敷金礼金なしは”やめたほうがいい”といわれているのはなぜ?

敷金礼金なしは”やめたほうがいい”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”敷金礼金なしはヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

敷金礼金なしは本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

「敷金礼金なし」の賃貸物件についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。近年、「ゼロゼロ物件」と呼ばれる敷金礼金なしの賃貸物件が増えていますが、一部では「やめたほうがいい」「怪しい」という噂も広がっています。本当に敬遠すべきなのか、それとも賢い選択肢なのか、メリット・デメリットを徹底検証します。

敷金・礼金とは何か?基本を理解しよう

まず、「敷金礼金なし」の意味を正確に理解するために、敷金と礼金の基本知識を確認しておきましょう。

敷金の役割と意味

敷金とは、賃貸物件を借りる際に大家さんに預ける保証金のようなものです。主な目的は以下の通りです。

  • 退去時の原状回復費用に充てられる
  • 家賃滞納時の補填に使われる
  • 通常、家賃1~2ヶ月分が相場

敷金は預かり金の性質を持つため、退去時に原状回復費用などを差し引いた残額が返金されます。修繕費用が敷金を超えない限り、一部は戻ってくるお金と考えることができます。

礼金の性質と由来

一方、礼金は大家さんへの謝礼として支払うお金で、返還されることはありません。

  • 大家さんに物件を貸してもらうお礼金
  • 家賃1ヶ月分程度が一般的
  • 戦後の住宅不足時代の風習が起源と言われている

西日本では「敷引き」や「償却金」という言葉も使われており、地域によって慣習が異なります。

敷金礼金なしは「やめたほうがいい」と言われる理由

ネット上で「敷金礼金なしはやめたほうがいい」と言われる主な理由を詳しく見ていきましょう。

物件の条件が悪い可能性がある

ゼロゼロ物件は、人気がなく空室期間が長い物件である可能性が指摘されています。具体的には以下のような条件が考えられるようです。

  • 駅から徒歩20分以上と遠い
  • 築年数が30年以上と古い
  • 設備や内装が時代遅れ
  • 北向きで日当たりが悪い
  • 幹線道路や線路沿いで騒音がひどい
  • 墓地やゴミ処理場などの嫌悪施設が近い
  • 事故物件である可能性

「敷金礼金なし」という条件は、こうした物件の欠点を補うための集客戦略として使われることがあるとされています。

家賃が相場より高めに設定されている

敷金礼金なし物件は、初期費用を抑える代わりに家賃が高く設定されているケースが見られます。例えば、同条件の物件を比較した例では:

物件A(敷金礼金あり) 物件B(敷金礼金なし)
家賃 65,000円
管理費 3,000円
敷金 1ヶ月
礼金 1ヶ月
駅徒歩 徒歩7分
専有面積 約18.2㎡
築年数 1998年8月

このように、敷金礼金なし物件のほうが月々の家賃が高くなっていることがあります。長期間住むほど、この差額の累積が大きくなり、結果的に総支払額が多くなる可能性があるのです。

退去時に予想外の費用がかかることも

敷金がない代わりに、退去時にクリーニング費用や修繕費用が別途請求されるケースがあります。

「敷金と礼金が0でも、『クリーニング代』というものが請求される場合があるのです。入居時または退去時にクリーニング代を請求するというパターンがあります」

敷金があれば、こうした費用は敷金から差し引かれるため心理的な負担が少ないですが、直接請求されると予想外の出費として感じられることがあるようです。

短期解約違約金が設定されていることが多い

敷金礼金なし物件の多くは、契約期間内の解約に対して「短期解約違約金」を設定していることがあります。

「短期違約金とは、「賃貸借契約を結んでから2年未満の退去は家賃○か月分を違約金として支払う」のような文言を、賃貸借契約書に盛り込んでおくことです」

これは大家さんが礼金収入を放棄する代わりに、短期間での退去によるリスクを軽減するための措置と考えられています。

保証会社への加入がほぼ必須

敷金礼金なし物件では、保証会社への加入が必須条件となっていることが多いようです。保証会社の利用料は月額家賃の30~60%程度となることが一般的で、これも実質的な費用増加につながる可能性があります。

住人の質に関する懸念

一部の情報源では、敷金礼金なし物件には「クセのある方が住んでいる可能性がある」と指摘されています。

「多少条件が悪かったとしても、初期費用をどうしても下げなければいけない理由がある方や、エリアの相場に収入が合っていない人など、金銭面に多少なりともエリアの中で問題がある方が進む傾向があります」

ただし、これは一般化された見解であり、実際には様々な事情やライフスタイルの選択として敷金礼金なし物件を選ぶ人も多いと考えられます。

敷金礼金なし物件の利点とメリット

一方で、敷金礼金なし物件には多くのメリットもあります。初期費用の削減以外にも、見逃せない利点があるのです。

初期費用が大幅に抑えられる

最大のメリットは、当然ながら初期費用の削減です。具体的な例を見てみましょう。

項目 敷金・礼金あり 敷金・礼金なし
敷金 6万円 0円
礼金 6万円 0円
前家賃 6万円 6万円
仲介手数料 6.6万円 6.6万円
保証料 3万円 3万円
火災保険料 1.5万円 1.5万円
鍵交換費用 1.5万円 1.5万円
引越し費用 5万円 5万円
合計 35.6万円 23.6万円

