ミニ株のデメリットが”やばい”といわれているのはなぜ?


”ミニ株はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します
ミニ株は本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る
ミニ株(単元未満株)のデメリットが「やばい」とネットで話題になっていることについてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。少額から株式投資を始められる手軽さが魅力のミニ株ですが、同時に「おすすめしない」という声も多く見られます。本当にミニ株は避けるべきなのでしょうか?それとも単なる誤解なのでしょうか?SBI証券、楽天証券、マネックス証券などが提供するミニ株サービスの実態と、投資家たちの生の声をもとに検証していきます。
ミニ株・単元未満株とは
まず、ミニ株とは何かを理解しておきましょう。通常、日本の株式市場では株式の最小取引単位は「1単元」(100株)と定められています。例えば1株5,000円の株式を購入しようとすると、100株で50万円必要になります。これは初心者や少額投資家にとって大きな壁となっています。
そこで登場したのがミニ株(単元未満株)です。これは1単元未満(1〜99株)の株式を購入できるサービスで、証券会社によって以下のように呼び名が異なります。
- SBI証券:「S株」
- 楽天証券:「かぶミニ」
- マネックス証券:「ワン株」
- auカブコム証券:「プチ株」
- 野村證券:「まめ株」
- 日興フロッギー
- 大和証券CONNECT:「ひな株」
- PayPay証券
- SBIネオモバイル証券:「S株」
これらのサービスを利用すれば、例えば1株5,000円の株式なら、たった5,000円から投資を始めることができるのです。
ミニ株が「やばい」と言われる7つのデメリット
ネット上で「ミニ株はやばい」「やめたほうがいい」という評判が広がっている理由を詳しく見ていきましょう。
1. 取引できる証券会社や銘柄が限られる
ミニ株は、すべての証券会社で取り扱っているわけではありません。また、証券会社によって取扱銘柄数も大きく異なります。
例えば2024年5月時点では、SBI証券が約3,500銘柄、楽天証券が約1,800銘柄のミニ株を取り扱っているようです。気になる銘柄があっても、取り扱っていない可能性があるため注意が必要です。
2. リアルタイムで取引できない
多くの証券会社では、ミニ株の取引はリアルタイムでできないという大きな欠点があります。通常の株式取引では市場の動きを見ながら瞬時に売買できますが、ミニ株では注文を出してからの約定までにタイムラグが生じます。
例えばSBI証券の「S株」では、注文時間によって約定タイミングが以下のように異なります。
注文時間 | 約定タイミング |
---|---|
0:00〜7:00 | 当日前場始値(9:00) |
7:00〜10:30 | 当日後場始値(12:30) |
10:30〜13:30 | 当日後場引け(15:00) |
13:30〜24:00 | 翌営業日前場始値 |
このため、株価が急激に変動している場合、思ったよりも不利な価格で約定してしまうリスクがあります。なお、楽天証券だけは例外的にリアルタイム取引が可能とされています。
3. 指値注文ができない
ミニ株の注文方法は、多くの場合「成行注文」のみに限定されており、値段を指定する「指値注文」ができないというデメリットがあります。
成行注文は市場の値段で自動的に約定するため、予想よりも高い価格で買ってしまったり、安い価格で売ってしまったりするリスクがあります。相場が大きく変動している時には特に危険と言えるでしょう。
4. 手数料が割高になりやすい
ミニ株取引では、通常の株取引と比較して手数料が割高になる傾向があります。多くの証券会社では、ミニ株の売買手数料として約定代金に一定の割合をかけた金額が設定されています。
例えば野村証券の「まめ株」をオンラインで取引する場合、買付・売却ともに1.1%(最低550円)の手数料が必要とされています。1株1,000円の株を購入した場合、手数料負けしないためには株価が2,100円以上になる必要があり、これは100%以上の値上がりが必要という計算になります。
5. 議決権や株主優待が受けられない
単元未満株主は、多くの場合、株主総会での議決権や株主優待を受けられないことが多いようです。これは通常の株主なら当然享受できる権利が制限されることを意味します。
株主優待目的で投資している場合は特に注意が必要です。100株以上持っていないと優待が受けられない企業が多いので、ミニ株だけでは優待が得られないケースがほとんどです。
