ワンルーム投資は”やめとけ”といわれているのはなぜ?

ワンルーム投資は”やめとけ”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和

”ワンルーム投資はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

ワンルームへの投資は本当に”やばい”のか、デメリットとメリットから真相に迫る

ワンルーム投資についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。「ワンルーム投資はやめとけ」「絶対失敗する」といった否定的な意見が目立つ一方で、実際に成功している投資家も多数存在します。今回は、ワンルーム投資が「やばい」と言われる理由から成功事例まで、多角的な視点でその実態に迫ります。

ワンルーム投資とは?基本的な仕組みを理解する

ワンルーム投資とは、アパートやマンションの一室(主に1Rや1K)を購入し、それを第三者に賃貸することで家賃収入を得る不動産投資の手法です。不動産投資の中でも比較的少額の資金から始められるため、サラリーマンや公務員などの会社員が副業として取り組むケースが増えているようです。

物件の価格帯は、地方都市では2,000万円前後から、東京都心部では3,000万円以上するものもあります。基本的な収益の仕組みは、入居者から得る家賃収入で物件購入時のローン返済や維持管理費を賄い、差額を利益として得るというものです。

ワンルーム投資が”やめとけ”と言われる7つの理由

ネット上の情報やセミナー、不動産投資の専門家の意見を総合すると、ワンルーム投資が「やめとけ」と言われる主な理由は以下のようです。

1. 空室リスクの影響が大きい

ワンルーム投資は1室のみの所有のため、空室になると収入がゼロになってしまいます。一般的に単身者は転勤や結婚などでライフスタイルが変わりやすく、入居期間が短いとも言われています。さらに、ファミリータイプに比べて入退去の頻度も高く、その度に原状回復費用や広告費が発生するため、収益性を下げる要因になると指摘されています。

2. 収益性・利回りの低さ

「ワンルーム投資はやめたほうがいい」と言われる大きな理由として、収益性の低さが挙げられます。特に新築ワンルームの場合、購入直後から価値が大きく下落すると言われており、家賃収入だけでローン返済や諸経費を賄うのは難しいケースも多いようです。

一誠商事のレポートによると、ワンルーム投資は広い部屋に比べて家賃が安く、一棟投資よりも収益性が低いと指摘されています。また、修繕費や管理費、固定資産税などの経費を考慮すると、実質的な利回りは表面利回りよりもかなり低くなるケースが多いと言われています。

3. 物件価値・家賃の下落

新築物件の場合、購入後数年で物件価格が2〜3割程度下がることも珍しくないと言われています。建物の老朽化とともに家賃も下がる傾向にあり、特に立地条件が良くない物件では大きく家賃が下落するリスクがあるようです。

山本のブログによると、「よく都心のマンションは家賃が下がらないという声をお聞きしますが、それは本当に限られた都心部だけの話です。例え港区でも渋谷区でも賃料が下がる時は下がります」と述べられています。

4. 出口戦略の制限

ワンルーム投資のデメリットとして、出口戦略が「売却」に限定されやすいという点があります。特に30㎡未満の物件は住宅ローンが使えないため、投資目的の買い手しか見込めず、売却が難しくなる可能性があるようです。

「出口戦略まで考えないと、不動産投資は失敗する」というのは業界でよく言われることですが、ワンルーム投資ではその選択肢が狭まるというのが「やめとけ」と言われる一因になっています。

5. 節税効果の低さ

不動産投資は減価償却費などの経費によって所得税を抑えられる節税効果が期待できますが、ワンルーム投資は計上できる経費が少ないため、一棟投資ほどの節税効果は得られないと言われています。

武蔵コーポレーションの記事では「区分マンションはその構造上減価償却費をとりづらいため、節税効果は期待できません」と明記されています。

6. 管理費・修繕積立金の上昇リスク

新築ワンルームマンションの場合、管理費と修繕積立金が当初は低く設定されていることが多いですが、時間の経過とともに「2倍、3倍と上昇」することがあるようです。

また、管理組合の機能不全や、オーナーが物件に居住していないことによる管理会社とのパワーバランスの崩れなどが指摘されています。

7. 金利上昇リスク

長期の融資を組む場合、将来的な金利上昇リスクも考慮する必要があります。大吉産業投資の山本氏は「リスクとして2〜3%の上昇は頭においておくべき」と指摘しています。

例えば、金利が1%上昇するだけでも毎月の返済額は大きく変わり、複数物件を所有している場合はその影響が倍増するため注意が必要です。

ワンルーム投資の”やばい”と言われる実態は誤解?

