ちょいのり保険のおすすめ理由をわかりやすく解説

ちょいのり保険のおすすめ理由をわかりやすく解説
ライター:関野 良和

ちょいのり保険は短期利用者向け自動車保険の新たな選択肢

近年、自動車の所有形態や利用方法が多様化する中、従来の自動車保険では対応しきれないニーズが増えています。特に、マイカーを持たずに必要な時だけ車を借りて運転する人や、親族の車を一時的に運転する機会が増えている若者世代にとって、従来の年間契約の自動車保険は必ずしも最適とは言えません。

このような背景から、東京海上日動火災保険株式会社が2012年に導入した「ちょいのり保険」は、短期間の自動車利用者向けに設計された画期的な保険商品として注目を集めています。1日単位で加入できる手軽さと、スマートフォンやコンビニエンスストアで簡単に申し込める利便性が特徴的です。

ちょいのり保険は、従来の自動車保険の概念を覆し、利用者のライフスタイルに合わせた柔軟な補償を提供することで、無保険運転のリスクを軽減し、より安全な交通社会の実現に貢献しています。

この記事では、ちょいのり保険の特徴や利用方法、補償内容について詳しく解説し、読者の皆様がより安心して自動車を利用できるよう、必要な情報を提供します。

この記事でわかること

  • ちょいのり保険の概要と特徴:短期自動車保険の新しい形態について理解できます。
  • 加入方法と利用シーン:簡単な申込手続きと、どんな時に役立つのかを具体的に知ることができます。
  • 補償内容と保険料:3つのプランの違いや、どの程度の保護が受けられるのかを詳しく学べます。
  • 従来の自動車保険との違い:年間契約の保険と比較し、メリット・デメリットを把握できます。
  • 注意点と今後の展望:利用する際の留意事項や、自動車保険市場の変化について考察します。

ちょいのり保険のおすすめ理由をわかりやすく解説

ちょいのり保険とは

ちょいのり保険は、東京海上日動火災保険が提供する1日単位で加入できる自動車保険です。正式名称は「一日単位型ドライバー保険特約(包括方式)に基づき通知または一日単位型ドライバー保険特約(一般方式)が付帯された自動車運転者保険」ですが、その長い名称からも分かるように、従来の自動車保険とは異なる新しいタイプの保険商品です。

主に、自分の車を持っていない人が友人や親族の車を借りて運転する際や、レンタカーを利用する際に、手軽に加入できる保険として設計されています。最短24時間から最長7日間まで、必要な期間だけ保険に加入できるため、「ちょっとだけ」車を運転する機会がある人にとって、非常に便利な保険といえます。

ちょいのり保険の最大の特徴は、スマートフォンやパソコン、さらにはコンビニエンスストアで簡単に申し込めることです。急な予定変更で車を借りることになった場合でも、その場で保険に加入できるため、無保険運転のリスクを大幅に減らすことができます。

また、補償内容も充実しており、対人・対物賠償は無制限、搭乗者傷害も含まれているため、万が一の事故の際も安心です。さらに、ロードアシストサービスも付帯されているため、故障や事故の際のサポートも受けられます。

【用語解説:対人・対物賠償】
対人賠償とは、自動車事故により他人を死傷させた場合に、その損害を補償する保険です。対物賠償は、他人の財物(主に車や建物など)に損害を与えた場合に、その修理費などを補償する保険です。ちょいのり保険では、これらの補償が無制限で提供されているため、高額な賠償責任が発生した場合でも安心です。

ちょいのり保険の加入方法

ちょいのり保険の加入方法は、主に以下の3つがあります。

  1. スマートフォンやパソコンからのオンライン申込
  2. コンビニエンスストアでの申込
  3. LINEアプリからの申込

1. オンライン申込

東京海上日動のウェブサイトにアクセスし、必要事項を入力して申し込みます。クレジットカードやキャリア決済で支払いが完了すれば、その場で保険証券がメールで送られてきます。24時間365日いつでも申し込めるため、急な予定変更にも対応できます。

