保険屋が”やばい”といわれているのはなぜ?

保険屋が”やばい”といわれているのはなぜ?
ライター:関野 良和


保険屋はヤバイのでやめたほうがいい”と口コミや評判で言われている原因について掘り下げて解説します

本当に保険屋は”やばい”のか、デメリットとメリットの両面から真相に迫る

保険営業が”やばい”や”やめたほうがいい”と言われる理由についてネットの口コミや評判から真相を掘り下げてみました。否定的な評判だけでなく、良い評判も含めて多角的に検証し、保険営業の実態に迫ります。ネット上では「保険営業 やばい」「保険営業 やめとけ」という検索ワードが上位に表示されることが多いようですが、果たしてその評判は本当なのでしょうか。

保険営業が「やめとけ」と言われる主な理由

1. 厳しいノルマと成果主義の報酬体系

保険営業が”やばい”と言われる最大の理由の一つは、厳しいノルマと成果主義の報酬体系にあるようです。保険営業は他業種に比べて高いインセンティブによって個人の報酬が決まるため、契約を取れる営業社員は報酬が高く、契約を取れない人はいつまでたっても低収入という状況になりやすいと言われています。

保険会社の多くは、営業社員に対して営業成績や勤務状況、営業活動などにノルマを設けているようです。契約数や契約金額、契約者訪問、欠勤日数や遅刻回数、保全手続き、資格の取得などがノルマの対象となっているとのことです。

会社によって違いはありますが、だいたい3カ月~半年ごとにノルマが達成できているかの査定が入るようです。ノルマに達していないと給与が下がったり、昇進が先延ばしになったりするケースがあり、中にはノルマ未達が続いて雇用契約が打ち切りになることもあるようです。

「毎朝朝礼で成果発表。グラフもあるので成果を挙げてない人は公開処刑みたいなものです。どんなベテランさんでも辞めていっています」という声も見られます。

2. 収入の不安定さ

保険営業がきつい理由として、収入の不安定さも挙げられています。毎月たくさんの契約を取れるわけではないため、収入が安定しないことが多いようです。固定給もありますが、インセンティブの割合が高いため、契約が取れない月は月収10万円を切ることもあるとされています。

「固定給プラス歩合制なので、やる気があり営業成績がよければ給料面は満足できると思う」という声がある一方で、「営業成績が取れないと給料面も下がる可能性があり」との指摘もあります。

保険営業の収入は営業成績によって左右されるため、「給与が安定せずに1番ストレスを感じました」という声もあり、安定した収入を求める人にとっては大きな負担になる可能性があるようです。

3. 長時間労働と休日出勤の多さ

保険営業では時間外勤務や休日出勤が多いことも”やばい”と言われる要因の一つです。保険営業は基本的に個人の顧客を相手にする仕事のため、顧客の都合に合わせて早朝や夕方以降の時間外、あるいは休日に呼び出されて仕事をしなければならない事態が頻発するようです。

「土日も夜も出勤しないとお客さんに会えない」「振替休日あるとはいえ、土日も夜も出勤しないとお客さんに会えない」という声があります。

また、「営業なのでお客様のアポを優先にしたいのに、勉強会や決起集会のようなものが定期的にある。オンラインで充分なのに、現地集合して研修や表彰する」といった不満の声も見られます。

勤務時間外は仕事のことを考えたくない人にとって、保険営業はプライベートとの境界が曖昧になりやすい職業と言えるかもしれません。

4. 営業経費の自己負担

保険営業の厳しさとして、営業経費が自己負担となることが多い点も挙げられています。交通費、顧客や営業対象の交際接待費、顧客との面談時の飲食費などが自分で負担することが多い営業経費とされています。

口コミには「出てくお金がおおいガソリン代もお客さまに渡すものも実費」「会社からの支援は多少あるが、個人の支出が多く大変。タオルやカレンダー、その他季節のご挨拶など実費がほとんどでした」といった声が見られます。

保険営業マンは移動費やお茶代、接待費、名刺代、プレゼント代など仕事で発生する費用を自分で支払うことが多いようです。筆者の経験からも、いくら費用をかけても必ず顧客から契約を獲得できるわけではないため、保険の契約を獲得できなければ、経費が収入を圧迫し、生活に影響を与える可能性があるため「辞めたい」「転職したい」と考える人もいるようです。

5. 精神的・体力的負担の大きさ

保険営業は新規顧客に対する営業をすることが多く、テレアポや飛び込みといった営業手法を行う保険営業も少なくないため、たくさんの顧客に断られて精神的にきついと感じることもあるようです。

保険営業は「顧客に断られてなんぼの世界」となっていますので、人に断られる経験をしたことがない人や、他人から厳しい言葉をかけられたくないといった人だと保険営業の仕事は長続きしないと言われています。

また、生命保険や医療保険は、細かな違いこそありますが、大枠として商品によって大きな違いがあるものではないため、商談の成約率を高めることが非常に難しく、多くの保険営業はとにかく行動量を求められる傾向にあるようです。

