『BANK APP』に「公共料金や税金などの支払い機能」と「投資信託口座開設機能」が追加

『BANK APP』に「公共料金や税金などの支払い機能」と「投資信託口座開設機能」が追加
ライター:関野 良和

マネーフォワードエックスが『BANK APP』の機能拡充により本人確認を強化し、より安全で便利なバンキングを提供

株式会社マネーフォワードの子会社であるマネーフォワードエックス株式会社は、2025年3月12日、同社が提供するバンキングアプリ『BANK APP』に新機能を追加すると発表した。

今回のアップデートでは、「公共料金や税金などの支払い機能」と「投資信託口座開設機能」が新たに搭載される。さらに、口座開設時の本人確認プロセスを強化するため、サイバートラスト株式会社の『iTrust 本人確認サービス』を導入。これにより、マイナンバーカードを利用したより厳格かつ迅速な本人確認が可能となり、金融機関とユーザー双方の安全性と利便性が向上する。

本機能はまず栃木銀行で提供が開始され、今後、他の金融機関にも順次展開される予定だ。

『BANK APP』の新機能とは?

公共料金や税金の支払いが可能に

これまで『BANK APP』は、振込やことら送金(国内送金ネットワーク)に対応していたが、今回のアップデートにより、払込票を利用した公共料金や税金の支払いが可能となる。これにより、銀行窓口やコンビニに行かなくても、アプリ上で簡単に各種料金の支払いが完了する。

投資信託口座の開設が可能に

さらに、新たに「投資信託口座開設機能」も追加される。これにより、『BANK APP』の利用者は、普通預金の開設だけでなく、投資信託の口座もスムーズに開設できるようになる。今後、資産運用に関心のあるユーザーにとって、より利便性の高いバンキング体験が提供されることが期待される。

本人確認を強化する『iTrust 本人確認サービス』とは?

背景:ネットバンキングの不正被害が拡大

近年、日本ではフィッシング詐欺をはじめとするサイバー犯罪が急増している。特にインターネットバンキングにおける不正送金被害は深刻で、2023年には発生件数が前年比の約5倍にあたる5,578件、被害総額は約87億円にのぼった。

従来、オンラインでの本人確認は「ホ方式(本人確認書類の画像と顔写真の照合)」が主流だったが、偽造技術の進化によりセキュリティ上のリスクが指摘されていた。そこで政府は、2023年6月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、本人確認方法を「ワ方式(ICチップ情報の読み取り)」に一本化する方針を示した。この改正は2027年4月1日から施行される予定であり、金融機関にも対応が求められている。

『iTrust 本人確認サービス』の仕組み

『BANK APP』では、従来の生体認証(パスキー認証)やホ方式に加えて、今回新たに『iTrust 本人確認サービス』を搭載し、ワ方式による本人確認に対応する。

『iTrust 本人確認サービス』を利用すると、ユーザーはスマートフォンでマイナンバーカードのICチップを読み取るだけで、氏名・住所・生年月日・性別などの情報が即時に取得され、オンライン上で有効性の確認と照合が完了する。これにより、以下のようなメリットが期待される。

  • 金融機関のメリット
    • ホ方式と比較して、より厳格かつ迅速な本人確認が可能
    • 本人確認書類の目視確認が不要になり、業務の効率化が図れる
  • ユーザーのメリット
    • 従来の手続きよりも入力負担が軽減される
    • 口座開設にかかる時間が短縮され、利便性が向上

『BANK APP』とは?

『BANK APP』は、マネーフォワードエックスが開発・提供するバンキングアプリで、口座開設や振込、支払いなどのフルバンキング機能を備えている。インターネットバンキングを契約していない人でも利用できるのが特徴だ。また、金融機関向けのクラウドサービス『BANK 顧客サポート』と連携することで、事務効率化やマーケティングにも活用できる。

特に近年、デジタルバンキングの普及が進む中、銀行窓口に依存せず、スマートフォン一つで金融サービスを利用できる環境が求められている。『BANK APP』はそのニーズに応える形で、順次機能を拡充しており、今後もさらなる利便性の向上が期待される。

まとめ

今回のアップデートにより、『BANK APP』は単なる銀行アプリから、公共料金や税金の支払い、投資信託の口座開設まで対応する、より包括的な金融プラットフォームへと進化した。また、新たに導入される『iTrust 本人確認サービス』により、安全性の向上と業務効率化が実現され、ユーザーも手続きがスムーズに行えるようになる。

今後、他の金融機関にも順次導入されることで、日本のデジタルバンキングがさらに進化し、安全で利便性の高い金融サービスが提供されることが期待される。マネーフォワードエックスは、引き続き金融機関のデジタル化を推進し、より良い金融体験の提供を目指していく。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としており、グローバルマクロの視点から幅広いアセットクラスをカバーしているが、特に日本株投資に注力をしており、独自の切り口でレポートを行う。 趣味のグルメ旅行と情報収集を兼ねた企業訪問により全国を移動しながらグルメ情報にも精通している。
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