2. コンビニエンスストア申込

ファミリーマート、ローソン、ミニストップの店頭端末(Loppiなど)で申し込みができます。申込後、レジで保険料を支払うことで加入が完了します。現金での支払いも可能なため、クレジットカードを持っていない人でも利用しやすい方法です。

3. LINEアプリからの申込

東京海上日動の公式LINEアカウントを友だち追加することで、LINEアプリ内で簡単に申し込みができます。普段からLINEを使用している若者にとっては、最も手軽な申込方法かもしれません。

いずれの方法でも、申込から補償開始までの時間が短いのが特徴です。特にオンライン申込の場合、申込完了後すぐに補償が開始されるため、急な利用にも対応できます。

【用語解説:キャリア決済】
キャリア決済とは、携帯電話会社の通信料金と一緒に商品やサービスの代金を支払う決済方法です。クレジットカードを持っていない人でも、携帯電話の契約さえあれば利用できるため、若者を中心に人気の決済方法となっています。

ちょいのり保険の利用シーン

ちょいのり保険は、様々な状況で活用できます。以下に代表的な利用シーンをいくつか紹介します。

1. 帰省時の親の車利用

大学生や社会人が実家に帰省した際、親の車を借りて運転する場合があります。この時、親の自動車保険に運転者として登録されていないと、事故の際に保険が適用されないケースがあります。ちょいのり保険に加入することで、安心して親の車を運転することができます。

2. 友人の車での旅行

友人同士で旅行に行く際、車を持っている友人の車を借りて運転することがあるでしょう。この場合も、友人の自動車保険の補償対象外となる可能性があります。ちょいのり保険に加入しておけば、万が一の事故の際も補償を受けられます。

3. 引っ越し時のレンタカー利用

引っ越しの際にレンタカーを利用する場合、レンタカー会社の保険では補償が不十分なことがあります。ちょいのり保険に加入することで、より手厚い補償を受けられ、安心して運転できます。

4. カーシェアリング利用時

最近増えているカーシェアリングサービスを利用する際、サービス提供会社の保険では補償内容が限定的な場合があります。ちょいのり保険に加入することで、より充実した補償を受けられます。

5. 車の試乗時

新車購入を検討する際の試乗時も、ちょいのり保険の対象となります。ディーラーの保険だけでなく、自身で保険に加入することで、より安心して試乗できます。

これらの利用シーンに共通するのは、「普段は車を運転しないが、一時的に車を運転する必要がある」という点です。ちょいのり保険は、このような短期的な自動車利用のニーズに柔軟に対応できる保険商品といえます。

ちょいのり保険の補償内容と保険料

ちょいのり保険には、3つのプランが用意されています。それぞれのプランの特徴と保険料を比較してみましょう。

1. シンプルプラン

最も基本的なプランで、対人・対物賠償や搭乗者傷害などの基本的な補償が含まれています。

  • 保険料:24時間あたり800円
  • 主な補償内容:
    • 対人賠償(無制限)
    • 対物賠償(無制限)
    • 搭乗者傷害(1,000万円)
    • 自損事故傷害
    • ロードアシスト

2. レギュラープラン

シンプルプランの補償に加えて、借りた車の損害も補償されます。

  • 保険料:24時間あたり1,800円
  • 主な補償内容:
    • シンプルプランの補償内容すべて
    • 借りた車の車両補償(300万円まで、免責金額15万円)

3. プレミアムプラン

最も充実した補償内容で、弁護士費用特約も付帯されています。

  • 保険料:24時間あたり2,600円
  • 主な補償内容:
    • レギュラープランの補償内容すべて
    • 弁護士費用特約

各プランとも、最長7日間まで連続して加入することができます。また、1回の申込みで最大3名まで追加ドライバーを登録できる「臨時被保険者特約」も用意されています。追加料金は1名につき24時間あたり400円です。

