大阪協栄信用組合が”危ない”といわれているのはなぜ?

大阪協栄信用組合が”危ない”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”大阪協栄信用組合は危ないのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

本当に”大阪協栄信用組合はやばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

大阪協栄信用組合についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。インターネット上では時折「大阪協栄信用組合はやばい」「利用するのはやめたほうがいい」といった否定的な評判が見られますが、これらの声は実態を正確に反映しているのでしょうか。この記事では、多角的な視点から大阪協栄信用組合の評判を分析し、その真相に迫ります。「デメリット」と言われる点は本当なのか、誤解から生じている部分はないのか、バランスよく検証していきます。

大阪協栄信用組合の基本情報

まずは、大阪協栄信用組合の基本的な情報を確認しておきましょう。

大阪協栄信用組合は1951年12月17日に、理美容業者組合員の金融面での相互扶助を目的として「協栄信用組合」の名称で設立されました。その後、1984年6月に現在の「大阪協栄信用組合」に改称しています。

本店所在地は大阪府大阪市中央区日本橋2丁目9番18号に位置し、2009年11月に新本店ビルへ移転しました。2010年10月12日には、神戸市中央区に本店を置いていた富士信用組合と合併し、規模を拡大しています。

現在の経営規模としては、公式サイトによると2024年時点での預金積金残高は8,018億円、貸出金残高は5,240億円となっています。2022年3月31日時点のデータでは、純資産が約790億円、総資産が約8,367億円、従業員数189人、支店舗数13店を有しています。

“危ない”、”やばい”と言われる理由の検証

では、なぜネット上で大阪協栄信用組合が「危ない」「やばい」と評されることがあるのでしょうか。主な懸念点を順に検証していきます。

1. 支店による当たりはずれの差

就活・転職サイトの口コミによると、「支店によって当たりはずれが激しい」という評価があります。これは、支店ごとにサービスの質や職場環境に差があるという意味のようです。「支店長ガチャ」という表現もあり、配属される支店長によって職場環境が大きく左右されるという指摘があるようです[3から類推]。

このような状況は、顧客にとっては一貫したサービスが受けられない可能性を示唆しており、「やめとけ」と忠告される一因となっていると考えられます。

2. アナログな経営手法とデジタル化の遅れ

大阪協栄信用組合の特徴的な施策として、ATMをほとんど設置していないこと(唯一、神戸営業部のみ設置)や、外回りによる営業をしないことが挙げられます。また、口コミサイトには「アナログ。ネットバンクすら…」という評価もあり、デジタル化やオンラインサービスの提供が十分でない可能性が示唆されています。

現代の金融サービスではインターネットバンキングやモバイルバンキングの利便性が重視される中、こうしたサービスの不足が「欠点」として認識され、「おすすめしない」という評価につながっている可能性があります。

3. 人材育成や職場環境に関する懸念

口コミには「学歴のない社員が多いというところからか、仕事効率が悪く、研修制度も悪い」という声もあります。また、「社内政治が上手くないと出世はできない」「昇給幅が狭い」という指摘や、「パワハラ気質な上司への不満」といった声[3から類推]も見られます。

こうした組織文化や人事制度の課題が、「デメリット」として認識され、ネガティブな評判の一因となっている可能性があります。

4. 信用組合そのものへの懸念

一般的に、銀行と比較して信用組合は規模が小さいため、経営の安定性に不安を持つ声も聞かれます。あすか信用組合の例では、「危ない信用組合ランキング」といった記事の影響が指摘されていますが、こうしたランキングの信頼性や分析方法には疑問が残るとされています。

大阪協栄信用組合についても、信用組合という形態そのものに対する漠然とした不安が、具体的な根拠なく「危ない」「やばい」という評価につながっている可能性があります。

良い評判と実際のメリット

一方で、大阪協栄信用組合には多くの良い評判やメリットも存在します。これらを詳しく見ていきましょう。

1. ワークライフバランスの良さ

口コミサイトには、「ワークライフバランスは非常に整っていると思います。金融機関で1年に1回5連休渡ることができるので良いと思います」という声があります。また、「ほぼほぼ定時で帰れるので自分の時間が取りやすく勉強の時間が取れた」という評価もあり、金融機関としては比較的労働環境が良いと評価されているようです。

