「HYLANT&TOYOTSU Insurance Services, LLC(ハイラント豊通)」を豊田通商が米国で日系企業向け保険仲介事業を行う新会社として設立


Toyota Tsusho America Inc.(豊田通商アメリカ)とHylant Group Inc.(ハイラント)が連携
米国市場で事業を展開する日系企業が直面する「保険」の課題に対応するため、豊田通商と米国の保険仲介大手ハイラントが手を組み、新たな保険仲介会社を設立しました。2025年4月に誕生した「HYLANT&TOYOTSU Insurance Services, LLC(ハイラント豊通)」は、保険料高騰や条件厳格化といった課題に苦しむ日系企業をサポートし、日米の知見を活かした質の高い保険サービスの提供を目指します。
米国で高まる保険リスクと、日系企業の苦悩
アメリカに進出する日系企業にとって、保険は重要な経営課題の一つです。近年、損害保険料の高騰や、保険契約時の条件が厳しくなるといった動きが加速しており、従来どおりの保険更新が難しくなるケースが増えています。また、医療費の高騰により、企業が従業員に提供する医療保険の費用も上昇。人件費に次ぐ重い負担となり、企業経営に大きな影響を与えています。
これらの課題に直面する中で、米国の保険制度や市場は非常に専門的かつ複雑であるため、現地法人で対応しきれない企業も少なくありません。特に保険に関する知見が乏しい場合、コストを抑えながらも必要な保障を確保することは困難です。
ハイラント豊通の設立背景とねらい
こうした状況を受けて誕生したのが「ハイラント豊通」です。設立の母体となるのは、トヨタグループの商社として知られる豊田通商の米国現地法人「Toyota Tsusho America Inc.」と、1935年創業で約90年の歴史を持つ米国の保険仲介企業「Hylant Group Inc.」です。
ハイラントは、米国中西部・南部を中心に事業展開しており、日系企業を対象とした日本語対応のサービスに強みがあります。今回、豊田通商アメリカとの連携によって、日系企業とのパイプや業界理解を一層深め、米国内外の両側面からサポート体制を強化します。
本社はジョージア州アトランタに置かれ、まずは日系企業が多く存在する中西部・南部地域に注力し、将来的には全米規模での事業展開を視野に入れています。
日系企業向けに最適化されたサービス内容
ハイラント豊通が提供するのは、企業向け損害保険や医療保険はもちろん、駐在員およびその家族向けの個人保険までを一括でサポートするトータル保険仲介サービスです。利用者は、日本語で保険の相談・契約内容の確認ができるため、現地の保険事情に不慣れな場合でも安心して利用できます。
また、ハイラントが提携する約200社の保険会社の中から、顧客企業の業種や事業規模、特有のリスクに応じた最適なプランを選定。これにより、保険料の圧縮や条件の見直しが可能となり、企業にとっては大きなコスト削減効果も期待できます。
合弁会社ならではの強みと展望
今回の合弁会社の出資比率は、ハイラントが51%、豊田通商アメリカが49%。ハイラントの専門性と、豊田通商のネットワーク・現地理解を組み合わせることで、保険仲介における「安心」と「効率性」を両立させたサービスを提供していきます。
特に注目すべきは、日本国内にある企業本社との連携も強化される点です。豊田通商が日本側での対応窓口となることで、日米をまたいだ相談やアフターサポートもスムーズに行うことができ、顧客企業の負担を軽減します。
今後の展望:頼れるパートナーとしての地位確立へ
ハイラント豊通は、日系企業の経営者や人事・総務担当者にとって「相談しやすく、信頼できる」保険パートナーとなることを目指しています。今後は、アトランタを拠点にしつつ、現地の業界動向や規制変更にも柔軟に対応しながら、より多くの企業ニーズに応えていく方針です。
日本企業のグローバル展開が加速する中で、現地での安心・安全なビジネス運営を支える保険サービスは、ますます重要性を増していきます。ハイラント豊通の取り組みは、そうした日系企業の「保険の悩み」を解決する新たな選択肢となるでしょう。