「1日100件以上のテレアポをすることはもちろん、アポが取れていない時は集合住宅を片っ端から飛び込むように言われたりと、とにかく行動することを求められるため、体力的にきついと感じることもある」という声もあります。

6. 自分の知り合いを失うリスク

保険営業として就職した直後は、なかなか契約が取れずに業績が伸び悩むことがあります。特に最初のうちは1回目の契約実績を作るために自分の家族や知り合いに保険を勧めることが少なくないようです。

しかし、いくら知り合いであるからといって保険を簡単に契約してくれるわけでもなく、最悪の場合、自分の知り合いを失うことも考えられます。自分の周囲の人に迷惑をかけたことのある保険営業の人が、就職は「やめとけ」と言っていることもあるようです。

7. 事務作業の多さと残業

保険営業はアポ獲得や商談が主な業務となりますが、保険の契約にあたっては様々な事務書類を用意しなければなりません。1日の勤務時間で商談と事務作業を並行して行う必要があり、結果的に残業が増えやすいといった辛い点もあります。

加えて、保険営業では固定残業制を取っている会社が少なくなく、どれだけ残業しても給料が増えずに悩んでしまうこともあるようです。

8. 法的なトラブルのリスク

保険という商品は会社と顧客がトラブルになりやすい商品とも言われています。例えば、保険を契約する際には申込者が「告知事項」と呼ばれる今までの病歴を申告する必要がありますが、この告知が不十分だったり誤りがあったりすると、後にトラブルになる可能性があります。

また、保険営業は顧客と対面で提案が必要だったり各種法律に従う必要があったりと、さまざまな制約のなかでの仕事をしています。保険業法や金融商品取引法などの法律がかかわる点も営業活動では負担になるでしょう。

各種法律に対応するため、豊富な知識が必要になるので、勉強時間も確保しなければなりません。営業活動が厳しかったり勉強時間の確保でプライベートの時間が少なくなったりすると「辞めたい」と思い、転職を考える人もいるようです。

保険営業の実態と誤解

保険営業に対する誤解

保険営業に対しては様々な誤解もあるようです。例えば「保険は詐欺だ」という誤った認識があります。「保険はインチキです。加入するのは簡単だけど保険金を請求するのは難しい」という誤ったコメントに対して、「保険に掛けたお金は失われません。人生が順調であれば全額と利息が戻ってきます。予期せぬ出来事があった場合は、支払った金額の何倍もの保険金が支払われます。重要なのは長期間続けることと、早期にお金を引き出さないことです」という反論もあります。

また、保険代理店に対する「美しい誤解」もあります。「複数の保険会社の商品を扱っている乗り合い代理店なら、お客さんにとって1番良い商品を勧めてくれる」という考えは間違いであるという指摘もあります。代理店の中には、保険料の安さや保障内容より、販売手数料を優先するケースもあるようです。

保険営業の実態

保険営業の実態について、現場の声からは厳しい現実が浮かび上がってきます。大手生保4社(日本生命・第一生命・明治安田生命・住友生命)、中堅生保2社(太陽生命・大樹生命)、外資系生保1社(メットライフ生命)の合計7社の営業職員の声によると、「名義借り」と呼ばれる不正が横行していたり、「採用、採用」と追い立てる組織文化があるといった問題が指摘されています。

一方で、保険業界では近年、金融庁による監視が強化されています。金融庁は生命保険各社と乗り合い代理店との取引に関する実態調査に乗り出しており、代理店に対する広告料の提供や出向者の派遣などによる過度な便宜供与の実態について調査を行っています。

保険営業の良い評判と成功事例

成功している保険営業マンの事例

保険営業でも成功している事例はあります。例えば、売り込みゼロに変えたら1年で成績2倍になったという高橋さんの例があります。高橋さんは、「売り込みをしない」「人間関係を作れば売上がついてくる」という方法に切り替え、「あなたレター」という手法を活用して顧客とのコミュニケーションを図りました。その結果、お客さんの方から相談が増え、まわりまわって保険契約につながったとのことです。

また、ターゲットを「70歳以上の女性の医療保険の見直し」に絞り、商品知識を徹底的に学び、保険に関連する知識を身につけ、営業成績のいい人のトークをすべて書きおこし、ロープレでアウトプットの練習をするという方法で成功した例もあります。

保険営業のメリット

保険営業には厳しい面がある一方で、メリットもあります。例えば、成果次第で高収入を得られる可能性があるという点です。「固定給プラス歩合制なので、やる気があり営業成績がよければ給料面は満足できる」という声もあります。

また、保険営業は人の役に立つ仕事でもあります。適切な保険提案によってお客様の生活を守ることができるという社会的意義があります。「保険の大切さを再認識できた」という声もあり、やりがいを感じる人も多いようです。

