口コミで”大樹生命保険がやばい”と言われる理由
大樹生命保険がやばいと言われる理由はなぜ?
生命保険業界は、少子高齢化や低金利環境の長期化、デジタル化の進展など、大きな変革期を迎えています。そんな中、大樹生命保険株式会社(以下、大樹生命)は、2016年に日本生命保険相互会社の子会社となり、経営基盤の強化を図ってきました。
しかし、業界内外からは「やばい」という評価も聞かれます。本記事では、大樹生命の現状と課題、そして「やばい」と言われる理由について、ネットの口コミや評判などを参考に業界動向を踏まえて解説します。
大樹生命は、1927年に創業した三井生命保険株式会社を前身とする老舗生命保険会社です。2016年に日本生命の子会社となり、社名を大樹生命に変更しました。長年の実績と日本生命グループの一員としての安定性を持つ一方で、業界環境の変化や経営課題への対応に苦慮している面も見られます。
この記事では、以下の点について詳しく解説します。
- 大樹生命の経営状況と業界での位置づけ:最新の財務データと業界比較から、大樹生命の現状を客観的に分析します。
- 「やばい」と言われる主な理由:経営指標の悪化や商品戦略の課題など、具体的な問題点を明らかにします。
- 大樹生命の取り組みと今後の展望:経営改善策や新たな戦略について、最新の情報を交えて解説します。
- 保険契約者への影響と注意点:現在の契約者や加入を検討している方々への影響と、留意すべきポイントを説明します。
大樹生命の経営状況と業界での位置づけ
財務指標から見る大樹生命の現状
大樹生命の経営状況を理解するには、主要な財務指標を見ることが重要です。2023年度の業績概要を見てみましょう。
- 保険料等収入:9,288億円(前年度比5.0%増)
- 基礎利益:171億円(前年度比16.0%減)
- ソルベンシー・マージン比率:819.9%(前年度末比34.4ポイント減)
保険料等収入は増加していますが、基礎利益は減少しています。これは、一時払外貨建養老保険の販売増加や再保険収入の増加が収入を押し上げた一方で、為替ヘッジコストの増加による利差損の拡大が利益を圧迫したためです。
ソルベンシー・マージン比率は、保険会社の支払能力を示す重要な指標です。大樹生命の場合、819.9%と法定基準の200%を大きく上回っていますが、前年度から低下傾向にあります。これは、海外の金利上昇に伴う有価証券の含み損益の減少が影響しています。
業界内での大樹生命の位置づけ
生命保険業界全体の動向と比較すると、大樹生命の状況がより明確になります。生命保険協会の2024年版「生命保険の動向」によると、2023年度末の個人保険の保有契約件数は業界全体で1億9,494万件(前年度比100.2%)と16年連続で増加しています。一方、保有契約高は790兆7,887億円(前年度比99.5%)と減少しています。
大樹生命の場合、2023年度末の保有契約件数は2,518千件(前年度末比98.8%)、保有契約高は161,178億円(前年度末比97.4%)と、いずれも業界平均を下回る結果となっています。特に保有契約高の減少率が大きいことが注目されます。
<用語解説>
基礎利益:生命保険会社の基本的な期間損益を示す指標です。保険料収入や運用収益から、保険金・給付金の支払いや事業費などを差し引いて算出されます。この数値が高いほど、本業での収益力が高いと評価されます。
「やばい」と言われる主な理由
1. 経営指標の悪化
大樹生命が「やばい」と評価される最大の理由は、主要な経営指標の悪化です。特に以下の点が懸念されています。
- 基礎利益の継続的な減少:2023年度の基礎利益は171億円と、前年度比16.0%も減少しています。これは本業での収益力の低下を示しており、長期的な経営の安定性に疑問を投げかけています。
- ソルベンシー・マージン比率の低下:前述のように、ソルベンシー・マージン比率は前年度から34.4ポイント低下しています。まだ十分に高い水準ではありますが、継続的な低下傾向は注視が必要です。
- 保有契約の減少:保有契約件数、保有契約高ともに減少傾向にあり、特に保有契約高の減少率が業界平均を上回っています。これは顧客基盤の縮小を意味し、将来の収益にも影響を与える可能性があります。
2. 商品戦略の課題
大樹生命の商品戦略にも課題が指摘されています。
- 外貨建て保険への依存:一時払外貨建養老保険の販売増加が収入を押し上げていますが、これは為替リスクを伴う商品です。円安局面では好調ですが、円高に転じた場合のリスクも大きくなります。
