スマートラウンド証券が開業に向けて経営体制を強化


スマートラウンド証券が経営体制を刷新 未上場株式のセカンダリーマーケット実現へ加速
スタートアップ支援に特化したプラットフォーム「smartround」を運営する株式会社スマートラウンド(東京都千代田区、代表取締役:砂川大)が、未上場株式の流通市場を担う新会社「スマートラウンド証券」の経営体制を強化しました。これは、2025年5月に施行予定の改正金融商品取引法で新設される「非上場有価証券特例仲介等業務」に対応するための体制整備の一環であり、同業登録を見据えた準備を本格化させる狙いがあります。取締役会設置会社への移行と新たな経営陣の就任によって、ガバナンスの強化と事業推進のスピードアップが期待されています。
未上場株式のセカンダリーマーケットとは?
日本では未上場企業の株式を売買する「セカンダリーマーケット(流通市場)」が整っておらず、スタートアップの成長を支援する資金循環の仕組みが十分ではありません。上場していない企業の株式は売買の機会が限定されており、投資家の出口戦略が難しいのが現状です。
今回のスマートラウンド証券の動きは、そうした課題を打破する第一歩です。改正金融商品取引法によって、未上場株式の仲介を担う新しい業務カテゴリが創設されることで、制度的な枠組みが整い、よりスムーズなセカンダリー取引が可能になると期待されています。
スマートラウンド証券とは? 目的と背景
「スマートラウンド証券」は、現時点では「株式会社スマートラウンド戦略事業準備会社」という名称で設立されており、業登録完了後に正式に商号を変更する予定です。親会社であるスマートラウンドは、「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」というミッションのもと、投資家とスタートアップをつなぐデジタルプラットフォーム「smartround」を提供。すでに6,500社以上のスタートアップと70以上の投資家・アドバイザーが利用しています。
今回のセカンダリープラットフォーム構想は、この実績とネットワークを活かし、未上場株式の新たな流通インフラを構築することを目指しています。
経営体制を刷新し、ガバナンス強化へ
新体制のもと、スマートラウンド証券は取締役会設置会社へと移行し、以下のような経営陣を発足させました:
- 代表取締役社長:加納 拓也
一橋大学法学部卒。金融業界・スタートアップ支援の両面で豊富な実務経験を持つ。リクルートやFOLIO、MUFGグループでの事業開発を経て、スマートラウンド証券の立ち上げを主導。 - 取締役COO:辻 健佑
京都大学経済学部卒。東京証券取引所や日本証券クリアリング機構での制度設計・国際経験を活かし、業務体制構築と提携業務を担う。 - 取締役CCO(チーフコンプライアンスオフィサー):後藤 拓磨
南山大学人文学部卒。野村證券やLINE証券でのコンプライアンス経験を活かし、スマートラウンド証券の法令遵守と内部管理体制を構築。
それぞれが金融・証券・テクノロジー領域で確かな実績を持ち、新興市場に求められるスピードと信頼性の両立を図る布陣です。
改正金融商品取引法と今後の展望
スマートラウンド証券が準備を進めている「非上場有価証券特例仲介等業務」は、2025年5月1日から施行予定の改正金融商品取引法によって新設されます。これにより、証券会社が未上場株式の売買を一定条件のもとで仲介することが可能となり、スタートアップの資金流動性が向上することが見込まれています。
さらに、野村ホールディングス、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほフィナンシャルグループといった大手金融機関との資本提携・協業も進行中。大手との連携により、信頼性の高い市場形成が実現する可能性が高まっています。
「smartround」が描く未来
スマートラウンドのビジョンは、単なる証券取引所のデジタル版をつくることではありません。資本政策や株主管理、投資家との情報共有など、スタートアップが健全に成長するための全体設計を行い、資金調達から出口戦略までを一貫して支援するエコシステムの構築を目指しています。
その中核となるのが「セカンダリープラットフォーム」であり、これによってスタートアップの「株式の価値」が可視化され、信頼性ある評価と取引の土壌が整っていくことが期待されています。
終わりに
未上場企業の成長を後押しする仕組み作りは、日本経済全体にとっても重要なテーマです。スマートラウンド証券の取り組みは、スタートアップと投資家、そして金融業界全体に新たな選択肢と可能性を提供するものです。今後の動向に注目が集まります。