ここまで、ワンルーム投資が「やめとけ」と言われる理由を見てきましたが、これらの懸念点は本当に当てはまるのでしょうか?実際のところ、以下のような反論も存在します。

1. 空室リスクは立地選びで大きく変わる

確かに空室リスクはワンルーム投資の大きな懸念点ですが、立地条件によって状況は大きく異なります。ウェルスノレッジの記事によると、「都心の人気エリアにある物件の場合、平均入居率は99%超えも珍しくない」とされています。

駅徒歩10分以内で、コンビニや飲食店が徒歩圏内にある物件は常に安定した需要が見込め、空室リスクをコントロールできるという見方もあります。

2. 長期的には安定した収益が期待できる

短期的には収益性が低く見えても、長期的な視点で見ると安定した収益が期待できるという意見もあります。ジョリービー氏のnoteでは、「2021年に購入したワンルームマンションについて、確定申告で税金が還付されているので、一応投資としては成功しているのではないか」という評価を受けたと報告されています。

また、「大阪の再開発、大阪都心への一極集中、離婚の増加、おひとりさまが増えることなどから、ワンルームの需要は増える」という見方もあります。

3. プロフェッショナルが語る成功事例

株式会社日本財託が開催したセミナーでは、43歳でFIREを達成した村野氏をはじめ、複数の成功投資家の事例が紹介されています。村野氏は28歳のときに都心中古ワンルーム投資を開始し、現在では都内に36戸の物件を所有、家賃年収3,700万円を達成しています。

そのほかにも、「家賃収入のおかげで会社での昇進よりも家族との時間を優先できるようになった」「5年間で物件を10戸まで増やした」など、ワンルーム投資で成功している事例が示されています。

4. リーマンショック時に購入したワンルームが大きな利益に

東京1R.comの記事によると、「リーマンショック前後に物件を購入された方は新築ワンルームであっても、昨今のワンルーム価格の上昇から高い売却益を得られている方が非常に多い」とされています。

「この時期(リーマンショック時)に都内で新築ワンルームを購入し、現在まで物件を保有し続けている大半の方が売却益の取れる状況になっております」と報告されています。

ワンルーム投資の「やばくない」メリットと利点

ワンルーム投資には、批判的な意見だけでなく、多くのメリットや利点も存在します。

1. 少ない自己資金から始められる

ワンルーム投資は、比較的少額の自己資金から始められる点が大きなメリットです。ランドネットの記事によれば、「物件価格3,000万円でも、自己資金が数十万円で始められるケース」もあるそうです。

安定した収入があれば、フルローンを組むことも不可能ではなく、若い世代でも始めやすい投資法と言えます。

2. 不況に強い投資とされる

ランドネットの記事では、「ワンルームマンションの賃料は景気に影響されにくいと言われています」と指摘されています。2008年のリーマンショック時に日経平均株価やJ-REITは大きく下落した一方で、「ワンルームマンションの賃料は安定しています」と報告されています。

単身世帯の需要は景気に左右されにくいという特性があり、これがワンルームマンション投資の強みとなっているようです。

3. 都市部での単身世帯の増加が追い風

全体の世帯のうち、単身世帯が占める割合は38.1%(2020年国勢調査)とされていますが、都市部ではさらに高く、東京都では50.3%、大阪市では53.6%、福岡市では52.0%に達していると報告されています。

晩婚化や未婚率の増加、高齢者の単身世帯の増加などにより、「ワンルームマンションの需要はますます高まっていくことが予想される」と指摘されています。

4. 分散投資がしやすい

ワンルームマンションは物件価格が低いため、複数物件に投資しやすいというメリットがあります。ランドネットによれば、「分散投資は不動産投資で失敗しないためのリスクヘッジとなる」とされています。

複数物件を所有していれば、一つの物件で空室が発生しても、他の物件からの家賃収入があるため、収入がゼロになることは避けられます。

成功するワンルーム投資のポイント

ワンルーム投資で失敗しないためには、以下のポイントが重要とされています。

1. 立地条件を最重視する

一誠商事のレポートによれば、「立地や築年数、間取り、設備などの観点からワンルームのニーズを把握し、それを満たす物件を購入」することが重要です。

特に「最寄り駅から徒歩数分、周辺環境が充実していて利便性の良い物件」には高い需要が見込めるとされています。また、「バス・トイレ別やエアコンのほか、昨今ではインターネット環境も重視される傾向」があるとのことです。

2. 長期的な運用計画を立てる

不動産投資は短期運用ではなく長期運用が基本とされています。一誠商事では「長期的に見て、どの程度収益が見込めるかシミュレーションしておきましょう」とアドバイスしています。

空室リスクや築年数の経過に伴う管理費・修繕積立費の値上げ、家賃の値下げなど、将来起きうる問題も見据えた計画が必要で、「目安としては、15年スパンで運用計画を立ててみましょう」と提案されています。