6. 大きな利益は期待できない
ミニ株は投資金額が少ないため、当然ながら絶対的な利益額も少なくなります。例えば、株価5,000円の銘柄を購入して株価が2倍になった場合の比較をしてみましょう。
- 1株保有:5,000円の利益
- 100株保有:50万円の利益
これは投資の基本原則である「リスクとリターンは比例する」ということでもあります。少額投資はリスクが小さい反面、期待できるリターンも小さくなるのです。
7. 無計画な売買とずさんな運用管理をしてしまいがち
ミニ株は少額で手軽に始められることから、投資に対する真剣さが欠けてしまい、無計画な売買や放置などずさんな運用管理になりがちだと言われています。
「少額だから大丈夫」という気持ちが、投資に対する規律や計画性を失わせてしまうことがあるようです。少額でも投資は投資。きちんとした姿勢で臨むことが重要です。
意外と知られていないミニ株の利点
ここまでデメリットを紹介してきましたが、ミニ株には「やばくない」好意的な側面もたくさんあります。むしろ、特定の投資家にとっては非常におすすめできる投資方法とも言えるでしょう。
1. 少額から株式投資を始められる
ミニ株の最大の利点は、何といっても少額から株式投資を始められることです。通常の株式投資では手が出せない高額株も、ミニ株なら気軽に購入できます。
例えば、1株1万円の株を購入する場合、通常なら100株で100万円必要ですが、ミニ株なら1株から購入できるため1万円から始められます。これは多くの投資初心者にとって、大きな魅力と言えるでしょう。
2. リスクが限定的
投資金額が少額なため、株価が下落しても損失額は限られます。例えば次のような比較になります。
株価が30%値下がりした場合
- 5,000円(1株)→ 3,500円(▲1,500円)
- 50万円(100株)→ 35万円(▲15万円)
万が一大きく値下がりしても、ミニ株なら損失も少額で済みます。これは投資初心者にとって大きな安心感につながります。
3. 分散投資がしやすい
少額から投資できるため、限られた資金でも複数の銘柄に分散投資することが可能です。これはリスク分散の観点から非常に重要です。
例えば、50万円の投資資金があれば、通常の株式投資では1銘柄か2銘柄程度しか購入できないケースが多いですが、ミニ株なら10銘柄や20銘柄など、より多くの銘柄に分散投資できます。特定の銘柄の暴落リスクを軽減できるのは大きなメリットです。
4. 積立投資ができる
同じ銘柄を少額ずつ定期的に購入することで、積立投資と同じ効果を期待できます。これにより「ドル・コスト平均法」という投資手法が実現でき、株価の高値掴みを避けられる可能性が高まります。
楽天証券では「かぶツミ」という国内株式の積立サービスも提供しており、定期的に少額ずつ購入することで時間分散効果も得られるようです。
5. 投資のハードルが下がる
「株に投資をしてみたいけれど、いきなり数十万円を投資するのは怖い」という方も多いでしょう。ミニ株なら少額からスタートできるため、心理的なハードルが大幅に下がります。
実際に自分のお金を使って投資経験を積むことで、投資の仕組みや市場の動きを体感的に学べます。これは投資教育としても非常に価値があると言えるでしょう。
6. 配当金を受け取れる場合もある
銘柄によっては、ミニ株でも保有株数に応じた配当金を受け取れる場合があります。配当金は株式投資の魅力のひとつであり、少額でもインカムゲインを得られる可能性があるのは嬉しいポイントです。
ただし、すべての銘柄が配当金を出しているわけではなく、配当金額も銘柄によって大きく異なるため、配当狙いの投資を行う場合は事前の情報収集が重要です。
ミニ株が向いている人・向いていない人
ミニ株は万人向けではありません。どのような人に向いているのか、逆に向いていないのかを見ていきましょう。
ミニ株が向いている人
1. 投資初心者
株式投資の仕組みや感覚を実際のお金を使って少額から学びたい人にはぴったりです。少額で始められるため、失敗しても大きな痛手にならず、安心して学習できます。
2. 少額から始めたい人
まとまった資金がなくても投資を始めたい人にとって、ミニ株は最適な選択肢です。月々の余剰資金を少しずつ投資に回していくことができます。
3. リスクを抑えて投資したい人
大きな損失を避けたい人にも、ミニ株は向いています。少額投資なので、万が一の場合でも損失額は限定的です。
4. 分散投資を重視する人
限られた資金で幅広く分散投資したい人にもおすすめです。多くの銘柄に少額ずつ投資することで、特定銘柄のリスクを分散できます。