【用語解説:弁護士費用特約】
弁護士費用特約とは、交通事故に遭った際に弁護士に依頼する費用を補償する特約です。示談交渉や訴訟に関する費用が補償されるため、より専門的な法的サポートを受けられます。事故の相手方との交渉が難航した場合などに、特に有用な特約といえます。

従来の自動車保険との違い

ちょいのり保険と従来の年間契約の自動車保険には、いくつかの重要な違いがあります。以下に主な相違点をまとめます。

1. 契約期間

  • ちょいのり保険:24時間単位で最短1日から最長7日間
  • 従来の自動車保険:通常1年間(まれに6ヶ月や3ヶ月の短期契約もある)

2. 加入対象

  • ちょいのり保険:他人の車を借りて運転する人
  • 従来の自動車保険:主に自分が所有する車の保険

3. 補償範囲

  • ちょいのり保険:基本的に運転中の事故のみをカバー
  • 従来の自動車保険:駐車中の盗難や自然災害による損害なども補償可能

4. 保険料

  • ちょいのり保険:利用日数分のみの支払い
  • 従来の自動車保険:年間の保険料を一括または分割で支払う

5. 加入手続き

  • ちょいのり保険:スマートフォンやコンビニで簡単に加入可能
  • 従来の自動車保険:保険代理店や保険会社との面談や書類のやり取りが必要なことが多い

6. 割引制度

  • ちょいのり保険:利用回数に応じて、将来の自動車保険料が割引になる制度あり
  • 従来の自動車保険:無事故割引や複数契約割引など、様々な割引制度あり

これらの違いから、ちょいのり保険は「必要な時に必要な分だけ」という考え方に基づいた保険商品であることがわかります。一方で、従来の自動車保険は、より包括的で長期的な保護を提供する設計になっています。

ちょいのり保険は、車の所有者ではなく「運転者」に着目した保険であり、これまでカバーしきれなかった短期的な自動車利用のニーズに応える画期的な商品といえるでしょう。

ちょいのり保険利用時の注意点

ちょいのり保険は便利な保険商品ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。以下に主な注意点をまとめます。

1. 対象となる車両

ちょいのり保険は、原則として他人名義の自家用車が対象となります。ただし、以下の車両は対象外となるので注意が必要です。

  • レンタカー
  • カーシェアリングの車両
  • 営業用の車両
  • 自分や配偶者名義の車両
  • 8ナンバーの車両(キャンピングカーなど)
  • 二輪車や原動機付自転車

レンタカーやカーシェアリングの車両は対象外ですが、これらのサービスを利用する際は、サービス提供会社の保険でカバーされていることが多いです。ただし、補償内容を確認し、必要に応じて追加の保険を検討することをおすすめします。

2. 補償開始時間

ちょいのり保険の補償は、申込完了時刻または指定した開始時刻のいずれか遅い時刻から開始されます。急な予定変更で車を運転することになった場合でも、必ず運転前に加入手続きを完了させる必要があります。

3. 運転者の年齢制限

ちょいのり保険に加入できるのは、20歳以上70歳以下の方に限られます。また、運転免許取得後1年以上経過していることが条件となります。年齢制限は、事故リスクの統計に基づいて設定されているものですが、高齢ドライバーの増加に伴い、今後変更される可能性もあります。

4. 車両保険の免責金額

レギュラープランとプレミアムプランに含まれる車両保険には、15万円の免責金額が設定されています。つまり、事故で借りた車に損害が生じた場合、15万円までは自己負担となります。高額な修理費が発生する可能性がある場合は、この点を考慮してプランを選択する必要があります。

5. 継続利用時の注意

ちょいのり保険は最長7日間まで連続して加入できますが、それ以上の期間車を利用する場合は、一度解約して再度加入する必要があります。ただし、解約と再加入の間に24時間以上の間隔を空ける必要があるため、長期の利用を予定している場合は注意が必要です。

