外貨預金のデメリットが”やばい”といわれているのはなぜ?

外貨預金のデメリットが”やばい”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”外貨預金はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

本当にダメなのか、外貨預金のデメリットとメリットから真相に迫る

外貨預金についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。近年、円安傾向が続く中で外貨預金への関心が高まっていますが、同時に「外貨預金はやばい」「やめとけ」といった否定的な意見もSNSやネット上で散見されます。本当に外貨預金はデメリットばかりなのでしょうか?それとも活用方法次第で資産形成に役立つ金融商品なのでしょうか?今回は様々な口コミや専門家の意見をもとに、外貨預金の実態について多角的に検証していきます。

外貨預金の基本的な仕組み

外貨預金とは、日本円を米ドルや豪ドルなどの外国通貨に換えて預ける金融商品です。外貨預金には主に「外貨普通預金」と「外貨定期預金」の2種類があり、普通預金はいつでも預け入れや引き出しができる流動性の高い預金、定期預金は預入期間が決まっている預金となります。

外貨預金が円預金と大きく異なるのは、為替レートの変動によって預けたお金の価値が変わる点です。たとえば、1ドル=100円の時に10万円を預けて1,000ドルにした後、1ドル=110円になれば、円に戻した時に11万円になり1万円の為替差益が生まれます。逆に1ドル=90円になった場合は9万円になり、1万円の為替差損(元本割れ)が発生します。

また、外貨預金は一般的に日本の円預金よりも金利が高く設定されています。例えば住信SBIネット銀行では、日本円の定期預金(1年)の金利が0.350%なのに対し、米ドルでは5.000%、南アランドでは6.600%と大きな差があるようです。

このように、外貨預金は高金利と為替差益の可能性がある一方で、為替リスクや手数料など考慮すべき点も多い金融商品と言えます。

ネットで噂されている外貨預金の”やばい”デメリット

元本割れのリスクがある

外貨預金でよく指摘される「やばい」点として最も多いのが、元本割れのリスクです。為替レートの変動によって、預け入れた時点よりも円高が進むと、日本円に戻した際に元本割れを起こす可能性があります。

具体的な例としては、1ドル=100円の時に10万円を預けて1,000ドルとした後、1ドル=90円になった場合、同じ1,000ドルでも円に換算すると9万円となり、1万円の損失が発生します。このような為替変動による元本割れのリスクは、外貨預金を「やめたほうがいい」と言われる最大の理由の一つのようです。

為替手数料がかかる

外貨預金では、円を外貨に交換する際や外貨を円に戻す際に為替手数料がかかります。この手数料は各金融機関によって異なりますが、一般的にはTTS(対顧客電信売相場)とTTB(対顧客電信買相場)の差として設定されています。

たとえば、基準となる為替レート(仲値)が1ドル=100円の場合、銀行で円からドルに交換する際には手数料が上乗せされて1ドル=102円(TTS)になり、逆にドルから円に戻す際には1ドル=98円(TTB)といった具合に手数料が差し引かれるわけです。そのため、たとえ為替レートが全く変動しなかったとしても、往復の手数料負担だけで4%程度の損失が生じる可能性があるのです。

ネット銀行などは店舗型銀行と比較して為替手数料を低く設定していることが多いですが、それでも無視できないコストとなります。頻繁に預け入れや払い戻しを行うと、その都度手数料が発生するため、コストがかさむことがデメリットとして挙げられています。

預金保険制度が適用されない

外貨預金は預金保険制度(ペイオフ)の対象外となっています。預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者の預金等を一定の範囲内で保護するための保険制度です。

円預金の場合、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破たん日までの利息等が保護されますが、外貨預金はこの制度の適用外です。金融機関が破綻した場合、外貨預金の支払いは破綻した金融機関の財産の状況に応じて行われることになります。

現代の日本では大手金融機関の破綻リスクは低いと考えられていますが、絶対に安全とは言い切れない点は理解しておくべきでしょう。このリスクも外貨預金が「おすすめしない」と言われる理由の一つと言われています。

為替差益に対する課税

外貨預金で為替差益が発生した場合、税金面でもデメリットがあります。為替差益は「雑所得」として総合課税の対象となるため、他の所得と合算して課税されます。

一方、外貨預金の利息は「利子所得」として20.315%の源泉分離課税が適用されます。これは円預金の場合と同様です。しかし、為替差益に対する課税は他の所得と合算されるため、所得が多い人ほど税負担が重くなる可能性があります。

ただし、為替差損が発生した場合は、他の雑所得と相殺することができるという特徴もあります。

為替相場の予想が難しい

外貨預金で利益を得るためには、円安になったタイミングで外貨を売却するなど、為替相場を予測する必要があります。しかし、為替相場は経済指標や政治動向、国際情勢など多くの要因が複雑に絡み合って変動するため、正確な予測は非常に難しいと言われています。

