NISAが暴落、”やばい”といわれているのはなぜ?

NISAが暴落、”やばい”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”暴落時のNISAはヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

新NISAは本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

2024年から始まった新NISA制度についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。特に「NISAが暴落でやばい」「やめたほうがいい」という声がSNSなどで広がっている背景には何があるのでしょうか。これらの批判的な意見には根拠があるのか、それとも単なる誤解なのか、多角的に検証していきます。

新NISAが「暴落でやばい」と噂される背景

2024年は年初から株高が進んでいたものの、8月初旬に日経平均株価が大暴落しました。日経平均株価は7月までは好調で、34年ぶりに史上最高値を更新し一時4万円を突破。ところが、8月2日・5日の2日間で約6668円もの大暴落となり、年初来の上昇分が一気に消し飛んでしまいました。

この出来事は、2024年1月から始まった新NISAで投資を始めた多くの初心者投資家にとっては初めての大きな下落体験となりました。投資家たちは「資産が減るのは怖い」と売却してしまったり、「やっぱりNISAはやめたほうがいい」と積立投資を停止してしまったりするケースもあったようです。

SNS上では「損切は早めに」という声と「パニック売りをするな」という両方の意見が錯綜し、混乱が生じていました。特に新NISAで人気の全世界株式(通称「オルカン」)などに投資していた人は、株価下落に加えて約10円の円高進行の影響も受け、大きな資産下落に直面したと言われています。

「NISAのデメリットがやばい」と言われる主な理由

ネット上でNISAのデメリットについて「やばい」と表現される主な論点には次のようなものがあるようです。

1. 暴落時の資産価値の急減

新NISAをスタートした2024年は、7月までは順調に株価が上昇していたものの、8月初旬に大暴落が起きました。例えば「オルカン」と呼ばれる人気の全世界株式インデックスファンドは、7〜8月にかけて約17%も下落したと報告されています。新NISA開始時からコツコツ積立投資をしていた投資家の中には、それまでの含み益が一気に消えてしまった方も多かったと言われています。

2. 損益通算ができないデメリット

NISAには見落としがちなデメリットとして、「損益通算」や「繰越控除」ができないという点があります。通常の特定口座では投資の利益と損失を相殺できますが、NISA口座ではそれができません。NISA口座内で発生した損失は税制上「なかったもの」とみなされるため、他の口座で出た利益と相殺できないのです。この点は、一部の投資家からは「やばい」と評価される要因になっているようです。

3. 短期的な投資には向かない

新NISAは短期で資金を引き出す予定のお金の運用には向いていないと言われています。株式や投資信託は値動きがあり、元本割れのリスクがあるため、日々の生活に必要なお金や数年以内に使う予定のお金を投資すべきではないとの指摘があります。

「NISAが暴落でやばい」という誤解を検証する

では、本当にNISAは「やばい」のでしょうか?これらの批判的な見方を詳しく検証してみましょう。

誤解1:「暴落=NISAがやばい」という短絡的な考え

暴落が起きたからといって、NISAという制度自体に問題があるわけではありません。過去の株式市場を振り返ると、S&P500の推移でも、ブラックマンデー、リーマンショック、コロナショックなど、数年に1度のペースで暴落は発生しています。しかし、それらの暴落後も市場は回復し、長期的には上昇トレンドを維持しています。

例えば主な暴落時の下落率とそこからの回復までの期間は、数ヶ月から数年程度で元の水準に戻っていることが報告されています。2024年8月の暴落についても、その後数日で大幅に株価が回復したとの報告があります。

誤解2:「暴落時には売却すべき」という考え

暴落時に「慌てて売却する」ことは、専門家から最もやってはいけない行動として挙げられています。なぜなら、売却してしまうと、その時点で損失が確定し、その後の市場回復の恩恵を受けられなくなるからです。歴史的に見ても、下がり続けた相場はないとされています。

誤解3:「積立投資をやめるべき」という考え

暴落時に積立投資をやめることも、専門家からは推奨されていません。むしろ、積立投資を続けることで「ドルコスト平均法」の効果を得られます。これは、金融商品の価格が安いときにはたくさん購入し、価格が高いときには少しだけ購入することで、自然と平均購入単価を下げる効果があります。つまり、暴落はむしろ積立投資にとっては「チャンス」になり得るのです。

誤解4:「NISAは富裕層優遇の制度」という見方

一部では「新NISAは富裕層を優遇している」という見方もあるようですが、これは必ずしも正確ではないという指摘もあります。むしろ、長期的に見れば、NISAは多くの一般の人々が税制優遇を受けながら資産形成できる制度として設計されていると考えられます。

新NISAの本当のメリットと賢い活用法

NISAには様々な誤解がある一方で、多くの利点もあります。ここでは、NISAがやばくないどころか、むしろおすすめできる理由を見ていきましょう。

1. 運用益が非課税になる大きな利点

NISAの最大の特徴は、投資で得た利益(配当金や売却益)が非課税になることです。通常、株式や投資信託などの金融商品から得た利益には約20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で保有していた場合は利益に課税されないので、まるっと利益が手元に残ります。