この例では、敷金礼金なし物件のほうが約12万円も初期費用が抑えられています。これは引っ越し資金に余裕がない方にとって大きな助けになると言えるでしょう。

「金欠だけど引っ越さないといけなくなった方、今は貯金を崩したくない・・等、現在進行形であまりお金をかけたくない人にとってゼロゼロ物件はとてもおすすめです」

グレードの高い物件に住める可能性

敷金礼金がない分、通常なら予算オーバーとなるようなグレードの高い物件を選択できるというメリットもあります。

「敷金がないため、いつも契約している家賃より少しグレードの高い賃貸物件を選びやすいところも魅力の1つです」

初期費用を抑えることで、より良い住環境や便利な立地の物件を選ぶ余裕が生まれるのです。

契約のハードルが下がる

敷金礼金なし物件は、賃貸契約へのハードルを大きく下げる効果があります。

「まとまった資金を用意する必要がないため、急な転勤・進学・就職などで住まいを探す際にも柔軟に対応できるからです。また、フリーランスやアルバイトなど、審査で収入の安定性が問われるケースでも、敷金礼金なしの物件であれば比較的契約しやすい点はメリットです」

特に若年層や学生、転勤が多い職種の方にとって、この点は大きなメリットと言えるでしょう。

設備が充実している物件もある

意外かもしれませんが、敷金礼金なし物件の中には設備が充実しているものも少なくありません。

「設備が充実している物件が意外と多い」

これは、物件の魅力を高めるために、敷金礼金以外の部分でアピールポイントを作る戦略とも考えられます。

なぜ敷金礼金なしの物件があるのか?

敷金礼金なし物件が存在する背景には、どのような事情があるのでしょうか。大家さんや不動産会社の視点から見てみましょう。

空室リスクの回避

最も大きな理由は、空室リスクの回避です。賃貸物件は空室期間が長くなるほど、大家さんの損失が増大します。

「空室を埋めることや人気がないことの他には、初期費用を安く見せているのにもかかわらず、実際に契約内容を詰めていくと、入居前にメンテナンス費用が利用者負担の場合もありますので、よほど信頼できる不動産業者でない限りは、即決は避けたいものです」

「日本は少子化の波でますます人口が減っています。そのような中、貸主や不動産会社にとって入居者を探すのは困難な状況であるのが現実です。そうなると、敷金や礼金をなしにして、少しでも早く入居者を募る必要があるのです」

建物の維持管理上のメリット

興味深いことに、建物自体の維持管理という観点からも、空室よりは入居者がいたほうが良いとされています。

「だれも人が住まない状態が続くと家はどうなるか?という点です。例えば廃墟の町はいかにしてできあがるのか?それは、だれも人がいなくなると建物の劣化が促進するという事実があるからです」

具体的には、以下のような問題が起きる可能性があります。

  • 換気されないことによる湿気やカビの発生
  • 小さな不具合が修繕されず拡大すること
  • 水道管の劣化や汚臭の発生

保証会社制度の普及

最近では保証会社の利用が一般的になり、敷金の役割(家賃滞納への備え)を代替するようになっています。

「前出の通り、通常では敷金は家賃を滞納してしまったときの担保としても使われています。ただし、最近は、借主の家賃不払いを立て替える保証会社を利用する賃貸借契約が多くなりました。そのため、大家さんが担保金としての敷金を預かる必要がなくなってきています」

敷金礼金なし物件に対する誤解

「敷金礼金なし=怪しい」という評判は、本当に正しいのでしょうか。いくつかの誤解があるようです。

すべての敷金礼金なし物件が条件の悪い物件ではない

確かに一部の敷金礼金なし物件は条件が良くない場合もありますが、すべてがそうではありません。立地や設備が良好な物件でも、空室期間の長期化を避けるために敷金礼金なしで募集するケースもあります。

「敷金礼金なし物件は、基本的に人気のない物件やしばらく空き家が続いている物件が大半です。そういった物件には。人によって住みづらい物件や、住みづらいエリア、クセのある条件等があるでしょう」とある一方で、「設備が充実している物件が意外と多い」という指摘もあります。

物件自体に問題があるわけではない

敷金礼金なし物件は、必ずしも物件自体に問題があるということではありません。単に賃貸市場の競争や地域的な要因、所有者の事情によるものも多いのです。

「地域の所得の割合に比例して、所得の低い地域に「敷金ゼロ・礼金ゼロ」が多いようです」

「決してやましい、怪しい裏があるというわけではなく、入居者と大家さん、そして不動産賃貸会社のwinwinwinな関係が見えてきたと思います」

つまり、敷金礼金なし物件が増えている背景には、賃貸市場の変化や地域特性といった合理的な要因があるのです。

どんな人に敷金礼金なし物件がおすすめか

敷金礼金なし物件は、一概に「やばい」わけではなく、以下のような方々にはむしろおすすめと言えるでしょう。

初期費用をとにかく抑えたい人

「初期費用をとにかく抑えたい」「何かと注意事項が多いゼロゼロ物件ですが、初期費用は間違いなく敷金礼金ありの物件よりは抑えることができます」

学生や新社会人など、まとまった資金を用意するのが難しい方々にとって、敷金礼金なし物件は大きな助けになります。

短期間の居住を予定している人

1〜2年程度の短期間の居住を予定している場合、家賃が少し高くても初期費用が安いほうがトータルコストで有利になることがあります。ただし、短期解約違約金の有無は必ず確認しましょう。

