の好き嫌いで契約を更新するかしないかの判断を下す。最低の会社」と厳しい評価をしています。

また、別のユーザーからは「確定拠出年金自体はなくならない限りは仕事は存在するため、安定性はある」という意見もあり、制度自体の安定性についても言及されています。

これらの口コミから、確定拠出年金サービスに対する評判はさまざまであり、利用者の経験によって大きく異なることがうかがえます。

デメリットとされる点を別の視点から見る

確定拠出年金にはデメリットがあると言われていますが、それらを別の視点から見ると、必ずしも「やばい」わけではないことがわかります。

1. 「60歳まで引き出せない」は老後資金の確保になる

60歳まで引き出せないという点は、裏を返せば「強制的に老後資金を貯められる」というメリットとも言えます。短期的な誘惑に負けず、確実に老後の資産形成ができるという利点があります。

2. 「元本割れリスク」は長期運用で緩和される

確かに元本割れリスクはありますが、長期間にわたって分散投資をすることで、そのリスクを緩和することが可能です。また、全額を投資信託に回さず、一部を元本保証型の商品で運用することもできます。

3. 「給付金額が確定していない」は上昇の可能性も意味する

給付金額が確定していないということは、逆に言えば「運用次第で増える可能性もある」ということです。実際、運用成績が良ければ予想以上の金額を受け取れる可能性があります。

4. 「手数料」は税制優遇でカバーできる

手数料がかかるというデメリットはありますが、税制優遇によるメリットがそれを上回る場合が多いと言われています。特に高所得者の場合、所得税と住民税の軽減効果が大きく、手数料を差し引いても十分なメリットがあるようです。

5. 「複雑な手続き」は一度設定すれば自動化できる

確かに初期設定は複雑かもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは自動的に積立が行われます。また、近年はオンラインでの手続きも簡素化されてきており、以前ほど「やばい」状況ではなくなってきています。

確定拠出年金の3つの大きなメリット

確定拠出年金には「やばくない」どころか、非常に魅力的なメリットがあります。

1. 3つの税制優遇措置

確定拠出年金の最大のメリットは、「積立」「運用」「受取」の3つの段階での税制優遇です。

  • 積立時:掛金が全額所得控除の対象となり、税負担が軽減されます
  • 運用時:運用益が非課税となります
  • 受取時:退職所得控除や公的年金等控除が適用され、税負担が軽減されます

この3つの税制優遇により、通常の資産運用よりも効率的に資産を増やすことができます。

2. 退職金・老後資金の準備になる

確定拠出年金は、将来の退職金や老後資金として有効に活用できます。特に企業型確定拠出年金は企業が掛金を負担するため、従業員にとっては追加コストなしで老後資金を準備できる制度となっています。

3. 転職・退職時も継続利用可能

確定拠出年金は、転職や退職をしても継続して運用することが可能です。企業型から個人型(iDeCo)への移行も可能で、職業生活を通じて一貫した資産形成ができる点は大きなメリットと言えるでしょう。

確定拠出年金がおすすめできる人と向いていない人

確定拠出年金は誰にでもおすすめできる制度ではありません。向いている人と向いていない人の特徴を見てみましょう。

おすすめできる人の特徴

  1. 長期的な資産形成を考えている人:60歳まで引き出せない制約がありますが、長期投資を前提としている人には適しています。
  2. 税制優遇のメリットを享受できる人:所得税率が高い人ほど、所得控除による節税効果が大きくなります。
  3. 退職金制度がない、または不十分な企業に勤める人:企業型確定拠出年金は退職金の代替として機能します。
  4. 資産運用に興味や知識がある人:自分で商品を選んで運用する意欲がある人には適しています。

おすすめしない人・注意が必要な人

  1. 60歳前に資金が必要になる可能性が高い人:原則として60歳まで引き出せないため、中長期的に資金が必要な人には不向きです。
  2. 節税効果が低い人:課税所得が少ない場合、所得控除による節税効果は限定的です。
  3. 投資に対して強い不安を感じる人:元本割れリスクを許容できない人には不向きかもしれません。

確定拠出年金の効果的な活用方法

確定拠出年金を効果的に活用するためのポイントをいくつか紹介します。

1. 長期的な視点で運用する

確定拠出年金は長期的な資産形成のための制度です。短期的な市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で運用することが重要です。

2. 分散投資を心がける

すべての資金を一つの商品に集中させるのではなく、複数の商品に分散投資することでリスクを軽減できます。株式、債券、元本保証型商品などをバランスよく組み合わせることが望ましいでしょう。