さらに、保険営業は自分のペースで働ける面もあります。顧客との約束さえ守れば、ある程度自由に時間を使うことができるというメリットもあるようです。

保険営業が向いている人・向いていない人

向いている人の特徴

保険営業に向いている人の特徴としては、以下のような点が挙げられています。

  1. コミュニケーション能力が高い人
  2. 粘り強く諦めない精神力を持つ人
  3. 自己管理能力が高い人
  4. 勉強熱心で知識を吸収する意欲がある人
  5. 人の役に立ちたいという思いが強い人

特に商品知識を徹底的に学び、「商品知識+押しの強さ」を身につけることが成功の秘訣とされています。保険営業で成功している人は、ただ売り込むのではなく、顧客のニーズを理解し、適切な提案ができる人だと言われています。

向いていない人の特徴

一方、保険営業に向いていない人の特徴としては、以下のような点が挙げられています。

  1. 断られることに弱い人
  2. 安定した収入を重視する人
  3. プライベートと仕事を明確に分けたい人
  4. 自己投資や自己負担に抵抗がある人
  5. 人間関係の構築が苦手な人

「保険営業は顧客に断られてなんぼの世界となっていますので、人に断られる経験をしたことがない人や、他人から厳しい言葉をかけられたくないといった人だと保険営業の仕事は長続きしない」と言われています。

保険相談サービスの評判(参考情報)

保険営業とは直接関係ありませんが、保険相談サービス(保険の窓口や保険見直しラボなど)についての口コミや評判も参考になります。

保険見直しラボの利用者からは「無理な保険の紹介もなく、保険の知識がゼロに近くの私に丁寧に分かりやすく教えていただきました」という声がある一方で、「やや強引に勧誘された」「圧の強さを感じた」「勧誘じみた感じで言われた」という否定的な意見もあります。

ほけんの窓口の利用者からは「家の近くにあり、利用しやすかった」「プロのかたに相談でき自分たちの納得のいく保険を提供していただきました」「有名な店で安心できると思いました」という良い評判がある一方で、「仕事が忙しくてあまり時間がなくて相談する機会が無かった」「自宅近くには無かった」「他のサービスの方が口コミが良かった」という不満の声もあります。

保険見直し本舗の利用者からは「多くの保険を比較できた」「店舗数が多く最寄りのお店を見つけやすかった」「担当者の対応がよかった」という良い評判がある一方で、「紹介された保険が多くて悩んだ」「要望とは異なる保険を紹介された」という声もあります。

これらの保険相談サービスは、消費者が自分に合った保険を選ぶためのサポートを提供していますが、利用者の評判は担当者との相性や期待値によって大きく変わるようです。

保険営業の”デメリット”を乗り越えるための工夫

保険営業の”デメリット”や”欠点”を乗り越えるために、様々な工夫をしている人もいます。

例えば、効率よく仕事で成果を出すために、適切な目標管理や余計な移動時間を減らすルート計画や上司、同僚からの支援などの対処が必要です。また、教育体制が整っていたり仲間と情報共有ができる保険会社であれば、働きやすく成果にもつながります。

また、営業経費の負担については、正社員雇用であれば会社から経費として落としてもらえる場合があります。転職を考えている人は、事前に経費の扱いに関して確認してから応募することが重要です。

さらに、法律関係や制度に関して、保険会社によっては教育用動画やグループでの勉強会を実施しています。転職活動の段階でこうした支援体制があるかどうかを確認することも大切です。

まとめ:保険営業の真相

保険営業が”やばい”や”やめたほうがいい”と言われる理由には、厳しいノルマ、収入の不安定さ、長時間労働、営業経費の自己負担、精神的・体力的負担など様々なものがあります。これらの評判は単なる噂ではなく、実際に保険営業として働く人々の経験から生まれたものが多いようです。

しかし、すべての保険営業が悪いわけではなく、成功している例もあります。商品知識を徹底的に学び、顧客との信頼関係を構築し、効率的な営業活動を行うことで、高い成果を上げている人もいます。

保険営業が向いているかどうかは、個人の特性や価値観によって大きく異なります。コミュニケーション能力が高く、粘り強く、自己管理能力があり、勉強熱心な人は保険営業で成功する可能性が高いでしょう。一方、断られることに弱い、安定した収入を重視する、プライベートと仕事を明確に分けたいという人には向いていないかもしれません。

最終的に、保険営業を選ぶかどうかは個人の判断によりますが、その判断をする際には、この仕事の良い面と悪い面の両方をしっかりと理解しておくことが重要です。そして、もし保険営業を選ぶなら、成功するための戦略を練り、必要なスキルを磨くことが大切です。

保険という商品は、人々の生活を守るために重要な役割を果たしています。そのため、保険営業という仕事にも社会的な意義があります。ただし、その仕事の厳しさも理解した上で、自分に合っているかどうかを見極めることが必要です。

保険営業に関する情報は様々ありますが、実際に働いてみなければわからない部分も多いでしょう。少しでも興味があるなら、実際に働いている人の話を聞いたり、研修などに参加したりして、自分の目で確かめてみることをお勧めします。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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