第一生命ホールディングス株式会社(8750)の業績が好調、株価も上昇している理由と将来の展望について~日本株個別銘柄についてのザックリ解説

第一生命ホールディングス株式会社(8750)の業績が好調、株価も上昇している理由と将来の展望について~日本株個別銘柄についてのザックリ解説
ライター:関野 良和

第一生命ホールディングス株式会社の業績や株価を考察、株の買い時を考える

第一生命ホールディングスは2025年3月期に大幅な業績上方修正を発表し、株式市場からも評価を受けて株価が上昇しています。好調な運用収支による収益増加と積極的な株主還元策が投資家の期待を集め、長期的な成長戦略も評価されています。

業績の大幅上方修正と収益構造の強化

第一生命ホールディングスは2025年3月期の業績予想を大幅に上方修正しました。連結経常利益は当初予想の5,620億円から6,880億円へと22.4%増加修正され、前期比では27.6%増という力強い成長を見込んでいます。これは3期ぶりの最高益更新となる見通しです。特に2025年3月期第3四半期(4-12月)の連結経常利益は前年同期比で49.1%増の5,576億円と好調な推移を示しています。

収益拡大を支える複数の要因

この業績好調の主な要因は以下の点にあります。

  1. 良好な市場環境による運用収益の拡大:有価証券の売却益や投資信託の解約益が改善し、全体の利益を押し上げています。株式・投信の増配等による利息配当金収入の増加や、国内株式の売却前倒しに伴う好調な運用収支が特に貢献しています。
  2. リスク管理の最適化:第一生命では金融派生商品損益を中心にキャピタル損益が大幅に改善しており、市場リスクへの対応力が強化されています。
  3. 収益構造の改善:順ざや(資産運用収益が保険金等の支払いに必要な運用収益を上回ること)の改善が見られ、保険事業の収益性が向上しています。
  4. 海外事業の貢献:米プロテクティブや豪TALなど海外子会社の業績も堅調に推移し、グループ全体の収益を底上げしています。

株価上昇の背景と投資家の評価

第一生命ホールディングスの株価は2020年3月の安値1,018円から長期的な上昇基調にあり、2024年3月には4,012円まで上昇して上場来高値を更新しました。さらに2024年3月1日には3,525円まで上昇し、再び上場来高値を更新する動きを見せています。

株価上昇を牽引した主要施策

  1. 積極的な株主還元策
    • 配当の増額:2025年3月期の年間配当を従来計画の122円から133円へ増額(前期113円)
    • 2024年3月期の配当も86円から106円へと大幅に増額しました
    • 配当性向を30%以上から40%以上へ引き上げる方針を発表
    • 自己株取得枠の設定:5,000万株もしくは1,000億円を上限(発行済み株式総数の5.26%相当)
  2. 株主優待制度の新設
    • 2024年2月29日に自社グループのヘルスケアアプリ「QOLism」を利用できる株主優待制度を発表
    • 100株以上200株未満の株主には年間最大2,000円相当、200株以上の株主には最大5,000円相当のポイントが付与されるという内容で、発表翌日の株価は約2.8%上昇しました
  3. 戦略的施策の実施
    • 株式分割:1株を4株にする株式分割を実施し、投資しやすい環境を整備
    • 社名変更:2026年4月に「第一ライフグループ」への社名変更を予定し、新たなブランド戦略を推進

中期経営計画と将来展望

2024年3月29日に発表された中期経営計画では、以下のような意欲的な目標が掲げられました:

  1. 資本効率の向上:政策保有株式を3年間で1兆2,000億円削減し、資本効率を高める方針
  2. 戦略的投資の拡大:3,000億円の戦略投資を行い、成長分野への重点配分を進める計画
  3. 株主価値向上の明確化:2026年度には時価総額を2023年度始時点の3兆円から倍増する目標を掲げ、株主価値の向上にコミットしています
  4. 構造改革の推進:希望退職の実施(約1,830人が応募)など組織のスリム化と効率化も進めており、将来的な人的資源の最適配置を図っています

