国民年金全額免除の”デメリット”がやばいといわれているのはなぜ?

国民年金全額免除の”デメリット”がやばいといわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”国民年金全額免除はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

国民年金全額免除は本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

国民年金の全額免除制度についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。「国民年金の全額免除はデメリットがやばい」「将来の年金額が大幅に減るからやめとけ」といった声がネット上でよく見られます。本当に国民年金の全額免除は避けるべきなのでしょうか?または誤解に基づいた情報が広まっているだけなのでしょうか?この記事では国民年金全額免除制度の実態について、そのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

国民年金全額免除制度とは何か

国民年金全額免除制度とは、経済的な理由などから国民年金保険料の納付が困難な方が申請し、承認されることで保険料の支払いが免除される制度です。2024年度の国民年金保険料は月額16,980円(年間約20万円)ですが、全額免除が適用されると支払いが0円になります。

免除を受けるための条件

免除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下であること
  2. 失業や災害など特別な事情がある場合

具体的には、扶養親族等がいない場合、前年の所得が67万円以下であれば全額免除の対象となります。ただし、所得が67万円を超える場合でも、4分の3免除、半額免除、4分の1免除などの部分免除が適用される可能性があります。

国民年金全額免除の”デメリット”がやばいと言われる理由

ネット上で国民年金全額免除のデメリットが「やばい」と言われているのは、主に以下の理由からのようです。

1. 将来の年金受給額が減少する

全額免除を受けると、将来受け取る老齢基礎年金の額が減少します。具体的には、全額免除期間分の年金額は、保険料を全額納付した場合の2分の1になります。

例えば、2年間全額免除を受けた場合、満額との差額が年間約2万円になるとされています。これが長期間続くと、将来の年金受給に大きな影響を与える可能性があります。40年間全額免除し続けた場合でも年金は受け取れますが、満額と比較すると大幅に減額されるでしょう。

2. 特定条件での年金額ゼロのリスク

さらに深刻なデメリットとして、特定の条件下では年金額がゼロになるリスクがあるとも言われています。免除期間が長く、かつ免除期間中に保険料の追納を行わなかった場合に、このリスクが高まるようです。

3. 追納の制限と費用負担

免除された保険料は、後から納める(追納する)ことができますが、追納できる期間は免除を受けてから10年以内と制限されています。また、免除から3年度以上経過した場合は、当時の保険料に加算金が上乗せされるため、費用負担が増加します。

例えば、2年分の追納額は約40万円になることもあり、経済的な負担が大きいと考えられています。この金額を一度に支払うのは困難という方も多いでしょう。

4. 親との同居による影響

親と同居している場合、本人の収入が少なくても、親(世帯主)の所得が基準を超えると全額免除を受けられない場合があります。このような世帯構成による制限も、デメリットとして挙げられています。

誤解されがちな点と実際の真相

一方で、国民年金全額免除には誤解されている点も多くあります。実際には「やばくない」と考えられる側面も存在します。

1. 免除≠未納であることの重要性

最も重要な誤解は、「免除=未納」と考えてしまうことです。実際には、免除と未納は全く異なります。

未納の場合、その期間は年金の受給資格期間にもカウントされず、将来の年金額にも全く反映されません。一方、免除期間は年金を受け取るための受給資格期間(10年以上)に含まれます。

2. 半分の年金額は保障される

全額免除を受けると年金額が減りますが、ゼロになるわけではありません。全額免除された期間の年金額は、保険料を全額納付した場合の2分の1として計算されます。これは、国が代わりに負担してくれる部分があるためです。

3. 追納によって年金額を回復できる

10年以内であれば追納することで、年金額を満額に戻すことができます。また、追納した保険料は社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税、国民健康保険料などの節税・節約につながる可能性もあります。

