「キャピタル世界株式ファンド」は”やめとけ”といわれているのはなぜ?

「キャピタル世界株式ファンド」は”やめとけ”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”キャピタル世界株式ファンドはヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

キャピタル世界株式ファンドは本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

近年、投資初心者からベテランまで多くの投資家の関心を集めている「キャピタル世界株式ファンド」についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。「やめとけ」という声も見られる中で、実際にはどのような投資信託なのでしょうか。信頼性の高い投資商品なのか、それとも本当に避けるべきファンドなのか、多角的な視点から検証していきます。

キャピタル世界株式ファンドの基本情報

キャピタル世界株式ファンドは、日本や新興国を含む世界中の株式に投資するアクティブ型の投資信託です。1931年にアメリカ・ロサンゼルスで設立された世界有数の独立系資産運用会社「キャピタル・グループ」が運用しており、2007年10月29日に設定されました。

4つのコースがある

キャピタル世界株式ファンドには、投資家の目的に合わせて4つのコースが用意されています。

  1. キャピタル世界株式ファンド:成長を重視するファンド。為替ヘッジなし(円安に有利)
  2. キャピタル世界株式ファンド(限定為替ヘッジ):成長を重視するファンド。為替ヘッジあり(円高に有利)
  3. キャピタル世界株式ファンド 年2回決算(分配重視):分配を重視するファンド。為替ヘッジなし(円安に有利)
  4. キャピタル世界株式ファンド 年2回決算(分配重視/限定為替ヘッジ):分配を重視するファンド。為替ヘッジあり(円高に有利)

これらの中で最も人気があるのは、成長性重視・為替ヘッジなしの「キャピタル世界株式ファンド」で、純資産総額は約7,450億円(2024年3月末時点)にのぼるとのことです。

投資対象と分散投資

キャピタル世界株式ファンドは、日本を含む世界各国の262銘柄に分散投資を行うことで、長期的な資産の成長を目指している投資信託です。このファンドに投資するだけで、世界中の優良銘柄に幅広く分散投資することができます。

「やめとけ」と言われる理由・デメリット

インターネット上では、キャピタル世界株式ファンドに対して「やめとけ」という声も見られます。その主な理由としては以下のようなものが挙げられるようです。

1. 手数料が高い

キャピタル世界株式ファンドのデメリットとして最も多く指摘されているのが、手数料の高さです。信託報酬は年率1.701%(税込)となっています。

他の低コストのインデックスファンドと比較してみると:

  • 楽天インデックス(オルカン):0.0561%
  • eMAXIS Slim(オルカン):0.05763%
  • eMAXIS Slim(オルカン※日本を除く):0.05772%
  • はじめてのNISA(オルカン):0.05775%
  • SBIインデックス(オルカン):0.1102%
  • キャピタル世界株式ファンド:1.701%

このように、インデックスファンドの信託報酬が年率0.1%前後であるのに対し、キャピタル世界株式ファンドは1.701%と10倍以上の開きがあります。この手数料の高さが、特に初心者や小規模投資家にとっては利益を圧迫し、投資利回りを下げる原因にもなると言われています。

2. インデックスファンドと運用成績が変わらない

キャピタル世界株式ファンドは高い手数料を取るアクティブファンドですが、その運用成績がインデックスファンドと大差ないという指摘もあります。

モーニングスターの2023年2月末のデータでは、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の3年騰落率は年率で+14.89%、楽天・全世界株式インデックスファンドは年率+14.95%となっています。一方、キャピタル世界株式ファンドの同期間の3年騰落率は年率+13.76%であり、インデックスファンドの運用成績を上回ったとは言えない状況です。

アクティブファンドの高い手数料を支払っているにも関わらず、インデックスファンドと同等かそれ以下の成績に留まっていることから、「やめたほうがいい」という評価につながっていると考えられます。