専門家でさえ為替を正確に予測することは困難であり、一般の個人投資家がタイミングを見極めるのはさらに難しいと言えるでしょう。この為替予測の難しさが「外貨預金はやめとけ」と言われる理由の一つとして挙げられています。

外貨預金の良い評判と活用法

ここまでデメリットを中心に見てきましたが、外貨預金には多くの良い評判もあります。ここからは外貨預金の「やばくない」メリットや活用法について見ていきましょう。

円預金よりも高い金利が魅力

外貨預金の最大のメリットの一つは、円預金と比較して高い金利が期待できる点です。日本の超低金利政策が続く中、外貨預金は相対的に高い利回りを提供しています。

例えば、住信SBIネット銀行の定期預金(1年)の金利を比較すると、日本円が0.350%であるのに対し、米ドルは5.000%、ユーロは2.900%、豪ドルは4.200%、南アランドに至っては6.600%と、大きな差があります。

このように高金利を享受できる点は、外貨預金が「おすすめ」される大きな理由の一つです。特に長期間保有する場合、この金利差は無視できない魅力となります。

円安時の為替差益の可能性

外貨預金では、預け入れ後に円安が進むと為替差益を得ることができます。例えば1ドル=100円で1,000ドル(10万円相当)を預け入れた後、為替レートが1ドル=110円になれば、円換算で11万円となり、1万円の為替差益が生まれます。

近年の日本では円安傾向が続いており、外貨預金で為替差益を得た例も少なくないようです。実際にオリコン顧客満足度調査の口コミでも「ドルで定期預金していたが、ドル高、円安で預金時より1ドル40円近くレートが変わって、解約して円に変え相当額の利益をえた」(60代以上/男性)といった声が見られます。

インフレや円安対策として有効

外貨預金は、インフレや円安対策としても活用できます。日本国内でインフレが進行すると日本円の購買力が低下しますが、外貨を保有していれば資産の価値を一定程度保全できる可能性があります。

また、外貨預金は「資産の分散」という観点からも評価されています。すべての資産を円だけで保有するのではなく、一部を外貨で持つことでリスクを分散させる効果が期待できるのです。

少額から始められる手軽さ

外貨預金は、多くの銀行で少額から始めることができます。例えばソニー銀行では、外貨積立を500円から始めることができると言われています。

また、auじぶん銀行の利用者からは「購入・売却が初めてでも分かりやすく、タップ1つでリアルタイムでできた。預入手数料がかからなく、手数料自体も比較的安いので計算がしやすかった」(40代/女性)といった使いやすさに関する口コミも見られます。

このように、少額から手軽に始められる点も外貨預金の「利点」として評価されています。

銀行別の評価と口コミ分析

外貨預金サービスは銀行によって特徴や評価が異なります。ここでは、オリコン顧客満足度ランキングを参考に、各銀行の評価と口コミを分析していきます。

ソニー銀行

オリコン顧客満足度ランキングで1位を獲得したソニー銀行は、特に「取引メニュー」の項目で高得点を獲得しています。

ソニー銀行の特徴として、Sony Bank WALLETを使って海外で外貨預金から直接引き出せる点が評価されています。「外貨預金をするなら、そのまま海外で外貨を使えるデビットカードがある銀行がおすすめ!私はソニー銀行を使っています。円から外貨に変えるときには為替手数料が取られます。円に戻すときにもまた取られます。だから出来るだけ、一度外貨に変えたら円に戻さず、外貨のまま使える銀行がいいですよ」(利用者の口コミ)という声もあります。

また、毎月実施される「雇用統計タイムセール」では購入時為替コストが無料になるなど、手数料面での工夫も見られます。

口コミでは「海外旅行でATMで両替ができるのは便利。予め旅行先の外貨で預金しておけば、少ない手数料で、現地通貨でキャッシュレス決済ができるのは便利」(50代/女性)、「少額から購入出来て、自分の指定した為替レートより高ければ購入しない設定もあったので無理なく続けられる」(50代/女性)といった評価が見られます。

住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行は2位にランクインしており、特にSBI証券との連携の便利さが評価されています。

口コミでは「スマホアプリで簡単に外貨を買えるのが良いです。SBI証券で米国株を買う際に、住信SBIネット銀行で買っていた外貨預金の米ドルを手数料なしで即時移行できたのがありがたかったです」(30代/女性)という声があります。

また、「リアルタイムで注文することができたり、指値注文を入れることができるので、その時の戦略に合わして外貨を購入することができて便利で使い勝手が良いなと思えた」(30代/男性)といった使いやすさに関する口コミも見られます。

auじぶん銀行

auじぶん銀行は3位にランクインしており、特にわかりやすい操作性やポイント還元などが評価されています。

口コミには「外貨自動積み立てで、ポンタポイントをたくさんもらえる。為替変動メッセージがこまめにくる」(50代/女性)、「外貨預金をするとポイントが貰えるので、貰えるポイント分は損ができると思えるのでハードルが下がるところが使い易い」(50代/男性)といった声があります。