6. 事故時の対応

ちょいのり保険加入中に事故が発生した場合、通常の自動車保険と同様に、まず警察や救急への連絡を行い、その後速やかに保険会社に連絡する必要があります。事故受付センターの電話番号は、加入時に送付される保険証券に記載されているので、運転前に確認しておくことをおすすめします。

【用語解説:免責金額】
免責金額とは、保険金を支払う際に、被保険者が自己負担する金額のことです。例えば、車両保険の免責金額が15万円の場合、修理費が20万円かかったとすると、保険会社からは5万円が支払われ、残りの15万円は自己負担となります。免責金額を設定することで、小額の請求を減らし、保険料を抑える効果があります。

ちょいのり保険の今後の展望

ちょいのり保険は、自動車保険市場に新たな選択肢を提供し、特に若年層や都市部の消費者から支持を得ています。今後の展望として、以下のような点が考えられます。

1. デジタル技術の更なる活用

スマートフォンアプリやAI技術を活用し、より簡単で迅速な加入手続きや、リアルタイムの運転診断サービスなどが提供される可能性があります。例えば、GPSデータを活用した走行距離連動型の保険料設定など、より個人の運転実態に即した保険商品が登場するかもしれません。

2. 他のサービスとの連携強化

カーシェアリングやライドシェアなど、新しいモビリティサービスとの連携が進む可能性があります。例えば、カーシェアリングアプリから直接ちょいのり保険に加入できるようになれば、より多くのユーザーにとって利便性が高まるでしょう。

3. 補償内容の多様化

現在の3つのプラン以外に、より細かなニーズに対応したプランが登場する可能性があります。例えば、特定の地域や時間帯のみの補償、あるいは特定の運転目的(業務使用など)に特化したプランなどが考えられます。

4. 年齢制限の見直し

現在の年齢制限(20歳以上70歳以下)は、高齢ドライバーの増加や若年層の運転免許取得年齢の引き下げなどの社会変化に応じて、見直される可能性があります。特に、高齢ドライバー向けの特別プランなどが登場するかもしれません。

5. 国際展開

日本発の革新的な保険商品として、海外市場への展開も考えられます。特に、自動車保険の普及率が低い新興国などでは、ちょいのり保険のような柔軟な商品が受け入れられる可能性があります。

6. 環境への配慮

SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが進む中、環境に配慮した運転を促進するような保険商品が登場する可能性があります。例えば、エコドライブを実践するドライバーに対する割引制度などが考えられます。

まとめ

ちょいのり保険は、変化する自動車利用のニーズに対応した革新的な保険商品です。短期間の利用に特化し、スマートフォンやコンビニで簡単に加入できる利便性は、特に若年層や都市部の消費者から高い支持を得ています。

この保険の登場により、これまで見過ごされがちだった「一時的な車の利用」におけるリスクに対する意識が高まり、無保険運転のリスクを軽減することにつながっています。また、従来の年間契約の自動車保険とは異なるアプローチで、より柔軟な補償を提供することで、消費者の選択肢を広げています。

ただし、利用にあたっては対象となる車両や年齢制限、補償開始時間などの注意点もあるため、これらを十分に理解した上で活用することが重要です。

今後、デジタル技術の進化や新たなモビリティサービスの登場により、ちょいのり保険のような柔軟な保険商品の需要はさらに高まると予想されます。消費者のニーズに合わせた商品開発や、他のサービスとの連携強化など、更なる進化が期待されます。

読者の皆様には、自身の自動車利用パターンを見直し、従来の年間契約の自動車保険だけでなく、ちょいのり保険のような新しい選択肢も視野に入れて、最適な保険プランを選択することをおすすめします。安全運転はもちろんのこと、適切な保険加入により、より安心して自動車を利用できる環境を整えましょう。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としている。 港区を中心にグルメ情報にも精通しており、独自の切り口でレポートを行う。
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