3. 定期的に運用状況を確認する

運用状況を定期的に確認し、必要に応じて資産配分を見直すことも大切です。ただし、短期的な市場変動に過剰反応して頻繁に商品を入れ替えるのは避けるべきです。

4. 税制優遇を最大限に活用する

掛金は全額所得控除の対象となるため、可能な範囲で上限額まで活用することで節税効果を最大化できます。特に所得が高い時期に積極的に活用するとよいでしょう。

まとめ:確定拠出年金は状況によって「やばくない」選択肢となる

確定拠出年金には「60歳まで引き出せない」「元本割れリスクがある」などのデメリットが存在し、一部では「やばい」「やめたほうがいい」と言われていることは事実です。しかし、それらのデメリットは別の視点から見ると必ずしもネガティブなものではなく、状況によっては大きなメリットに変わる可能性があります。

特に3つの段階での税制優遇は他の金融商品にはない大きな利点であり、長期的な資産形成を考える上では非常に魅力的な制度と言えます。また、企業型確定拠出年金であれば、企業が掛金を負担してくれるという点も大きなメリットです。

確定拠出年金が向いているかどうかは、個人の状況や目標によって異なります。長期的な資産形成を視野に入れ、税制優遇のメリットを享受できる人にとっては、「おすすめ」できる制度と言えるでしょう。一方で、短期的に資金が必要な人や、投資に強い不安を感じる人にとっては、別の選択肢を検討するのが良いかもしれません。

最終的には、確定拠出年金の仕組みやメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自分の状況に合った判断をすることが重要です。「やばい」という噂に惑わされず、制度の本質を見極めて、老後の資産形成に役立てていただければと思います。

確定拠出年金のデメリットに関するよくある質問

Q1: 企業型確定拠出年金と個人型(iDeCo)はどう違うのですか?

A: 企業型は企業が掛金を負担し、個人型(iDeCo)は個人が掛金を負担する点が最大の違いです。また、掛金の上限額や選べる運用商品も異なります。企業型の場合は最大5.5万円(条件による)、iDeCoの場合は職業によって1.2万円〜6.8万円の範囲で上限が設定されています。

Q2: 確定拠出年金は本当に60歳までお金を引き出せないのですか?

A: 原則として60歳まで引き出すことはできません。ただし、特定の条件(障害給付金の受給要件を満たした場合や、死亡時の遺族への給付、海外移住など)では例外的に引き出すことができます。

Q3: 確定拠出年金の運用で損をする可能性はありますか?

A: はい、運用次第では元本割れする可能性があります。ただし、長期的な分散投資を行うことでリスクを軽減することができます。また、元本保証型の商品を選ぶこともできます。

Q4: 確定拠出年金の税制優遇はどれくらいのメリットがありますか?

A: 掛金が全額所得控除となるため、所得税・住民税の負担が軽減されます。例えば、月1万円(年間12万円)を積み立てた場合、所得税率が20%、住民税率が10%の人であれば、年間3.6万円の税負担軽減となります。また、運用益も非課税となるため、長期間の複利効果が期待できます。

Q5: 確定拠出年金とNISAはどちらがおすすめですか?

A: どちらが良いかは個人の状況によります。確定拠出年金は60歳まで引き出せませんが、掛金の所得控除があります。NISAは途中で引き出すことができますが、掛金の所得控除はありません。長期的な老後資金として考えるなら確定拠出年金、比較的近い将来に使う可能性がある資金ならNISAという使い分けも一つの選択肢です。両方を併用するのも効果的な方法です。

Q6: 企業型確定拠出年金に加入している場合、iDeCoにも加入できますか?

A: 条件によっては両方に加入することが可能です。企業型確定拠出年金の規約で認められている場合、iDeCoにも加入できますが、掛金の拠出限度額は通常より少なくなります(月額2万円まで)。

Q7: 確定拠出年金の手数料はどれくらいかかりますか?

A: 手数料は加入する制度や金融機関によって異なります。企業型の場合は企業が多くの手数料を負担しますが、iDeCoの場合は口座管理料(年間数千円程度)や信託報酬(投資信託のコスト、年率0.1%〜1%程度)などがかかります。

Q8: 確定拠出年金は転職するとどうなりますか?

A: 転職先に企業型確定拠出年金がある場合はそちらに資産を移管できます。ない場合は、iDeCoに移行するか、または運用指図者として現在の口座でそのまま運用を続けることができます。

以上、確定拠出年金に関するよくある質問をご紹介しました。個人の状況に合わせて、最適な選択をするための参考にしていただければ幸いです。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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