2. 無期限の非課税保有期間

2024年からの新NISA制度では、非課税保有期間が無期限になりました。これにより、長期投資がより行いやすくなっています。旧NISAでは一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間という制限がありましたが、新NISAではその制限がなくなりました。

3. 資産を効率良く増やせる複利効果

NISAの運用益には税金がかからないため、そのまま投資元本に回すことができます。これにより、利益が利益を生む複利効果が大きくなり、通常の投資より資産を増やしやすいというメリットがあります。

4. 年間投資枠の拡大

新NISAでは年間投資枠が大幅に拡大されました。具体的には、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円となり、合計で年間360万円まで非課税で投資できるようになりました。また、生涯非課税限度額は最大1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)に設定されています。

5. つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能に

新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになりました。これにより、投資の選択肢が広がり、より柔軟な投資戦略を立てることが可能になっています。

NISAを賢く活用するためのポイント

NISAを効果的に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。

1. 暴落時には冷静に対応する

市場の混乱期に重要なのは「冷静な対応」であることは歴史が証明しています。市場の乱高下についていこうとすれば損失は深まるだけです。専門家は、暴落時に以下の3つの行動をやめることを推奨しています。

  1. 慌てて資産を売却する
  2. 積立投資をやめる
  3. 短期的な値動きに一喜一憂する

2. 長期的な視点で投資を考える

NISAは長期的な資産形成に適した制度です。過去のデータ分析によれば、広く分散された株価指数に長期間の積立投資をすることで、市場平均を上回る良好な投資成果が得られた例があります。もちろん、過去の実績が将来の保証をするものではありませんが、長期・積立・分散投資は元本割れのリスクを低減させる方法として有効だと考えられています。

3. 目的別に資金を分ける

資金は目的別に分けて、適した金融商品・制度で運用することが重要です。NISAで運用するのが適しているのは「10年以上使わない将来のためのお金」です。一方、日々出入りするお金は普通預金に、数年以内に使う予定のお金は定期預金や個人向け国債などで運用することが推奨されています。

4. 適切な証券会社を選ぶ

NISAを利用する際には、自分に合った証券会社を選ぶことも重要です。オリコン顧客満足度ランキングによると、ネット取引におけるNISA取扱い証券会社では楽天証券、松井証券、SBI証券が上位に挙げられています。

楽天証券の口コミでは「ネットで気軽に積み立て購入できること」「株式の手数料が無いこと」「投資信託の種類が多いこと」などが評価されているようです。

まとめ:NISAは「やばくない」むしろ多くの人におすすめの制度

NISAのデメリットが「やばい」という噂や「やめたほうがいい」という意見を検証してきましたが、多くは誤解や、NISAの特性を理解していないことから生じているようです。

確かにNISAには、元本割れのリスクや投資商品・金額の制限、損益通算ができないなどのデメリットがあります。しかし、これらは投資の本質や制度の特性を理解することで対処できる問題です。

一方で、運用益が非課税になることや非課税保有期間が無期限になったこと、資産を効率良く増やせることなど、多くの利点があります。特に長期的な資産形成を目指す人や、投資初心者にとっては非常におすすめの制度と言えるでしょう。

2024年8月の暴落は、新NISAで投資を始めた多くの初心者にとって初めての大きな試練でした。しかし、歴史が示すように、市場は暴落から回復し、長期的には成長を続ける傾向にあります。そのため、暴落に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが重要です。

市場の変動は投資の一部であり、暴落さえも積立投資にとっては「安く買えるチャンス」に変えることができます。NISAはこうした長期的な資産形成を税制面でサポートする優れた制度なのです。

結論として、NISAは決して「やばい」制度ではなく、むしろ多くの人にとって資産形成の強力なツールになり得る制度です。ただし、自分の投資目的や状況に合っているかどうかを判断し、デメリットを理解した上で活用することが重要です。

NISAの口座開設を検討している方は、この記事で紹介した情報を参考に、自分に合った金融機関を選び、長期的な視点で資産形成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考情報:新NISAの基本知識

最後に、新NISAの基本的な情報をおさらいしておきましょう。

  • 新NISAは2024年1月からスタートした少額投資非課税制度の改正版です
  • つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)の2つの枠が設けられています
  • 両方の枠を合わせて年間最大360万円まで非課税投資が可能です
  • 生涯非課税限度額は最大1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です
  • 非課税保有期間は無期限になりました
  • 日本に住む18歳以上の方が利用できます
  • 売却した資金は翌年に投資元本ベースで非課税枠が復活します

NISAという制度自体に「やばい」問題はなく、株式市場の変動に伴うリスクを理解し、賢く活用することで長期的な資産形成に大いに役立つことでしょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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