3. ボラティリティが激しい

キャピタル世界株式ファンドの組入上位には、アップルやマイクロソフト、アマゾンといった米国のハイテク企業が並んでいます。ハイテク企業は将来の成長性が期待される一方で、景気や市場の変動に敏感で、株価のボラティリティ(値動きの大きさ)が高いことで知られています。

2022年は高インフレや金融引き締めの影響でハイテク株が大きく調整し、キャピタル世界株式ファンドの基準価額も大きく下落したとのことです。このようなボラティリティの高さが、安定した運用を求める投資家にとってはデメリットと捉えられているようです。

4. 米国株の影響を強く受ける

全世界株式に投資するファンドとはいえ、投資先の約6割が米国株となっているとの指摘もあります。このような構成により、米国市場の動向に大きく影響を受けやすくなっています。米国経済が好調であれば良いですが、米国市場が下落する局面では、ファンドのパフォーマンスも大きく低下する可能性があります。

5. カントリーリスクの懸念

全世界の株式に投資するため、政治的・経済的に不安定な国への投資も含まれる可能性があります。投資対象国でクーデターや戦争などが起こった場合、株価が下落して全世界株の基準価額も下がるリスクがあるとのことです。

このようなリスクを避けたい投資家にとっては「やばい」と感じる要素かもしれません。

良い評判とメリット

一方で、キャピタル世界株式ファンドには多くのメリットや良い評判もあります。ネガティブな意見ばかりではなく、肯定的な声も数多く見られます。

1. 長期的な運用実績の高さ

キャピタル世界株式ファンドは過去5年間で125%のリターンを達成しており、一括投資していれば資産は倍以上になっているとのことです。これは決して軽視できない実績といえるでしょう。

また、キャピタル世界株式ファンドと同一の運用戦略は1973年3月の運用開始以来、50年以上にわたり良好な運用実績を残してきました。キャピタル・グループの資料によれば、当運用は幾度となく市場の難局を乗り越え、インデックスを大きく上回る実績を実現してきたとのことです。

2. 運用会社の高い信頼性

キャピタル・グループは1931年に創業した世界有数のアクティブ運用会社です。米国では、アクティブ・ファンドの純資産残高においてトップを誇るとのことです。また、米国籍アクティブ・ファンドの純資産残高ランキング上位10ファンドには、複数のキャピタル・グループのファンドがランクインするなど、米国で多くの個人投資家に支持されています。

著書「敗者のゲーム」で有名なチャールズ・エリスも認める運用会社であり、90年以上の運用経験を誇る老舗というポイントも投資家から評価されているようです。

3. 分散投資効果の高さ

キャピタル世界株式ファンドは、日本を含む世界各国262銘柄に分散投資を行っています。これにより、単一国や特定セクターへの過度な集中を避け、リスクを分散させることができます。特に個別株やETFでの分散投資が難しい初心者や、時間をかけて投資先を選ぶ余裕がない投資家にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

4. NISAやiDeCoで購入可能

キャピタル世界株式ファンドはNISAの対象商品です。つみたて投資枠では「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」が、成長投資枠では全シリーズが購入可能となっています。iDeCoにも対応しており、税制優遇を受けながら高いリターンを目指せる点も魅力的です。

5. 優秀ファンド賞の受賞

キャピタル世界株式ファンドは第1回 ウエルスアドバイザーアワードにて”新NISA成長投資枠”WA優秀ファンド賞に選ばれています。選定理由としては以下のような点が挙げられています。

  • トータルリターン5年(年率)は15.65%で、類似ファンド分類平均を上回る
  • トータルリターン10年(年率)は上位18%、中長期的な運用成績も相対的に優秀
  • 37カ月連続の流入超過でファンドレーティングは49カ月連続で「☆☆☆☆」獲得

このような高い評価は、ファンドの質の高さを示す客観的な指標と言えるでしょう。

「やめとけ」という声の真相と現実

ここまで見てきたように、キャピタル世界株式ファンドには「やめとけ」と言われる理由がある一方で、多くのメリットも存在します。では、実際にはどのように評価すべきなのでしょうか。

手数料の高さは本当に問題か?