- 医療保障商品のリニューアル遅れ:2023年6月に医療保障の中心となる入院保障を「日額給付型」から「一時金給付型」にリニューアルしましたが、業界の動向に比べると対応が遅れた印象があります。
- 資産形成商品の不足:近年、若年層を中心に資産形成ニーズが高まっていますが、大樹生命の商品ラインナップはこの点で十分とは言えません。
3. 営業職員の採用・育成問題
大樹生命の評判サイトなどを見ると、営業職員の採用や育成に関する課題が浮かび上がってきます。
- 早期退職者の多さ:新人営業職員の定着率が低いという指摘があります。これは、育成環境の整備が不十分であることが原因の一つと考えられます。
- 営業手法の古さ:デジタル化が進む中、従来型の対面営業に依存しすぎているという批判もあります。
- 業績評価の問題:一件あたりの評価が低く、安定した収入を得るためには高いノルマをこなす必要があるという声も聞かれます。
<用語解説>
ソルベンシー・マージン比率:保険会社の支払余力を示す指標です。予想外の出来事(大災害、株価の大暴落など)が発生した場合に、保険金等の支払いに充てることができる「資本・準備金等の支払余力」を、「通常の予測を超えて発生するリスクの総額」で割った値です。200%以上であることが求められています。
大樹生命の取り組みと今後の展望
大樹生命は、これらの課題に対して様々な取り組みを行っています。2024年度から始まる新中期経営計画「中期経営計画2026 全緑前進 ~お客さまとともに、100周年とその先に向けて~」では、以下の点に注力しています。
1. 価値提供の強化
- デジタルを活用したお客さまとのつながり強化
- お客さまの利便性向上のための手続きのデジタル化
- 営業職員組織の維持・拡大に向けた採用や育成強化
2. 提供する価値の向上
- 日本生命と共同開発した平準払外貨建養老保険「ドリームツリー」の販売開始(2024年4月)
- 資産形成ニーズに応える新商品の開発
3. 価値提供先の拡大
- 日本生命への商品供給
- 全国の法人担当スタッフの増員による中小企業との関係強化
4. 経営基盤の強化
- デジタルを活用した業務効率化
- クラウド化等のシステム構造の見直し
- 資産運用を通じた財務基盤の強化
これらの取り組みが成功すれば、大樹生命の経営状況は改善に向かう可能性があります。特に、日本生命グループのリソースを活用した商品開発や、デジタル化による業務効率の向上は、競争力強化につながると期待されています。
保険契約者への影響と注意点
大樹生命の現状は、契約者や加入を検討している方々にとっても無関係ではありません。以下の点に注意が必要です。
1. 契約の継続性
現時点で大樹生命の支払能力に直接的な問題はありませんが、経営状況の変化には注意が必要です。ソルベンシー・マージン比率などの指標を定期的にチェックすることをおすすめします。
2. 商品選択の重要性
外貨建て保険など、リスクの高い商品に加入する際は、為替変動リスクなどについて十分に理解することが重要です。また、自身のニーズに合った商品を選択するために、他社の商品との比較も欠かせません。
3. 契約者保護制度の理解
万が一の場合に備えて、生命保険契約者保護機構の仕組みを理解しておくことも大切です。この制度により、保険会社が破綻した場合でも、一定の範囲で保険金等の支払いが保護されます。
4. 情報収集の継続
大樹生命の経営状況や新商品の情報、業界全体の動向などについて、定期的に情報を収集することをおすすめします。会社の公式発表だけでなく、第三者機関による評価なども参考にするとよいでしょう。
まとめ
大樹生命保険が「やばい」と言われる背景には、経営指標の悪化、商品戦略の課題、営業職員の採用・育成問題など、複合的な要因があります。しかし、日本生命グループの一員として、新たな中期経営計画のもとで改革に取り組んでいる点も見逃せません。
保険契約者や加入を検討している方々にとっては、大樹生命の状況を注視しつつ、自身のニーズに合った保険選びを行うことが重要です。また、生命保険業界全体の動向にも目を向け、長期的な視点で保険加入を検討することをおすすめします。
生命保険は長期にわたる契約です。大樹生命に限らず、加入を検討する際は、会社の財務状況、商品の特徴、リスクなどを十分に理解し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討してください。そして、定期的に自身の保障内容を見直し、ライフステージの変化に合わせて適切な保障を維持することが、安心な生活につながります。