JAバンクは”危ない”、”危険”といわれているのはなぜ?


”JAバンクはヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します
本当にJAバンクは危ないのか? デメリットとメリットから真相に迫る
JAバンク(ジェイエーバンク)についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。近年、JAバンクが「危ない」「危険」と言われる情報がインターネット上で散見されています。JAグループの金融事業を担う重要な機関ですが、実際のところはどうなのでしょうか。本記事では、ネット上の口コミ情報や専門家の見解をもとに、JAバンクの現状と将来性について、良い面・悪い面の両方から包括的に分析してみたいと思います。
JAバンクとは?基本情報と組織構造
JAバンクは、JA(農業協同組合)・JA信農連(信用農業協同組合連合会)・農林中央金庫で構成される金融グループの総称です。全国に民間最大級の店舗網を展開しており、かつては農業従事者の方を中心に発展してきましたが、現在はすべての人に広く利用されている金融機関として存在感を示しています。
JAは協同組合であり、同じ目的を持った個人や事業者が集まり、お互いに助け合う組織です。特に農業者を中心とした「組合員」が、農家の営農と生活を守り高めることなどを目的として組織された協同組合であり、地域社会の発展に貢献することを使命としているようです。
この三層構造の頂点に立つ農林中央金庫は、JAグループの中央機関として農業・漁業などの第一次産業を金融面から支える重要な役割を担っています。しかし、近年この農林中央金庫の経営状況が悪化していることが、JAバンク全体への不安を招いている一因となっているようです。
「危ない」「危険」と言われる主な理由
農林中央金庫の巨額運用損失問題
JAバンクが「危ない」と言われる最大の理由は、中央機関である農林中央金庫の直近の巨額損失です。2025年3月期には1.5兆円規模の赤字に沈む見込みであることが公表されており、状況によっては赤字が2兆円近くになる可能性も示唆されています。この巨額損失は、ネット上の口コミでも頻繁に言及されており、「運用損失が大変な赤字となっており、評価し難い」という声が多く見られます。
特に注目すべき点は、他のメガバンクが過去最高益に近い利益を記録している中で、農林中央金庫だけが「独り負け」の状況にあることです。ある口コミでは「最近大きな赤字を出したため、都道府県JAに偉そうなことを言えなくなった感がある」と指摘されています。
この巨額損失の背景には、米国債を中心とした運用戦略の失敗があるようです。「最近はグローバルマーケットにプレゼンスを発揮しているので世界規模での成長が見込まれる」という期待がある一方で、「アセットの管理に課題があり、リーマンショックと金利上昇の今2度に渡り危機的状況にある」という厳しい指摘も見られます。
5月には、農林中央金庫が1兆2000億円規模の資本増強を検討すると発表しました。含み損が膨らんだ外国債券を「損切り」することで2025年3月期の連結最終損益が5000億円超の赤字に転落する見通しとなりました。金利上昇により、保有する債券の評価損は24年3月期末で約2兆2000億円(23年3月期末は約1兆7300億円)に拡大したということです。
こうした状況を見ると、「農林中金はやばい」と感じる人がいるのも無理はないでしょう。実際に口コミには「農林中金の赤字は飯馬な内容です」「今年、赤字を出ていたことや、農業の将来性を考えると事業は縮小していくと思う」という悲観的な見方も存在しています。
ガバナンス上の問題
農林中央金庫のガバナンスについても懸念の声が上がっています。農水省による検証会では、「農協などが集めた貯金をどのように運用するかという方針を決める理事会に市場運用経験者が少なかった」「米国金利の上昇局面で米国債を機動的に売却できないなど組織体制に不備があった」「理事が生え抜き職員のみで、専門性の高い外部の理事の意見を聞くことができなかった」などの問題点が指摘されています。
口コミからも「危険な投資商品をすぐに買い、ジョブローテがあるゆえにそのことに対し危機感も抱きづらい環境」という声が挙がっており、組織としての意思決定プロセスやリスク管理体制に課題があるようです。また「ビジネスモデルに限界を感じていると思う。JAへの配当の捻出、人件費の高騰など、従来どおりの仕組みを維持するために精一杯」という指摘もあります。
さらに、農水省の検証会では政治的な配慮から意図的に議論が避けられている問題もあるようで、真の意味でのガバナンス改革が進むかどうかは不透明な状況にあると言われています。
ビジネスモデルの持続可能性への疑問
農林中央金庫のビジネスモデル自体の持続可能性についても疑問が投げかけられています。口コミには「運用事業一本で収支を安定させるのには限界があると感じる。融資事業や手数料事業を拡大させるべき」という指摘があります。また「運用先が海外に集中しているため、ビジネスモデルに行き詰まりを感じている」という声もあります。
