株式会社オリエントコーポレーション(8585)の業績が低迷、株価も大幅に下落している理由と将来の展望について~日本株個別銘柄についてのザックリ解説

株式会社オリエントコーポレーション(8585)の業績が低迷、株価も大幅に下落している理由と将来の展望について~日本株個別銘柄についてのザックリ解説
ライター:関野 良和

株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)の業績や株価を考察、株の買い時を考える

オリエントコーポレーション(オリコ)は近年、業績の下方修正を繰り返し、株価も低迷している状況にあります。本レポートでは、信販大手であるオリコの業績悪化の根本原因を分析し、今後の見通しについて考察します。

業績低迷の実態と継続的な下方修正

オリコは2025年3月期の連結純利益予想を当初の200億円から120億円(前期比5%減)へと大幅に下方修正しました。これは業績見通しの40%もの下方修正に相当します。営業利益も同様に当初の200億円から120億円(前期比25.6%減)へと引き下げられています。

この業績下方修正は単発ではなく、継続的なパターンとなっています。2024年1月には、2024年3月期の経常利益を250億円から150億円へと40%下方修正(前期比35%減)しており、その後も改善の兆しが見られません。2025年1月期第3四半期(10-12月期)においても、経常利益は前年同期比69.0%減の12.8億円に大きく落ち込み、売上営業利益率も前年同期の7.3%から2.2%へと急激に悪化しています。

業績低迷の主要因分析

海外事業の不振

オリコの業績低迷の最大の要因は海外事業の不振です。特にタイとインドネシアで展開する自動車ローン事業が大きな痛手となっています。両国での自動車ローンの取扱高が減少に転じ、さらに引き揚げ車両の売却損や商用車の延滞債権が増加したことで、海外事業の貸倒関係費が当初計画を47億円も上回る事態となりました。

これは2021年の時点での経営方針と大きく異なる結果です。当時、オリコはインドネシアを3か国目としてオートローン事業を開始し、海外展開を成長戦略の柱の一つとして位置づけていました。しかし、この戦略は現時点で期待通りの成果を上げていないことが明らかです。

収益構造の悪化

業績低迷のもう一つの要因は収益構造の悪化です。2024年4〜9月期の営業収益は前年同期比10%増の1234億6400万円と増収となったものの、利益率は継続的に悪化しています。特に10-12月期の売上営業利益率は前年同期の7.3%から2.2%へと急落しています。

収益は増加しているにもかかわらず利益が減少している背景には、貸倒関係費用の増加があります。これはリスク管理が十分に機能していない可能性を示唆しています。

オリコの戦略的取り組みと将来への布石

中期経営計画の方向性

オリコは中期経営計画において、「市場成長性×競争優位性」と「リスクリターン×コストリターン」の二軸で各事業を分析し、今後の方向性を明確化しています。特に注目すべきは、サステナビリティを経営の軸として、長期目線で社会価値と企業価値の両立を目指す姿勢です。

成長分野への注力

業績低迷の中でも、決済・保証事業は前年比13%増と堅調な成長を続けています。特に家賃決済保証事業は今後も成長が期待される分野です。また、デジタルイノベーションへの取り組みも強化しており、将来的な競争力向上を目指しています。

2024年4〜9月期の業績では、「重点領域である決済・保証事業等の伸長に加え、連結子会社化した3社の収益貢献により、前年同期差増加となった」と報告されており、一部事業での成長は見られます。

プロセスイノベーションの推進

オリコは強固な収益体質を構築するために、プロセスイノベーションの取り組みを推進しています。2021年の時点で「利益貢献額100億円」を1年前倒しで実現するなど、コスト構造の改善にも注力しています。

今後の展望と課題

海外事業の再構築

オリコにとって最大の課題は海外事業の再構築です。特にタイとインドネシアでの自動車ローン事業については、リスク管理体制の見直しや事業モデルの再検討が必要でしょう。延滞債権の増加や引き揚げ車両の売却損といった問題に対処するためには、与信審査基準の厳格化や現地経済状況に即したビジネスモデルの構築が求められます。

国内事業の強化

一方、堅調な成長を続ける決済・保証事業については、さらなる強化が望まれます。個人消費の動向に左右されにくい事業構造への転換も検討すべきでしょう。2022年の中期経営計画では、各事業の「市場成長性×競争優位性」という分析軸に基づいた戦略展開が示されており、この方針に沿った事業ポートフォリオの最適化が期待されます。