また、「外貨預金の売買のみの点でいえばシンプルでマイペースに利用しやすい。利率やキャンペーンでのキャッシュバックが色々ある」(50代/女性)というコメントもあり、初心者にも使いやすいサービスであることがうかがえます。

SMBC信託銀行プレスティア

SMBC信託銀行プレスティアは4位にランクインしており、特に海外送金や外貨関連サービスの充実度が評価されています。

「預金が一定以上あれば海外から受け取った小切手の換金を手数料なしで行える、もしくは海外からの送金を手数料なしで受け取れる店は、日本国内のどの銀行でもやっていないことなので、助かっている」(50代/女性)という口コミからも、外貨関連の特化したサービスを提供していることがわかります。

また、「世界中でストレスなく取り引きができること、通常の取り扱い手数料等が優遇されていること、外貨に対する豊富な知識があり的確なアドバイスが得られたこと」(50代/男性)という声もあり、外貨取引に関する専門性の高さも評価されているようです。

外貨預金を賢く活用するためのポイント

ここまで外貨預金のデメリットと良い評判を見てきましたが、最後に外貨預金を賢く活用するためのポイントをいくつか紹介します。

余裕資金で運用する

外貨預金は為替変動によって元本割れのリスクがあるため、生活に必要な資金ではなく、余裕資金で運用することが重要です。万が一為替が不利な方向に動いても生活に支障をきたさないよう、資金計画をしっかり立てておきましょう。

長期的な視点で運用する

外貨預金は短期的な為替変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で運用することがおすすめされています。短期間で円高・円安が繰り返される中では、長期的に保有することで為替変動のリスクを平準化する効果が期待できます。

また、高金利通貨の場合、長期間保有することで利息収入が増え、多少の為替差損をカバーできる可能性もあります。

複数の通貨に分散する

外貨預金を行う際は、1つの通貨に集中するのではなく、複数の通貨に分散することがリスク管理の観点から推奨されています。例えば、米ドル、ユーロ、豪ドルなど異なる特性を持つ通貨に分散投資することで、特定の通貨の下落リスクを軽減できる可能性があります。

為替コストの低い金融機関を選ぶ

外貨預金を行う際は、為替手数料の低い金融機関を選ぶことも重要です。一般的にネット銀行は店舗型銀行よりも為替手数料が低い傾向があります。また、キャンペーンなどを利用して手数料が割引されるタイミングを活用するのも一つの方法です。

口コミを見ると、ソニー銀行の「雇用統計タイムセール」や住信SBIネット銀行のSBI証券との連携など、各銀行が独自の手数料優遇策を提供していることがわかります。これらを上手に活用することで、コストを抑えた運用が可能になるでしょう。

外貨のまま使う選択肢も検討する

外貨預金のデメリットとして為替手数料がありますが、外貨を円に戻さずに外貨のまま使う方法もあります。例えばソニー銀行のSony Bank WALLETを使えば、海外で外貨預金から直接お金を引き出したり、決済したりすることができます。

「昨日考えていたソニー銀行のデビットカードで外貨預金をそのまま使う奴、本当に手数料なしで普通預金残高から支払いできるらしく、円安で3割くらいお得に買えている気がするという…」という口コミもあるように、特に海外旅行や留学、海外ショッピングをよく利用する方にとっては、外貨預金を円に戻さずそのまま使うことで手数料を節約できる可能性があります。

まとめ:外貨預金は使い方次第でメリットを生かせる金融商品

外貨預金については「やばい」「やめとけ」といった否定的な意見もありますが、実際には使い方次第で有効な資産運用手段となり得ることがわかりました。確かに元本割れのリスクや手数料負担、預金保険制度非適用といった「欠点」は存在しますが、それらのリスクを理解した上で賢く活用すれば、「おすすめ」できる金融商品と言えるでしょう。

特に日本の超低金利環境が続く中、外貨預金の高金利は魅力的です。また、円安局面では為替差益も期待できますし、資産の分散化という観点からも一定の「利点」があると言えます。

オリコン顧客満足度ランキングでも上位にランクインしているソニー銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、SMBC信託銀行プレスティアなどは、使いやすさや特徴的なサービスで高い評価を得ています。これらの銀行が提供する独自のサービスや手数料優遇制度を活用することで、外貨預金のデメリットを最小限に抑えつつメリットを最大化することが可能です。

外貨預金は決して「やばくない」金融商品です。適切なリスク管理と運用戦略を持って臨めば、資産形成の一助となる可能性を秘めています。余裕資金の運用先として、あるいは海外旅行や留学などの予定がある場合の資金準備として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

最後に、外貨預金に限らず金融商品を選ぶ際は、自分自身の資金状況やリスク許容度、投資目的に合ったものを選ぶことが何よりも重要です。ネットの評判や口コミも参考にしつつ、ご自身に合った資産運用方法を見つけていただければ幸いです。

タグ:
執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
関野 良和の執筆記事一覧・プロフィールへ