確かにキャピタル世界株式ファンドの信託報酬1.701%は、インデックスファンドと比較すると高いと言えます。しかし、これはアクティブファンドとインデックスファンドの本質的な違いによるものです。

アクティブファンドでは、運用チームが積極的に銘柄選択や市場分析を行い、市場平均を上回るパフォーマンスを目指します。そのためには、高度な分析能力や優れた人材、グローバルなリサーチ体制などが必要であり、これらのコストが信託報酬に反映されています。

一方、インデックスファンドは市場指数に連動することを目的としており、運用の自由度は低いものの、コストを抑えることができます。

つまり、単純に手数料の高低だけで判断するのではなく、「その手数料に見合った付加価値があるか」という観点で評価する必要があるでしょう。

運用成績の実態

短期的にはインデックスファンドと同等かそれ以下のパフォーマンスに見えることもありますが、長期的には市場平均を上回る実績があるようです。キャピタル世界株式ファンドのトータルリターン5年(年率)は15.65%で類似ファンド分類平均を上回り、10年(年率)も上位18%の成績となっています。

また、キャピタル・グループの資料によれば、同一の運用戦略で40年間積立投資を行った場合、評価額は6,007万円とインデックスの3,116万円を上回る結果となったとのことです。このような長期的な視点で見ると、手数料の高さを相殺するだけの付加価値を生み出している可能性があります。

投資スタイルとの相性

キャピタル世界株式ファンドが「おすすめしない」とされる理由の一つは、投資家の投資スタイルやリスク許容度との相性の問題かもしれません。

例えば、以下のような投資家にはキャピタル世界株式ファンドは向いていない可能性があります。

  • とにかく低コストで運用したい投資家
  • 短期的な値動きに神経質な投資家
  • 自分でポートフォリオを細かく調整したい投資家

一方で、以下のような投資家にはむしろ「おすすめ」できるファンドと言えるでしょう。

  • 長期投資を前提としている投資家
  • 分散投資の手間を省きたい投資家
  • プロの運用チームによる銘柄選択に価値を見出す投資家
  • 世界経済の成長を享受したい投資家

投資家の評判と口コミ

実際の投資家からはどのような評価がされているのでしょうか。ネット上の口コミを見てみると、肯定的な意見と否定的な意見の両方が見られます。

良い評判・口コミ

  • 「キャピタルグループの実績ある運用力が魅力」
  • 「世界中の株式に幅広く投資できる」
  • 「つみたてNISAでも買えるのが良い」
  • 「長期で積み立てると複利効果で資産が増える」
  • 「著書「敗者のゲーム」で有名なチャールズ・エリスのファン。彼が認めた運用会社の投資信託だから気になっている」
  • 「NISAでもつみたて投資枠で全世界株式に投資できる実績のあるアクティブファンド」

悪い評判・口コミ

  • 「手数料が高すぎる」
  • 「インデックスファンドのほうがコストパフォーマンスが良い」
  • 「為替リスクがある」
  • 「ハイテク株中心で株価変動が大きい」
  • 「後追いで話題の銘柄を買い増しているように見えるので、ホルダーとしてはそこが心配」

掲示板での評判

投資関連の掲示板でも、キャピタル世界株式ファンドについて活発な議論が行われています。「良くも悪くも安定運用だと思っている」という意見もあれば、「負けているといらっとする」といった辛口のコメントもあります。

このように評価が分かれるのは、投資家それぞれの投資目的やリスク許容度、投資期間の違いによるものと考えられます。

キャピタル世界株式ファンドの独自の運用手法

キャピタル世界株式ファンドは、独自の運用哲学に基づいた銘柄選択を行っています。特に「マルチナショナル企業」に注目して投資を行っているのが特徴です。

マルチナショナル企業への注目

マルチナショナル企業とは、グローバルにビジネス基盤を確立し、通貨や国際的な法規制、会計や物流、文化・言語などの違いに優れた適応力を有する企業を指します。キャピタル・グループは時代の変遷の中で、以下のような企業をマルチナショナル企業として着目してきたとのことです。