3. 信頼できる不動産会社と提携する

ウェルスノレッジの記事では、「信頼できる不動産投資会社と組めば、この課題は簡単に解決できる」と述べられています。

良い不動産会社の見極め方として、「過去の取引実績が豊富で、無料書籍や動画を配布するなど、情報提供に積極的であること」「物件の良い面だけでなく、リスクについても丁寧に説明する姿勢があること」などが挙げられています。

4. リスク管理の徹底

リスク管理もワンルーム投資成功の鍵です。特に、管理費や修繕積立金の値上げ、家賃下落、金利上昇などのリスクを想定した上で、「潤沢な資金が手元にあり、戦略的に融資期間を短くし、その結果キャッシュフローが少ないパターンを除き、数千円程度のプラス、ましてやマイナスの収支など無茶でしかありません」と大吉産業投資は警告しています。

リスクを加味して、最悪のケースでもリスク回避できるかどうかを考えた上で投資を始めることが重要です。

実際の投資家の声:成功例と失敗例

成功例

  1. IT企業経営者のEさん(43歳) – 高額な所得税の負担軽減と将来の資産形成を目的にワンルームマンション投資を始め、節税対策に成功したとのことです。
  2. 都心好立地マンション投資家 – 駅近マンションを購入し、安定的に収入を確保している事例や、都心の好立地物件で資産価値アップを実現した投資家の例があります。
  3. 2010年に購入した投資家 – 東京メトロ日比谷線「入谷」駅徒歩6分の物件を2,300万円で購入し、14年間運用後、同額で売却。その間に580万円の利益を得たという事例が報告されています。

失敗例

  1. 高い価格での購入 – 相場をしっかりと調査せず、適正ではない価格で購入してしまったケースです。「売却をしようと査定をすると、購入時よりも大きく値下がりをしている」というケースが報告されています。
  2. 収支がマイナス – 購入時のキャッシュフローがプラスでも、数年経つとマイナスに転じてしまうケースがあります。「購入時の収支シミュレーションが甘く、費用の負担のほうが大きくなる」と、損失が膨らんでいく可能性があります。
  3. 想定外の負担 – 入退室の頻度が予想より高く、リフォーム費用がかさんだり、空室期間が長期化することで収支が悪化するケースがあります。

結論:ワンルーム投資は”おすすめ”できるのか?

ワンルーム投資が「やめとけ」と言われる理由には、空室リスクや収益性の低さ、物件価値の下落など、一定の根拠があります。しかし、これらのリスクは立地選びや長期運用計画、適切な不動産会社の選定などによって大きく軽減できる可能性があります。

不動産投資110番の記事では、「基本的な仕組みさえ理解することができれば、リスクヘッジを取れた物件や業者を選定することができます。実際は『=詐欺』ではありません」と述べられています。

ワンルーム投資の「利点」としては、少額から始められること、単身世帯の増加による安定した需要、景気変動の影響を受けにくいこと、分散投資がしやすいことなどが挙げられます。

合計資産9億円のサラリーマン投資家4名が登壇したセミナーでは、「ワンルーム投資のリスク」を正確に把握し、「ワンルーム投資のポイント」を抑えることの重要性が強調されています。

最終的に、ワンルーム投資が「やばくない」と言えるかどうかは、投資家自身の知識と準備、そして物件選びにかかっていると言えるでしょう。ランドネットの中古投資用ワンルームマンションは「安定した収益が期待できると評判」とされており、適切な条件の物件を選べば、十分に「おすすめ」できる投資法と言えそうです。

重要なのは、表面的な情報や噂に惑わされず、自分自身で基本的な仕組みを理解し、リスクとリターンをバランスよく検討した上で判断することです。そして、信頼できる不動産会社と連携しながら、長期的な視点で運用していくことが、ワンルーム投資成功の鍵となるでしょう。

最後に

ワンルーム投資は、適切な知識と準備があれば、資産形成の有効な手段となる可能性があります。特に、東京や大阪、福岡などの都市部では単身世帯が増加傾向にあり、今後もワンルームマンションの需要は高まることが予想されます。

適切な立地条件の物件を選び、長期的な視点で運用することで、安定した収益が期待できるでしょう。もちろんリスクは存在しますが、それらを理解し対策を講じることで、ワンルーム投資は多くの投資家にとって「おすすめ」できる選択肢の一つとなり得ます。

何よりも重要なのは、自分自身でしっかりと学び、複数の不動産会社から情報を集め、冷静に判断することです。ネット上の「やめとけ」という声だけに惑わされず、自分の状況に合った投資判断をしていただければと思います。

タグ:
執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
関野 良和の執筆記事一覧・プロフィールへ