公的外貨準備の通貨別構成(COFER)とは?

公的外貨準備の通貨別構成(COFER)とは?
ライター:関野 良和

公的外貨準備の通貨別構成(COFER)についてわかりやすく解説

世界各国の中央銀行がどのような通貨で外貨準備を保有しているかを把握することは、国際金融システムを理解する上で非常に重要です。IMF(国際通貨基金)が公表している公的外貨準備の通貨別構成(COFER: Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves)はこれを示す貴重な統計であり、国際通貨の動向を把握する上で欠かせないデータとなっています。

公的外貨準備の通貨別構成(COFER)についてわかりやすく解説

COFERの概要と歴史

COFERとは、IMFが世界各国の中央銀行から収集した外貨準備の通貨構成に関するデータを集計・公表している統計です。IMFは2005年12月からこの統計を公表し始めました。それ以前は年1回IMF年報に掲載されていましたが、新たに四半期ごとの統計が発表されるようになりました。

この統計は、IMF加盟国の中央銀行から自発的かつ機密ベースで報告されています。現在、IMF加盟国および非加盟国/経済圏の通貨当局、その他の外貨準備保有機関を含む149の報告者が存在します。個別国のデータは厳密に機密扱いされており、公表されるのは世界全体の集計データのみとなっています。

COFERで識別される通貨

COFERデータセットでは、以下の主要通貨が識別されています。

  • 米ドル
  • ユーロ
  • 日本円
  • 英ポンド
  • スイスフラン
  • カナダドル
  • オーストラリアドル
  • 中国人民元
  • その他の通貨

また、ユーロ導入前(1999年以前)は、欧州通貨単位(ECU)、ドイツマルク、フランスフラン、オランダギルダーなどが別々に識別されていました。

最新のCOFERデータ(2024年第4四半期)

IMFが2025年3月31日に発表した最新のCOFER調査によると、2024年第4四半期末に世界で保有されていた外貨準備高は12兆3600億ドルとなり、第3四半期末の12兆7500億ドルから減少しました。

主要通貨の構成比は以下の通りです。

  • 米ドル:57.8%(前四半期の57.3%から上昇)
  • ユーロ:19.8%(前四半期の20.0%から低下)
  • 日本円:5.82%(前四半期の5.83%からほぼ横ばい)
  • 英ポンド:4.73%(前四半期の4.98%から低下)
  • 人民元:2.18%(横ばい)
  • カナダドル:2.77%(前四半期の2.74%から上昇)

COFERデータに含まれない国について

COFER(公的外貨準備の通貨別構成)データに含まれない国は、IMFに対して外貨準備の通貨構成を報告していない国々です。以下に、主な非報告国やその背景を説明します。

COFERデータに含まれない主な国

  1. 台湾
    台湾はIMFに対して外貨準備の通貨構成を報告していません。これは、台湾が「先進国」カテゴリーに分類される中で、未報告部分の大半を占めるとされています。具体的には、先進国の「未割り当て(unallocated)」外貨準備の99%を台湾が占めていると推定されています。
  2. 中国
    中国は2015年から部分的にデータを報告し始めましたが、完全な通貨構成は依然として公開されていません。そのため、中国の外貨準備は「未割り当て」として扱われる部分が多く、新興市場国や発展途上国の「未割り当て」外貨準備の大部分を占めています。
  3. その他の国々
    一部の新興市場国や発展途上国も通貨構成を報告していない場合があります。これらの国々については、IMFが公的情報や類似する経済圏のデータを基に推定値を算出することがあります。

未報告の背景と理由

  • 機密保持: 一部の国では、外貨準備の通貨構成を公開することが国家機密に関わると考えられています。
  • 政治的要因: 特に中国や台湾など、地政学的な理由で報告が行われないケースがあります。
  • 技術的制約: 経済規模が小さい一部の発展途上国では、データ収集や報告体制が整っていない場合があります。

影響

これら非報告国による「未割り当て」部分は、COFERデータ全体の正確性に影響を与える可能性があります。ただし、IMFは統計手法を用いてこれらのギャップを補完し、全体像を把握できるよう努めています。

台湾や中国など主要な外貨準備保有国が完全なデータを報告するようになれば、COFERデータの透明性と精度がさらに向上することが期待されます。

COFERデータに含まれる通貨の構成比について

最新のCOFER(公的外貨準備の通貨別構成)データによると、2024年第4四半期時点での主要通貨の構成比は以下の通りです。

2024年第4四半期の通貨構成比

  • 米ドル(USD): 57.8%
    米ドルは引き続き最大のシェアを占める基軸通貨です。前四半期(57.3%)から若干上昇しました。
  • ユーロ(EUR): 19.8%
    ユーロは2番目に多く保有されている通貨で、前四半期の20.0%からわずかに減少しました。
  • 日本円(JPY): 5.82%
    日本円のシェアはほぼ横ばいで、前四半期(5.83%)とほぼ変わりません。
  • 英ポンド(GBP): 4.73%
    英ポンドは前四半期の4.98%からやや低下しました。
  • 中国人民元(CNY): 2.18%
    人民元は安定しており、前四半期と同じ比率を維持しています。
  • カナダドル(CAD): 2.77%
    カナダドルは前四半期の2.74%からわずかに上昇しました。
  • オーストラリアドル(AUD): 小規模な割合で、詳細な数値は明示されていませんが、全体的に安定しています。
  • スイスフラン(CHF)およびその他の通貨: 比率は小さいものの、外貨準備に含まれています。