第一次産業との関連性についても「農家の高齢化などにより怪しい部分がある」「少子高齢化で第一次産業が衰退しつつある中、将来性は高いとは言えない」といった懸念が示されています。「そもそも、会社としてのソリューションの幅が狭いので、シンジケートローンの3番手などになることが多いらしく、変革を牽引はできないのでは無いか」という厳しい見方もあります。
YouTubeの動画「農林中央金庫の含み損とJA農協の口コミを20個紹介」では、JAの崩壊と農林中央金庫の含み損2兆円について言及されており、「共済ノルマがきつすぎてJAをやめました」「貯金共済ローン全て引き上げました」という元従業員の声も紹介されています。
良い評判と誤解の可能性
しかし、JAバンク全体を見れば、良い評判も多く存在します。農林中央金庫の経営問題と、地域に根ざしたJAバンクのサービスは区別して考える必要があるでしょう。
JAバンクの顧客サービス評価
みん評に掲載されているJAバンクの口コミを見ると、「ネットバンキングも使いやすくて便利です」「丁寧な接客で安心して預けられる」「親しみを持って利用できる」など、サービス面での好評価が目立ちます。
ある口コミでは「ネットバンキングのアプリが使いやすくて、重宝しています。すっきりした見やすい画面で、使いたいサービスが快適に利用しやすいです」と述べられています。また別の口コミでは「スタッフの方たちはとても丁寧に接客をしてくれて、安心感がありました。大切なお金を預けても良いと思えたほどです」と窓口での対応が高く評価されています。
JAバンクアプリに関しても、「VoiceOverに対応しているため操作がとても簡単」「支払いの管理や通帳記帳の手間が省ける」「各種振込に対応しているため非常に便利」など、使い勝手の良さが評価されています。家計管理に便利な機能が充実しており、アプリを積極的に使っている利用者も多いことがうかがえます。
さらに、2024年にリリースされたJAバンクアプリ プラスは、「振込・振替などの基本的な銀行機能が使いやすくなり、とても便利になった」「セキュリティ面でも安心できる」と評価されています。特に「振込がアプリで完結できるようになったのは改善」という声もあり、以前のアプリから機能が向上しているようです。
住宅ローンの評判
JA住宅ローンの評判も総じて良好です。「JAバンクの正組合員はお得な金利で住宅ローンが組めた」「親切な担当員も多く、寄り添った相談ができる」などの好評価が見られます。
ある30代男性の口コミでは「金利が10年固定で1.5%でした。金利の安さも有りますが、元金均等払いも選択でき、支払い総額の圧縮にもなりました」と述べられています。また、40代女性の口コミでは「店舗で相談できる安心感からJAバンクを選びました。金利も他銀行と大差ありませんし、それなりに十分なレベルだと思います」と安心感が評価されています。
さらに、「担当の人は親切でこちらの希望をしっかりと聞いてくれました」「提案してくれたプランの内容も希望どおりだった」など、担当者の対応に満足している声も多いようです。
投資信託(NISA)サービスの評価
JAバンクの新NISAサービスについては、「365日24時間・印鑑不要でNISAの口座開設が可能」「地域に密着した相談窓口で親切な対応」「対象商品が全5種類と選択肢が少なく、初心者も購入時に迷いにくい」などのメリットがあります。
特に、投資初心者や高齢者にとっては、「商品数が多すぎると選べない」という悩みを解消できる点や、「NISA口座の開設は対人でのサポートが欲しい」と考える人にとって、地域に密着した相談窓口があることは大きな利点と言えるでしょう。
JAバンクの安全性と信頼性
JAバンクが「危ない」という噂があるものの、実際には金融機関としての安全性は確保されているという側面もあります。
農林中央金庫は巨額の損失を抱えていますが、「国際業務を行う銀行の自己資本比率は8%を超えていなくてはならないという規制がある。だから損切りをして財務の健全性を確保する」という声もあります。つまり、損失を出しながらも銀行としての健全性を維持するための対策を講じているということです。
また、農林中央金庫は政府から「国内のシステム上重要な銀行(D-SIBs)」に指定されており、農水省と金融庁が経営状態を気にかけているという事実もあります。これは、万が一の場合にも金融システム全体に与える影響を最小限に抑えるための監視体制が整っていることを示唆しています。
JAバンク全体としては、全国に店舗ネットワークを持ち、地域密着型の金融機関として長年にわたり信頼を築いてきました。特に地方では、地域の金融インフラとして重要な役割を果たしており、「JAバンクでなければいけないといった事情のない人にとっては、利用するメリットをあまり感じることはないかもしれません」という口コミもありますが、地域によっては欠かせない金融機関となっています。
JAバンクを利用する際の注意点
JAバンクのサービスには、いくつか注意点もあります。
アプリ・ネットバンキングの課題
JAバンクアプリには、「一部機能への接続ができない」「パスワード設定の煩雑さ」「頻繁なログアウト」などの課題が指摘されています。特に「ログアウトされ本人認証が求められる。何のためのパスワードなのか。ログアウトされたら出先で残高の確認をしたくても出来ない」という声や、「忘れた頃にログインの要求めんどくさい何度もパスワード変更」という不満も見られます。