まとめ、持続的成長への道筋

第一生命ホールディングスの業績好調と株価上昇は、好調な運用収支による収益増加という基礎的な要因と、配当増額や自社株買いなどの積極的な株主還元策が組み合わさった結果と言えます。特に中期経営計画で明示された成長戦略や資本効率改善への取り組みは、投資家からの信頼獲得に貢献しています。

さらに株主優待制度の新設や株式分割などの施策は、個人投資家にとっての魅力を高め、投資家層の拡大にも寄与しています。これらの総合的な取り組みが評価され、同社の株価は上昇基調を維持しており、中長期的な成長への期待が高まっています。

第一生命ホールディングス株式会社の株に投資するための条件を指標などから考えてみた

第一生命ホールディングスは生命保険業界大手の企業で、近年は業績好調と積極的な株主還元策により投資家から注目を集めています。本レポートでは、同社株式への投資を検討する際に知っておくべき条件や情報を整理してご紹介します。

基本情報と購入方法

証券情報

  • 証券コード: 8750
  • 上場市場: 東証プライム市場
  • 業種: 保険業

購入方法

株式を購入するには証券会社の口座が必要となります。購入手続きは一般的な国内株式と同様で、証券会社を通じて注文が可能です。なお、特別口座で株式をお持ちの方は、証券会社の口座への振替手続きが必要です。

投資単位と金額

  • 最低投資単位: 100株(標準的な売買単位)
  • 必要資金: 2024年2月29日時点の株価3,408円で計算すると、100株購入には340,800円が必要
  • 株式分割: 2025年4月1日に1株→4株の株式分割が実施予定のため、今後投資しやすくなる見込み

株主優待制度

2024年2月29日に新設された株主優待制度の内容は以下の通りです。

優待内容

  • 対象: 毎年3月末時点の株主
  • 内容: 自社グループのヘルスケアアプリ「QOLism」の利用権
  • 特典
    • 100株以上保有:年間最大2,000円相当のポイント獲得可能
    • 200株以上保有:年間最大5,000円相当のポイント獲得可能

ポイント獲得条件

ポイントは健康増進活動(歩数記録、体重記録、食事記録など)を行うことで獲得できます。獲得したポイントは電子マネーやギフト商品と交換可能です。

配当情報

第一生命ホールディングスは積極的な株主還元策を実施しています。

  • 配当利回り: 2024年2月29日時点で2.52%
  • 配当方針: 配当性向を30%以上から40%以上へ引き上げることを発表
  • 配当予定: 2025年3月期の年間配当を従来計画の122円から133円へ増額予定

特別口座に関する注意点

第一生命保険相互会社から株式会社への組織変更時に割り当てられた株式が特別口座で管理されている場合は、以下の点に注意が必要です。

  • 特別口座のままでは株式の売却はできません
  • 売却するには証券会社の口座への振替手続きが必要です
  • 特別口座の管理機関はみずほ信託銀行(問合せ先:0120-282-324)

今後の展望とポイント

株式分割と社名変更

  • 2025年4月1日:1株を4株に分割する株式分割を実施予定
  • 2026年4月:社名を「第一ライフグループ」に変更予定

業績状況

  • 契約者数約800万人の大手生命保険会社
  • 売上構成は国内保険事業が約7割
  • M&Aによる海外事業の急拡大を推進
  • 直近の業績は好調で、2023年3月期決算では売上高が最高額を更新

株価動向

  • 直近4年間で株価は一時約2.6倍に上昇
  • 2024年3月には上場来高値を更新する3,525円まで上昇

まとめ

第一生命ホールディングスへの投資を検討する際は、必要資金として100株分(約34万円)が基本となりますが、2025年4月の株式分割により投資ハードルは下がる見込みです。株主優待や増配などの株主還元策も積極的に実施されており、中長期投資先としての魅力を高めています。投資判断の際には、最新の株価情報や会社の業績動向も併せて確認することをお勧めします。

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最終更新日:2025年3月12日

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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