全体的な傾向

米ドルは依然として外貨準備で支配的ですが、そのシェアは長期的には徐々に低下しています。一方で、ユーロや人民元など他の通貨が多様化の一環として注目されています。為替相場や経済状況による短期的な変動もこれらの比率に影響を与えています。

このデータはIMFが各国中央銀行から自発的に収集したものであり、世界全体および主要経済圏ごとの集計結果として公開されています。

COFERデータの集計方法について

COFER(公的外貨準備の通貨別構成)データは、IMFが世界各国の中央銀行やその他の外貨準備保有機関から収集した情報を基に集計されています。このデータは、各国が保有する外貨準備の通貨構成を示すもので、以下の方法で集計されています。

COFERデータの収集と報告プロセス

  1. 報告者数と範囲
    COFERデータは、IMF加盟国および非加盟国を含む149の報告者によって提供されています。これには中央銀行やその他の外貨準備保有機関が含まれます。
  2. 報告の自発性と機密性
    データは自発的かつ機密ベースで報告されます。個別国のデータは公開されず、世界全体や地域別の集計データのみが公表されます。
  3. データの分類
    COFERでは、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、スイスフラン、カナダドル、オーストラリアドル、中国人民元など主要通貨が識別され、それ以外は「その他の通貨」として分類されます。

集計方法

  1. 四半期ごとの集計
    COFERデータは四半期ごとに集計されており、各通貨における世界全体、先進国、および新興市場・発展途上国での保有割合が示されます。ただし、2015年第2四半期以降、地域別内訳は公開されていません。
  2. 未割り当て部分の推定
    一部の国や機関が通貨構成を報告しない場合、その「未割り当て部分」はIMFスタッフによって推定されることがあります。推定方法には以下が含まれます。

    • キャリー・フォワード法:過去の報告値を基に現在値を推定。
    • 層別平均法:類似した国グループの平均値を使用して推定。
    • 混合方法:キャリー・フォワード法と層別平均法を組み合わせた手法。
  3. データ整合性の確保
    IMFは未報告部分を補完する際に、公開情報や各国の貿易・金融リンクなどを活用しながら慎重に推定を行い、データ整合性を維持しています。

公開されるデータ

  • COFERデータは世界全体として集計された形式で公表されます。個別国や地域ごとの詳細な内訳は機密保持のため公開されません。
  • 公表されるデータには各通貨ごとの割合が含まれますが、一部未割り当て部分については推定値が含まれる場合があります。

COFERデータは国際金融システムにおける通貨構成比率を理解するために重要ですが、その収集・推定プロセスには慎重な分析と機密保持が求められています。

通貨構成比の変動要因

外貨準備の通貨構成比は、為替相場の変動に大きく影響されます。例えば、2024年第4四半期には米ドルの価値が他の通貨に対して7.7%上昇したため、他の通貨で保有する準備高のドル建ての価値が減少し、結果的に外貨準備に占める米ドルの割合が上昇しました。

一般的に、主要通貨に対して米ドル安となった期間では、他通貨建て外貨準備の米ドル換算価格が高まるため、外貨準備に占める米ドルの比率が低下する傾向があります。逆に、米ドル高となった期間にはその逆の現象が起こります。

米ドルの長期的な動向

長期的な視点では、世界の外貨準備における米ドルの比率は徐々に低下傾向にあります。ユーロが導入された1999年以降、中央銀行の外貨準備に占める米ドル資産の比率は71%から大きく低下し、2020年第4四半期には過去25年間で最低となる59%まで下がりました。

最新のデータでは57.8%となっており、この傾向が続いていることがわかります。これは、各国中央銀行が準備資産の通貨多様化を進めていることを示唆しています。特に新興市場国や発展途上国の中央銀行は、準備資産構成通貨の多様化を図る傾向にあります。

COFERデータの制約と注意点

COFERデータには一定の制約があります。例えば、ニューヨークのジェフリーズでFXのグローバルヘッドを務めるブラッド・ベクテル氏は、「特に中国、インド、ロシアなどでは金(ゴールド)への配分が大きく変わっている。COFERのデータはそれを拾い出していない」と指摘しています。

また、過去にはデータの収集範囲に制約がありました。2008年9月末時点では、外貨準備合計6.9兆ドルのうち、通貨構成が開示されている部分は63%に留まっており、特に世界最大の外貨準備を保有する中国のデータが含まれていないことが分析上大きな制約となっていました。ただし、現在は中国も自主申告国として参加しています。

結論

COFERは国際通貨システムにおける各通貨の地位を理解する上で非常に重要な統計です。最新のデータは米ドルが引き続き主要な準備通貨としての地位を保っていることを示していますが、長期的には各国中央銀行が準備資産の多様化を進めていることが明らかになっています。

国際通貨制度は過去60年に大きな構造的変化を経験してきましたが、今も米ドルが国際準備資産通貨として圧倒的な地位を保っています。ただし、その地位に変化が生じる場合、それは長期的なプロセスを経て起こるものと考えられます。

今後も四半期ごとのCOFERデータを注視することで、国際通貨システムの変化を把握することができるでしょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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