2. 安定した給与と待遇

「収入については相応の金額をもらえたので良かったです」という口コミがあります。また、「給料が高いです。残業ありません」という評価もあり、待遇面では一定の満足度があるようです。福利厚生面では「エクシブのホテル会員権があるので職員もプライベートの利用で申し込むことができる」「年一回位で支店旅行がある。旅費はほとんど会社持ちで温泉地」といった特典もあるようです。

3. 特化型経営戦略の成功

「特化した経営戦略。定期預金に特化した預金預かり。不動産融資に特化した貸し出し」という経営戦略が強みとして挙げられています。また、「シンプルに無駄を省いたシステムなので利益を上げている。経費率の低さが異常」という評価もあります。

ATMをほとんど設置せず、外回り営業もしないというコスト削減策により、その分を預金の金利上乗せに回すという経営手法は、過去15年で預金量を約12倍に伸ばすという成果を上げています。これは預金者にとって、より高い預金金利を享受できるという「利点」になっています。

4. 地域密着型の金融サービス

公式サイトによると、大阪協栄信用組合は「地域における金融機関としての自覚を持ち、大手金融機関がやれないスキマ金融に特化することによって中小零細企業の経済的地位向上に貢献するなど、地域社会の潤滑油としての役割を果たします」と掲げています。

口コミにも「大阪で頑張る中小企業や商店を支援して、関西の発展並びに関西に生きる人々の人生を豊かにしたいという思いから、前職に入組しました」という声があり、地域金融機関としての役割を果たしていることがうかがえます。

5. 女性の活躍

「女性の管理職は、かなり多くいます。ですので、長く勤めてしっかり働くことができれば管理職になることも夢ではないと思います」という口コミがあり、女性が活躍できる職場環境が整っている可能性があります。

6. 安定した経営基盤

Wikipediaの情報によると、2022年3月期の経常利益は131億9286万6000円、純利益は97億6766万0000円と、安定した経営状況が示されています。また、公式サイトによれば、「リスク管理委員会」を設置し、信用リスク・流動性リスク・事務リスク等の管理に取り組んでいるとされています。

「経営方針・施策に信用リスク・流動性リスク・事務リスク等、各種リスク管理を折り込み、組織内で周知徹底を図っています」という記述からは、リスク管理を重視した経営姿勢がうかがえます。

大阪協栄信用組合の地域展開

大阪協栄信用組合は本店を大阪市中央区に置き、複数の支店を展開しています。確認できる支店情報としては以下のようなものがあります。

  1. 本店営業部(大阪府大阪市中央区日本橋2-9-18、電話:06-6644-6321)
  2. 扇橋支店(大阪府大阪市北区末広町2-32、電話:06-6366-0135)
  3. 阿倍野支店(大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋2-4-43、電話:06-6622-1500)
  4. 東大阪支店(大阪府東大阪市長堂2-1-8、電話:06-6788-8080)

2010年に富士信用組合と合併した際に、神戸市内の店舗も加わっており、大阪府と兵庫県にまたがる広域的な営業展開をしています。この合併により、「預金量が近畿の信用組合中で3位に、さらに全国にある信用組合中で13位から9位(2010年2月の合併合意時点では10位)に浮上した」とされています。

“危ない”という評判は誤解か?真相を考察

これまでの情報を総合すると、大阪協栄信用組合が「危ない」「やばい」と言われる理由には、いくつかの誤解や一面的な見方が含まれている可能性があります。

誤解されている可能性がある点

  1. 経営状態は実際には安定している:数字から見る限り、預金・貸出金残高ともに成長を続けており、利益も安定して出ている様子です。2022年3月期の純利益は97億円を超えており、経営破綻のリスクを示す具体的なデータは見当たりません。
  2. アナログな経営手法は戦略的選択:ATMをほとんど設置しない、外回り営業をしないといった「アナログ」と評される手法は、実は無駄を省いてコストを削減し、その分を預金金利に還元するという明確な戦略に基づいています。この戦略は預金量の大幅増加という成果を上げているため、単なる「時代遅れ」ではなく、差別化戦略として機能していると言えるでしょう。
  3. 信用組合全体への偏見:銀行と比較して信用組合は規模が小さいため「危ない」というイメージを持たれがちですが、金融庁の監督下にあり、一定の健全性基準を満たしています。大阪協栄信用組合も例外ではなく、リスク管理委員会を設置するなど、健全経営に取り組んでいる様子がうかがえます。