  • 1980年代:日本製品の台頭→松下電器(現パナソニック)
  • 1990年代:半導体技術の革新→マイクロン・テクノロジー
  • 2000年代:インターネット普及→マイクロソフト
  • 2010年以降:eコマース拡大→アマゾン・ドット・コム

このようなマルチナショナル企業に着目することで、長期的な潮流や成長産業の変化を捉え、中長期的な資産成長を追求しているのが、このファンドの特徴と言えるでしょう。

今後の見通しと投資判断のポイント

キャピタル世界株式ファンドについて詳しく見てきましたが、今後の見通しやどのような投資家に向いているのかを考えてみましょう。

今後の見通し

世界経済は今後も人口増加等を背景に成長が続くことが予想されているため、全世界株式への投資により、世界経済の成長を享受することが期待できるとのことです。特に新興国の経済成長が続く中で、グローバルに展開する企業への投資は中長期的に「やばくない」選択肢と言えるかもしれません。

また、キャピタル・グループのような歴史ある資産運用会社が、幾度となく市場の難局を乗り越えてきた実績は評価に値します。今後も市場の変動はあるでしょうが、その都度適切な対応ができる可能性が高いと考えられます。

向いている投資家のタイプ

キャピタル世界株式ファンドは、以下のような投資家にとって「利点」が多いファンドと言えるでしょう。

  1. 長期投資家:短期的な市場変動よりも長期的な成長を重視する投資家
  2. 分散投資を重視する投資家:世界中の株式に一括で投資したい投資家
  3. プロの運用判断を信頼する投資家:自分で銘柄選択するよりプロに任せたい投資家
  4. 積立投資を行う投資家:つみたてNISAやiDeCoを活用した長期積立を行う投資家
  5. 世界経済の成長を享受したい投資家:グローバルな経済成長の恩恵を受けたい投資家

向いていない投資家のタイプ

一方で、以下のような投資家には「おすすめしない」可能性があります。

  1. 超低コスト志向の投資家:とにかく低コストでの運用を最優先する投資家
  2. 短期的な値動きに敏感な投資家:短期間での値動きに一喜一憂する投資家
  3. 自分でポートフォリオを細かく調整したい投資家:セクターや国・地域の配分を自分で決めたい投資家
  4. インデックス運用にこだわる投資家:アクティブ運用よりインデックス運用を信念として持つ投資家

結論:「やめとけ」は誤解か、それとも正しい判断か

ここまでキャピタル世界株式ファンドについて多角的に検討してきました。「やめとけ」という声は本当に正しいのでしょうか。

結論から言えば、キャピタル世界株式ファンドは一概に「やめとけ」と言い切れるものではなく、投資家の状況や投資目的によって評価が分かれる投資信託と言えるでしょう。高い手数料や短期的なパフォーマンスの問題はあるものの、長期的な運用実績や分散投資効果、運用会社の信頼性などを考慮すると、多くの投資家にとって検討に値する投資対象と言えます。

特に長期的な資産形成を目指す投資家や、世界経済の成長を享受したい投資家にとっては、キャピタル世界株式ファンドは非常に魅力的な選択肢になり得ます。

最終的には、自分の投資哲学や目標、リスク許容度などを考慮し、他のファンドとも比較検討した上で判断することが大切です。そして何より、一度投資したら長期的な視点で保有し続けることが、このようなアクティブファンドの真価を発揮させる鍵となるでしょう。

インターネット上の「やめとけ」という声に惑わされず、自分自身の投資目標に合った選択をすることが、成功する投資への第一歩と言えるのではないでしょうか。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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