ミニ株が向いていない人
1. 短期的に大きな値上がり益を得たい人
ミニ株は投資金額が少ないため、短期で大きな利益を得るのは難しいです。例えば株価が2倍になっても、1株5,000円の投資なら利益は5,000円に過ぎません。
2. 短期売買で利ザヤを稼ごうとする人
多くのミニ株サービスではリアルタイム取引ができないため、短期売買には向いていません。また手数料も割高なため、頻繁な売買では手数料負けするリスクが高まります。
3. 株主優待目的の人
多くの場合、ミニ株では株主優待を受けられないため、優待目的の投資には不向きです。100株以上の保有が条件となっていることが多いためです。
4. 大きなリターンを求める人
少額投資のため、大きな金額のリターンは期待できません。「投資で大きく儲けたい」という人には物足りないでしょう。
5. 投資に手間をかけたくない人
ミニ株の売買には、通常の株取引と異なる制約があるため、それらを理解して取引する必要があります。手間を惜しむ人には向いていないかもしれません。
ミニ株を有効活用するコツ
ミニ株を効果的に活用するためのポイントをいくつか紹介します。
1. 長期投資の視点を持つ
短期売買ではなく、長期保有を前提とした投資戦略を立てましょう。ミニ株の手数料の高さや取引の制約は、長期保有するほど相対的に影響が小さくなります。
2. 分散投資を徹底する
ミニ株の最大の利点は分散投資がしやすいことです。複数の業種・セクターに分散することで、リスクを抑えつつリターンを狙いましょう。
3. 積立投資として活用する
定期的に同じ銘柄を少額ずつ購入していくことで、時間分散効果を得られます。株価の高値掴みを避けるためにも効果的です。
4. 手数料の安い証券会社を選ぶ
ミニ株の手数料は証券会社によって異なります。複数の証券会社を比較して、手数料の安いところを選ぶことが重要です。
5. 将来的に単元株に積み上げる
ミニ株を少しずつ購入して、最終的に単元株(100株)まで積み上げることで、議決権や株主優待も得られるようになります。これは長期的な戦略として有効です。
結論:ミニ株は「やばい」のか?
ミニ株には確かに「やめたほうがいい」と言われるようなデメリットが存在します。リアルタイム取引ができない、指値注文ができない、手数料が割高など、通常の株取引と比べると制約が多いのは事実です。
しかし、これらのデメリットは全ての人にとって致命的なわけではありません。むしろ、投資初心者や少額からコツコツ投資したい人にとっては、ミニ株の「おすすめ」できる点も多くあります。リスクが限定的である点や、分散投資がしやすい点は大きな利点と言えるでしょう。
ミニ株が「やばい」と噂されているのは、その使い方を誤っている場合や、短期売買など向いていない用途に使おうとしているケースが多いのではないでしょうか。適切な用途と使い方を理解すれば、ミニ株は非常に有用な投資ツールになり得ます。
ネットの評判や口コミには誤解に基づくものも少なくありません。実際にはミニ株は「やばくない」、むしろ投資初心者にとっては理想的なスタート地点と言えるかもしれません。
重要なのは、自分の投資目的や資金状況、リスク許容度などを踏まえて、ミニ株が自分に合っているかどうかを見極めることです。デメリットをきちんと理解した上で、うまく活用していくことができれば、ミニ株は資産形成の一助となるでしょう。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、各社が提供するミニ株サービスにはそれぞれ特徴があります。自分に合ったサービスを選び、長期的な視点で投資を継続することが、ミニ株投資で成功するための鍵と言えるでしょう。
ミニ株は決して「やばい」投資方法ではなく、正しく使えば初心者から上級者まで幅広い投資家にとって「利点」のある選択肢なのです。
まとめ
ミニ株が「やばい」と噂される理由は、取引の制約や手数料の高さなど、確かに存在するデメリットによるものです。しかし、少額から始められる、リスクが限定的、分散投資がしやすいといった「おすすめ」できる点も多くあります。
ミニ株は、投資初心者や少額から始めたい人、リスクを抑えて投資したい人に特に適しています。一方で、短期売買志向の人や大きなリターンを求める人には向いていないでしょう。
大切なのは、ミニ株のメリット・デメリットをきちんと理解した上で、自分の投資目的に合った使い方をすることです。正しく活用すれば、ミニ株は資産形成の第一歩として非常に有効なツールとなるでしょう。
ネットの口コミや評判だけに惑わされず、自分自身で情報を精査し、適切な判断をすることが重要です。ミニ株の真の価値を理解して、賢く活用していきましょう。