考慮すべき懸念点

  1. 支店や人材による品質のばらつき:「支店によって当たりはずれが激しい」という指摘は、サービス品質の一貫性に課題がある可能性を示唆しています。
  2. デジタルサービスの不足:ATMの少なさやネットバンキングサービスの遅れは、デジタル化が進む現代において、特に若い世代や利便性を重視する顧客にとっては「欠点」になり得ます。
  3. 組織文化や人事制度の課題:「社内政治」や「パワハラ気質な上司」といった指摘は、組織内の課題を示唆しており、これが顧客サービスにも影響する可能性があります。

他の信用組合との比較

大阪府内には大阪協栄信用組合以外にも複数の信用組合があります。例えば大阪貯蓄信用組合の口コミを見ると、いくつかの共通点や相違点が見られます。

大阪貯蓄信用組合の口コミには「残業はほとんどない。残業代はしっかり出るためとてもよい。プライベートも充実できる」という声がある一方で、「特定の業界に偏っており、将来性が不安定。先細りも見え隠れしており厳しい」という懸念も示されています。

これらの比較から、信用組合にはそれぞれ特色があり、単純に「やばい」「やばくない」と判断することは難しいと言えるでしょう。各信用組合の特徴や強みを理解した上で、自分のニーズに合った金融機関を選ぶことが重要です。

大阪協栄信用組合の最近の取り組み

公式サイトによると、大阪協栄信用組合は時代の変化に対応するための取り組みも進めているようです。「当組合は、日進月歩のIT化の進行に遅れることなく、店頭以外でもタイムリーに情報提供できるデジタル基盤の拡充を進め、皆様方に有益な金融サービスを提供できる体制を整えて参ります」とあり、デジタル化への対応も進めていることが伺えます。

また、「クイック&レスポンスで皆様のご要望に丁寧にお応えし事業の発展に寄与して参る所存でございます」という方針を掲げており、顧客対応の迅速化・丁寧化にも注力しているようです。

まとめ:バランスの取れた判断のために

大阪協栄信用組合についてネット上で「やばい」「危ない」と言われる理由を検証してきましたが、これらの評価は一部誤解や偏見に基づいている可能性があると言えるでしょう。

経営状態は数字の上では安定しており、独自の経営戦略により預金量を大きく伸ばすなど、「やばくない」実績を上げています。また、ワークライフバランスの良さや、中小零細企業への融資に注力するという地域金融機関としての役割を果たしている点は、「おすすめ」できる要素と言えるでしょう。

一方で、デジタルサービスの不足や支店によるサービス品質のばらつきなど、改善の余地がある点も確かにあります。しかし、これらはあくまで利便性やサービス面での課題であり、金融機関としての健全性や安全性を直接脅かすものではないと考えられます。

最終的には、各自のニーズや優先順位に応じて判断することが重要です。高い預金金利を重視する方や、大手銀行では対応が難しい融資を検討している中小企業オーナーにとっては、大阪協栄信用組合は「利点」の多い選択肢となるかもしれません。一方、ATMの利便性やインターネットバンキングなどのデジタルサービスを重視する方には、他の金融機関の方が合っている可能性もあります。

どの金融機関を選ぶかは、個々のニーズと各金融機関の特徴を照らし合わせ、バランスの取れた判断をすることが大切です。インターネット上の一方的な評判に惑わされず、多角的な視点から検討することをおすすめします。

大阪協栄信用組合の基本データ

最後に、大阪協栄信用組合の基本データをまとめておきます。

  • 設立:1951年12月17日(協栄信用組合として)
  • 名称変更:1984年6月に大阪協栄信用組合に改称
  • 合併:2010年10月12日に富士信用組合と合併
  • 本店所在地:大阪府大阪市中央区日本橋2丁目9番18号
  • 特徴:ATMはほとんど設置せず(神戸営業部のみ)、外回り営業もしない戦略
  • 公式サイト:https://osaka-kyoei.co.jp/

これらの情報を参考に、大阪協栄信用組合について、より客観的で多角的な理解を深めていただければ幸いです。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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