デジタル化への対応

オリコは「コロナ禍でわかったことは、衣食住など生活に密着するエッセンシャルなものが強く、また変わったことは、『消費行動がオフラインからオンラインへ』、『リアルからバーチャルへ』と言葉を変えてもよいと思いますが、このようなかたちに移っていった」と認識しています。この変化をビジネスチャンスとして捉え、デジタル化、キャッシュレス化、EC市場の拡大に対応した新たなビジネスモデルの創出が求められています。

まとめ

オリエントコーポレーションの業績低迷は、海外事業の不振と収益構造の悪化が主要因です。特にタイとインドネシアでの自動車ローン事業における問題は深刻で、短期間での業績回復は容易ではないでしょう。

しかし、決済・保証事業の堅調な成長やプロセスイノベーションの推進など、将来に向けた前向きな取り組みも見られます。今後は海外事業の再構築と国内の成長分野への注力、そしてデジタル化への対応が、オリコの業績回復と株価上昇の鍵となるでしょう。

投資家は短期的な業績の変動に注目するだけでなく、中長期的な視点でオリコの戦略的取り組みを評価することが重要です。特に決済・保証事業の成長率や海外事業の構造改革の進捗状況は、今後の業績回復を占う重要な指標となるでしょう。

株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)の株に投資するための条件を指標などから考えてみた

株式会社オリエントコーポレーション(証券コード:8585)の株式投資を検討する際に重要となる条件について、最新の財務状況や今後の展望を踏まえて分析します。

主力事業の成長性

決済・保証事業は前年比13%増と堅調な成長を続けており、この成長トレンドが持続するかが投資判断の鍵となります。特に2025年3月期は、重点領域である決済・保証事業の伸長に加え、連結子会社化した3社の収益貢献による増収増益を見込んでいます。

海外事業の立て直し

タイやインドネシアなど海外事業での貸倒関係費の増加が業績悪化の一因となっていましたが、2025年3月期はこの貸倒関係費の削減を見込んでいます。この改善が実現するかどうかが重要なポイントです。

株価のバリュエーション

現在の株価水準

現在の株価は825円で、PERは12.56倍です。過去1年の株価変動は最高値1131円、最安値791円であり、現在はその中間に位置しています。投資判断としては、このバリュエーションが割安か割高かを判断する必要があります。

配当性向と利回り

2025年3月期の予想配当は1株当たり40円で据え置きの見通しです。現在の株価を基準とすると、配当利回りは約4.8%となり、比較的高い水準です。オリコは安定的かつ継続的な配当を基本とする還元方針に基づいており、この配当方針の継続性も投資判断の一つとなります。

中長期的な成長戦略

デジタルイノベーションの推進

オリコは「コロナ禍でわかったことは、衣食住など生活に密着するエッセンシャルなものが強く、また変わったことは、『消費行動がオフラインからオンラインへ』、『リアルからバーチャルへ』」と認識しており、この変化に対応したデジタル化の取り組みが進展しているかを見極めることが重要です。

サステナビリティ経営の進捗

オリコは「長期目線で社会価値と企業価値の両立をめざす『サステナビリティ』を経営の軸として」事業を展開しています。サステナビリティ・リンク・ローンの実行など、ESG関連の取り組みが企業価値向上につながるかも投資判断の一つとなります。

新規事業の成長性

オリコ投信積立サービスなどの新規事業が収益に貢献するかどうかも注目ポイントです。特にNISAのつみたて投資枠に対応したサービス展開は、資産形成を重視する顧客層へのアプローチとして重要です。

投資リスク

金利上昇の影響

市場金利上昇による金融費用の増加は業績に大きな影響を与えます。2022年度は「金利上昇に伴う流動化収益の減少で個品割賦事業が大きく減収となり」、今後も金利動向には注意が必要です。

貸倒関係費の動向

特に海外事業における貸倒リスクの管理が重要です。2024年3月期は貸倒関係費の増加が業績悪化の要因となりました。この改善が実現するかは継続的に監視すべきポイントです。

競争環境の激化

フィンテック企業等との競争激化による収益性低下のリスクもあります。オリコがこれにどう対応し、競争優位性を保てるかが長期的な投資判断のポイントとなります。

結論

オリエントコーポレーションの株式投資を検討する際は、業績回復の見通し、株価のバリュエーション、中長期的な成長戦略、投資リスクを総合的に判断する必要があります。特に決済・保証事業の成長継続と海外事業の立て直しが、今後の株価動向を左右する重要な要因となるでしょう。

現在の配当利回り約4.8%という水準は魅力的ですが、業績の安定性と持続的な成長性を確認した上で投資判断をすることが重要です。

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最終更新日:2025年3月12日

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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