国民年金全額免除の”おすすめ”できる場面と利点

国民年金全額免除制度には、以下のような利点もあります。

1. 経済的困難時の支援として有効

経済的に困窮している場合、月額約17,000円(年間約20万円)の保険料支払いが免除されることで、生活費を捻出しやすくなります。一時的な経済的困難を乗り越えるための重要な支援策となり得ます。

2. 年金受給資格の確保

未納のままにしておくと年金の受給資格を得られないリスクがありますが、免除を受けることで受給資格期間(10年以上)に含まれるため、将来の年金受給権を失わずに済みます。

3. 障害年金・遺族年金の保障維持

免除期間中に病気やけがで障害が残ったり、死亡したりした場合でも、障害年金や遺族年金を受け取れる可能性があります。未納期間があると、これらの年金も受給できない可能性があるため、保障の維持という点では重要です。

4. 特殊なケースでは年金額が減らない制度も

産前産後期間の免除制度を利用した場合は、特例として年金額が減らない制度もあります。このように、状況によっては全くデメリットなく利用できる免除制度も存在します。

障害年金受給者の特殊なケース

障害年金2級以上に認定された方は、法定免除(全額免除)の対象となりますが、現在は選択制になっています。将来障害が軽減された場合に老齢年金の額が減ることを懸念して、あえて納付を選択する方もいるようです。

これは障害の程度や将来の見通しによって判断が分かれる部分であり、個人の状況に応じた選択が重要です。

国民年金全額免除を適切に活用するためのポイント

国民年金全額免除制度を適切に活用するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

1. 一時的な経済的困難の際の「橋渡し」として活用する

国民年金全額免除は、一時的な経済的困難を乗り越えるための「橋渡し」として考えるのが適切です。長期間にわたって免除を受け続けると、将来の年金額に大きく影響するため、経済状況が改善したら通常の納付に戻ることを検討しましょう。

2. 可能な限り追納を検討する

将来の年金額を確保するためには、経済的に余裕ができた時点で追納を検討することをおすすめします。特に免除から3年未満の期間内の追納は、加算金がかからないため効率的です。

3. 部分免除の活用も視野に入れる

全額免除だけでなく、4分の3免除、半額免除、4分の1免除などの部分免除も考慮しましょう。部分免除を受けると、納付する保険料は減少しますが、年金額への影響も軽減されます。

4. 未納は絶対に避ける

免除申請をせずに未納のままにすることは、将来の年金受給に大きな影響を与えるため、絶対に避けるべきです。経済的に納付が困難な場合は、必ず免除または納付猶予の申請を行いましょう。

まとめ:国民年金全額免除は「やばい」のか?

国民年金全額免除は、確かに将来の年金額が減少するというデメリットがあります。しかし、未納のままにするよりは明らかに有利であり、一時的な経済的困難を乗り越えるための有効な手段と言えるでしょう。

「やばい」と言われる点は、適切な理解と対策によって回避または軽減できるものがほとんどです。特に追納制度を上手く活用することで、デメリットを最小限に抑えることができます。

経済的に困難な状況にある方や、障害を持つ方などには、むしろ「おすすめ」できる制度であり、適切に活用することで将来の年金受給を確保する「利点」があります。

最終的には、自分の経済状況や将来の見通しを考慮し、必要に応じて専門家(年金事務所や社会保険労務士など)に相談しながら判断することが重要です。国民年金全額免除制度はデメリットがあっても、適切に利用すれば「やばくない」制度と言えるでしょう。

国民年金保険料の支払いが困難な方は、未納のままにせず、必ず免除や猶予の申請を検討してください。将来の年金を少しでも確保するための重要なステップとなります。

参考資料

国民年金保険料の免除制度については、各自治体の窓口や年金事務所でも詳しく案内しています。また、日本年金機構のウェブサイトでも詳細な情報を確認することができます。経済状況が変化した場合は、適時に相談・申請を行うことをおすすめします。

国民年金は老後の生活を支える重要な制度です。「やばい」デメリットに惑わされず、正しい知識を持って適切に活用していきましょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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