JAバンクアプリ プラスについても、「ワンタイムパスワードがインストールされているとプラスからの振込が使えないから不便」「口座振替が全部半角カタカナの「コウザフリカエ」になっていて見にくいし、何の口座振替かわからない」など、ユーザビリティに関する課題が指摘されています。
さらに、「振込以外の手続きはブラウザに飛ばされてしまうため、アプリを使う必要性は感じられなかった」「振込みに使うのにいちいちアプリを変えたりブラウザに行き来したり面倒くさい」といった声もあり、アプリの完結性に問題があるようです。
住宅ローンの注意点
JA住宅ローンについては、「目の前の金利に惹かれて契約するとトータルでは損をしてしまうことがある」「高所得者・公務員には好条件、低所得者には低条件だった」など、契約前によく検討すべき点があります。
また、「他県などに引っ越すことがあると口座を使えないことがあると知り、とても不便だなと感じました」という地域限定性の問題や、「ATMの数が極端に少ないのは、改善して欲しい部分です」という利便性の問題も指摘されています。
投資信託(NISA)の制限
JAバンクの新NISAについては、「新NISAで選べる投資信託が5種類しかない」という商品ラインナップの少なさや、「信託報酬が比較的高く他の銀行やネット証券の銘柄の方がよい」という手数料面での不満も見られます。
具体的には、JAバンクの商品である「農林中金<パートナーズ>つみたて米国株式 S&P500」の場合、申込手数料が0.220%(税込)、運用管理費用(信託報酬等)が0.22%(税込)となっており、ネット銀行・ネット証券等に比べて高額と言えます。
JAバンクの今後について
農林中央金庫の抱える問題は深刻ですが、これがJAバンク全体の崩壊につながるとは限りません。むしろ、この危機をきっかけに改革が進む可能性もあります。
農林中央金庫は5月に1兆2000億円規模の資本増強を検討すると発表しており、財務体質の改善に取り組んでいます。また、「損切り」によって含み損を顕在化させ、ポートフォリオの入れ替えを進めることで、将来的なリスクの低減を図っているともいえます。
JAバンク全体としては、地域密着型の金融機関としての強みを活かしながら、デジタル化やサービスの多様化に対応していく必要があるでしょう。JAバンクアプリ プラスのリリースは、そうした取り組みの一環とも言えます。
まとめ:JAバンクは”やばい”のか、それとも”やばくない”のか
JAバンクについて、ネット上の口コミや報道から浮かび上がる実態を検討してきました。農林中央金庫の巨額損失やガバナンスの問題は確かに深刻であり、「やばい」と評価される側面があることは否定できません。特に米国債を中心とした運用戦略の失敗による2兆円規模の含み損は、金融機関として看過できない問題です。
しかし、JAバンク全体のサービスに目を向けると、地域密着型の金融機関として多くの利用者から信頼されている実態も見えてきます。「丁寧な接客」「使いやすいアプリ」「親身な住宅ローン相談」など、利用者が実際に体験するサービスの質は決して低くないようです。
JAバンクをやめたほうがいいのか、それとも利用を続けるべきなのかという判断は、個々の状況や目的によって異なります。例えば、地方在住で身近に金融機関が少ない場合や、対面での丁寧な説明を重視する場合には、JAバンクのサービスは「おすすめ」できる可能性が高いでしょう。一方、手数料の安さや商品の豊富さを重視する場合には、ネット銀行や証券会社の方が適しているかもしれません。
デメリットとしては、地域によって利用できるサービスに差がある点、ATM網の制限、転居時の口座継続利用の難しさなどが挙げられます。また、農林中央金庫の経営問題が長期化すれば、JAバンク全体のサービスに影響が出る可能性も否定できません。
しかし、利点も多くあります。地域に根ざした親身なサービス、対面での丁寧な説明、初心者にもわかりやすい商品設計など、特に金融知識が豊富でない層や高齢者にとっては心強い金融機関と言えるでしょう。
結論として、JAバンクが「危ない」「危険」と言われる背景には、農林中央金庫の経営問題という事実がありますが、日常的な金融サービスの利用においては「やばくない」と評価できる面も多いようです。特に地方在住者や対面サービスを重視する方にとっては、JAバンクの利用価値は依然として高いと言えるでしょう。
ただし、今後の動向については注視が必要です。農林中央金庫の経営改革の進展状況や、金融環境の変化によっては、JAバンクのサービスや安全性に影響が出る可能性もあります。利用を検討する際には、最新の情報をチェックし、自分のニーズに合ったサービスかどうかを慎重に判断することをおすすめします。
金融機関の選択は、単に「危ない」「安全」という二元論で判断するのではなく、自分の生活スタイルや金融ニーズに合わせて総合的に判断することが大切です。JAバンクについても、そのサービスの特徴と自分のニーズを照らし合わせながら、賢く利用することが重要と言えるでしょう。
日本の農業や地域社会を支える役割を担うJAバンクには、今後もその使命を果たしながら、経営の健全化とサービスの向上に取り組んでいくことが期待されています。