物件の事前調査・下調べが好きな人

「確認事項が多い敷金礼金物件ですが、下調べや情報収集がお好きな人であれば失敗することなく良い物件を見つけやすい傾向にあります」

物件選びに時間をかけ、慎重に調査できる方なら、条件の良い敷金礼金なし物件を見つけられる可能性が高まります。

急な引っ越しが必要になった人

「転勤や家庭の事情などで急な引っ越しが必要になった場合でも対応しやすい」という点も、敷金礼金なし物件の大きなメリットです。急いで住居を確保する必要がある場合には、初期費用の負担が少なく済むことは重要な要素となります。

敷金礼金なし物件を選ぶ際の注意点

敷金礼金なし物件がやばくないとしても、契約前に確認すべきポイントはあります。以下の点に注意することで、後悔のない物件選びができるでしょう。

家賃相場との比較を忘れずに

「敷金礼金なしの不動産はそもそもの基礎家賃が高く設定されているケースがよくあります」

同じエリアで似た条件の物件と家賃を比較し、月々のコストが適正かどうかを確認しましょう。長期間住む予定なら、初期費用の節約よりも月々の家賃が低い物件のほうが総支払額で有利になることもあります。

契約書の特約条項を丁寧に確認

「契約書をよく読んでおく必要があるということです。敷金と礼金が0でも、『クリーニング代』というものが請求される場合があるのです」

特に注意すべき点は:

  • 解約予告期間(通常の1ヶ月より長い場合がある)
  • 短期解約違約金の有無
  • 退去時のクリーニング費用の負担
  • 原状回復費用の範囲

必ず内見をする

「物件をキープするときに内金と称して代金を前払いすることもありますので、賃貸契約には敷金・礼金の他にも契約時の注意点なども是非押さえておきたいことなのです。借りる前に知っておけば、先々困らないのですから気になる事は下調べが必要です」

ネット情報だけで判断せず、必ず実際に物件を見て、周辺環境も確認しましょう。騒音や日当たりなどは、実際に訪れないとわからないことが多いためです。

管理会社や大家さんの評判を調べる

「敷金礼金なし物件の大家さんの特徴として、消耗破損した設備等の修理を住んでいる他人任せにする傾向があります」

可能であれば、同じ管理会社や大家さんの物件に住んでいる人の評判を調べてみると良いでしょう。物件の維持管理状況や、トラブル時の対応の良し悪しは居住満足度に大きく影響します。

まとめ:敷金礼金なし物件は必ずしも「やめたほうがいい」わけではない

敷金礼金なし物件について、様々な角度から検証してきました。確かにデメリットは存在しますが、「必ずやめたほうがいい」というわけではなく、むしろ状況によってはおすすめできる選択肢と言えます。

正しい知識と注意点を押さえれば、敷金礼金なし物件はやばくない

敷金礼金なし物件に対するネガティブな評判は、一部事実を含みながらも誤解や偏見も混ざっているようです。正しい知識を持ち、契約内容をしっかり確認すれば、敷金礼金なし物件が「やばい」物件である可能性は低いと言えるでしょう。

「決してやましい、怪しい裏があるというわけではなく、入居者と大家さん、そして不動産賃貸会社のwinwinwinな関係が見えてきたと思います」

状況に応じた選択を

敷金礼金なし物件が最適な選択肢となるかどうかは、個人の状況や優先事項によって異なります。初期費用の負担を減らしたい方、短期間の居住予定の方、急な引っ越しが必要な方などには、敷金礼金なし物件は特に利点の多い選択肢となるでしょう。

「特に初期費用に無駄な上乗せがされていない場合は、普通に契約するより10万円前後安くなると考えるとわかりやすいですよ」

物件選びは総合的な判断を

最終的には、敷金礼金の有無だけでなく、立地、設備、家賃、管理状態など、総合的に判断することが重要です。敷金礼金なし物件の中にも良質な物件は存在しますし、敷金礼金ありの物件でも条件の悪いものはあります。

「物件の事前調査・下調べが好き」な方であれば、適切な調査を行うことで、敷金礼金なしのメリットを最大限に活かしつつ、デメリットを最小限に抑えた物件選びが可能です。

敷金礼金なし物件は、正しい知識と適切な注意点を押さえれば、決して「やめたほうがいい」選択肢ではなく、むしろ状況によっては賢明な選択となる可能性が高いのです。初期費用の負担を減らしながら、自分のライフスタイルに合った住まいを見つける一つの有効な選択肢として、検討してみる価値があるでしょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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